改変入れ替え海水浴場

 海に来てしまった。
 太陽が眩しく、水面はそれを反射して青く輝き、人々の声が賑やかな夏の海に。
 僕のような陰キャのオタクにはものすごく場違いな空気だ。
「んー、天気とか超イイカンジじゃん! なぁ隼人(はやと)!」
 周りを眺めていると、いかにも金髪の不良のいった雰囲気の青年、龍雄(たつお)くんが背後から肩を組んできた。
「そ、そうだね……」
 彼は日焼けした筋骨隆々な身体に、フィット感強めなスポーツタイプの水着を履いている。でも派手なハイビスカス柄というのが、またなんとも龍雄くんらしい。
 ちょっと強引なところもあるけれど、僕を引っ張ってくれる良い人だ。
「やめてやれ、暑苦しい。隼人も嫌ならハッキリ言えよ、このバカは言わなきゃわからないからな」
 遅れてきた黒髪のイケメンは拓馬(たくま)くん。
 彼は一言で表すと……インテリヤクザ、みたいな感じかもしれない。背が高く引き締まった身体に、黒くブカブカした水着と白いパーカーを身に付けている。
 普段も愛用している丸いサングラスと寡黙な性格はミステリアスな雰囲気を醸しており、そこが人気なのか僕の見ている限り龍雄くんよりモテる。
「なんだぁ? 自分はしてもらえないからってヤキモチかぁ?」
「んなわけあるか、気色悪い」
 ……こんな感じだけど龍雄くんと拓馬くんは中学の頃からの付き合いで、不良として相当あれこれやってきたらしい。
 そんな彼らとは大学で出会った。たまたま初めての講義の時に近くに座った僕に龍雄くんが声をかけてきて、なんか……成り行きで友達になってくれた。不良な彼らには、オタクな僕の価値観が面白いらしい。
 周りに知り合いがいなくて不安だった僕にとっても、彼らの存在は心強いしとても有難い。
 しかもこうして、夏休みにレンタカーで海に繰り出すなんて……そんな青春っぽい体験をさせてもらえるとは思わなかった。
 ……ただ、本当は断るつもりだったんだよね。
 だって二人に比べて僕は背も低いし男らしくないし……僕なんかが一緒に行っても良いのかなという変な負い目があった。
 なにせ二人がここに来た目的は……。
「うし、じゃあナンパするか! 拓馬、どっちがイイカンジの女を連れて来れるか勝負しようぜ!」
「何だその曖昧な勝敗の基準は。……ま、受けて立ってやるよ」
 そう、二人は泳ぎに来たわけではない。
 水着の美女をナンパして、あわゆくばワンナイトやら恋人としての交際やらを狙いに来たのだ。
「よーし、じゃあ始めるぞ! 隼人はオレについて来い! 普段課題手伝ってもらってる礼に、オレが女の釣り方を教えてやるからさ!」
「う、うん……」
 さすがにそれはちょっと……と断りたかったけれど、その好意を無碍にするのも悪いし。僕と龍雄くん、拓馬くんは二手に分かれて砂浜の上を歩くことになった。
 こうなることがわかっていたのだから、海への同行を断るという選択肢もあった。
 でも僕は一念発起してここにいる。
 実は先日、〈dTS.com〉とかいう怪しげなサイトからメールが届き、それを開くと……僕はある〈能力〉を与えられた。それは僕のコンプレックスを解消し、龍雄くんや拓馬くんと釣り合うような、彼らと堂々と並んで歩けるような身体になれるらしい。
 非科学的だし信じ難い話だったけれど、僕は何故か簡単に丸め込まれて能力の実在を信じている。
 しかし緊張するなぁ。
 僕だって男だし、肌を出してはしゃぐ女性に目移りしてしまう。シンプルなビキニ、フリルのついたワンピース、パレオやハイレグ気味な競泳水着……どれも魅力的だけど、あまりじっくり見すぎるとアソコがアレになちゃう。女性も注視されて気分のいいものではないだろうし、すぐ視線を外していく。
 けれど龍雄くんはある一点を見つめていた。
「見ろよ隼人、あそこ歩いてる姉ちゃん! 超イケてね!?」
 彼が指差す方向には、一際目立つサングラスの女性がいた。
 グラマラスな体型は言わずもがな。ウェーブした髪は綺麗な金髪に染まっていて、遠目にもわかるくらい赤く艶やかに唇を飾っている。肌はこの炎天下でも白く、シンプルながらも布の少ない黒ビキニによって際立っていた。
 僕のタイプではないけど、美人であることは間違いない。
「う、うん。綺麗な人だね」
「まずはよーく観察しろよ。周りに男がいたらアウトだ。狙うとしたら女友達複数人と来ている子にしろ。そしてこちらの人数と同じ人数になったタイミングで声をかける。……ちょうど、今みたいにな!」
 彼女を観察していると、龍雄くんのアドバイス通りのタイミングが来た。彼女のグループのうち数人が軽く手を振ると、海の家の方へ向かって歩いていくではないか。
 残ったのは龍雄くんの目当ての女性と、紫のビキニを来た黒髪の女性。
 こちらの人数と同じ……ってことは、僕があの紫ビキニの人に声をかけなきゃいけないわけ!?
「なぁ、そこのお姉さんたち!」
 うわーっ、龍雄くん声かけるの早いよ! 僕全然心の準備とかできてないし、能力で理想の身体にもなれてないのに!
「良かったら俺らと遊ばない?」
 恥じらいも躊躇いもない、龍雄くんの慣れたような挨拶。女性たちは顔を見合わせて……。
「え、何? ナンパ?」
「あっちいこ」
「うん」
 呆気なく、去られてしまった。
 僕は少し安心したが、龍雄くんは悔しそうだ。
「ま、まぁいきなり大物を狙い過ぎたな、こんな時もある。次は最初から二人組の女の子を狙おう」
 でもやっぱり、僕がこんなちんちくりんでオタク丸出しな見た目だから断られたのかもしれない。そう思うと申し訳なくなってきた。
 ……使ってみよう、あの能力とやらを。
 龍雄くんの隣を堂々と歩けるような、背が高くてかっこいい人になりたい……!
 〈換骨奪体〉。
 多分『換骨奪胎』という四字熟語のもじりだと思うんだけど、どうだ……?
 能力を発動させ目を開ける。
「わっ……」
 暗い。僕、サングラスをかけてる……?
 慌ててそのサングラスを外すと、僕の視界が高くなっていることに気付いた。
 やった、僕本当に……。
「え」
 いやいやいや、何これ。なんで僕が黒いビキニなんか着てるの? 下を向いたら長い金髪が垂れてきて、しかも胸に大きなおっぱいが付いてる!?
 僕はすぐに理解した。
 僕の身体が、さっき龍雄くんがナンパした女性のものになっているんだって。
「な、なんでっ!? 僕、女の人にっ……」
 わ、声までちょっと低めの女の声になってる。
 確かにあの女性のこと、綺麗で背が高くてちょっとチャラそうで、龍雄くんにお似合いだなぁとは思ったけど。
 だから僕、「龍雄くんの隣を歩くのに相応しい身体」になっちゃったわけ……?
「何言ってんだ、隼人は元々女だろ?」
 龍雄くんは呆れたような目で僕を見た。
 そうだった。この能力で身体が変わっても、周りの人からは「以前からその姿だった」と認識されるようになるんだっけ。
 遠くに僕の身体になった女性を見つけたけれど、紫ビキニの女性と楽しげに話している。なんか、僕の身体で勝手にリア充になられてるみたいで悔しい。
 元に戻る方法は……。
「きゃっ」
 急に龍雄くんが肩を触ってきたものだから、びっくりしちゃった。
「な、何……?」
「いや、よく見たら隼人ってめちゃくちゃ良い身体してんなぁって思ってさ。いっつもアニメキャラのTシャツとか着てるけど、脱ぐとすごかったんだな」
「う、うん……まぁね」
 身体や性別以外のところは、あまり改変されていないみたいだ。僕、こんなクールなギャルの身体でアニオタしてるってことになってるんだね。
 セクシーな美人になったせいで、龍雄くんや他の男から視線を向けられているのがわかる。おっぱいやお尻を見られるのは恥ずかしいけど……「良い身体」なんて褒められて、ちょっと嬉しいかも。もうちょっとだけ、このままでもいいかな……?
「てかすぐ隣にこんなに良い女がいるんだし、別にナンパする必要なくね? なぁ隼人……一旦、お前は俺に口説かれたっていう設定にしてくれねぇか?」
「え?」
「ほら、拓馬と『どっちが良い女を連れてくるか』って勝負しちゃったじゃん。ぶっちゃけ隼人に敵う女とかそうはいないしさ、『隼人を口説いた』って言えば勝てると思うんだよ。……ってわけで頼む!」
 うぅ……友達にそこまで頼まれたら、断るのも悪いよなぁ。
 それにあの女性から身体を借りただけではあるけど、「敵う女はそうはいない」なんて言われるのも悪い気はしないし。
 ここは一丁、龍雄くんのお願いに乗ってあげよう。
「いいよ。じゃあ僕、龍雄くんにナンパされちゃったっていう設定にすればいいんだね?」
「あぁ! へへっ、黒ビキニの金髪巨乳ギャルを連れていけば俺の勝ちは確定だな!」
 そんなわけで、僕たちは早速待ち合わせ場所のシャワールーム前に向かった。
 歩くたびに胸の重いお肉がプルプルと震え、熱い風に髪がなびく。女の人のおっぱいが、その気になればすぐ触れるところにある。うぅ、なんかムラムラしてきたかも……。でも大っぴらに触るわけにもいかないし、生殺しだ……。
 すぐに待ち合わせ場所に着いたけれど、拓馬くんの姿は見当たらなかった。それはそうか、十分かそこら前に解散したばかりだもんね。
「はっ、拓馬のやつ苦戦してるみたいだな」
「そうだね……」
 龍雄くんも立派にインチキしてると思うんだけど、そこは棚に上げて勝ち誇る。僕も苦笑いで答えておいた。
 ……それにしても、暑い。
 黒いビキニだからかな、おっぱいとか股関が特に熱くて汗がすごい。ワキとか、下乳とか、双丘がぶつかる谷間とか、お尻とか、お……おまんこの辺りとか。もうムンムンに蒸れているのがわかる。
「しゃーねぇ、先にシートやらクーラーボックスやら用意してやろうぜ」
「うん。僕も喉が渇いたし、一旦車に戻ろっか」
 何よりナンパを楽しみにしていたらしい二人はすぐさま海に向かっていったものだから、まだ場所取りもできていない。ビニールシートに借りてきたビーチパラソル、飲み物と氷が入ったクーラーボックスはまだ車の中だ。
 僕たちはビーチから少し離れた駐車場に向かって歩き、龍雄くんが運転してきた白くて大きい車を探した。
「お、あったあった」
 龍雄くんは肩にかけた防水のバッグから鍵を取り出し、無線でロックを解除する。そしてそのまま運転席のドアを開け、車のエンジンをかけた。
「どうしたの? 荷物取るだけだし、冷房なんてかけなくても大丈夫だと思うけど」
「まぁいいじゃん、隼人は後部座席で涼んでおけよ。力仕事は俺がやるからさ」
 はへー。龍雄くんって見た目に反して優しい人だけど、いつもより優しい気がする。
 やっぱり美人っていろいろ得しちゃうのかなぁ。
「じゃあお言葉に甘えちゃおっかな」
 僕は龍雄くんの指示通り、後部座席のドアを開けて車に乗った……けれど。
 あれ、龍雄くんも一緒に乗り込んできた?
「え、ちょっ、んぷっ!?」
 うそっ……僕、キスされてる!?
 僕は龍雄くんに抱きしめられて、強引に唇を奪われていた。
 驚きはすぐに嫌悪感に変わり、思わず龍雄くんを突き放してしまう。だって男同士でキスなんて……。
「龍雄くんっ、いきなり何を」
「悪りぃ、隼人がエロすぎて我慢できなくなっちまった。でも隼人だって、そのつもりでついて来たんじゃねぇの?」
「違っ、僕はそんなつもりじゃ……!」
 掴まれた腕を振り払おうとしたけれど、女性の細腕ではとても龍雄くんに敵わない。……いや、多分元の身体でも敵わないか。
 そりゃこんなセクシーな身体、触りたくなる気持ちもわかるけど……でもこのままじゃ僕、龍雄くんに犯されちゃうっ。
 そんな焦りを覚えた時、僕は車の窓の外を見た。
 家族連れだろうか、中年の男女と女の子二人が談笑しながら海に向かおうとしている。
 声を上げて彼らに助けを求めても良かったんだけど、それだと龍雄くんが警察に捕まっちゃうかもしれない。そりゃ悪いのは龍雄くんだけど、そこまでの騒ぎにもしたくないし……。
 僕は悩むより先に、〈換骨奪体〉を発動していた。
 視界が一瞬白い光に包まれたかと思うと、僕の目の前には……白くてヒラヒラしたスカートが付いた、ワンピースタイプの水着を着た女の子が座っていた。背は低くて身体も細い。おかっぱの黒髪に丸い眼鏡をかけていて、清楚で恥ずかしがり屋なイメージの女の子だ。年齢は中学生くらいだろうか。
 龍雄くんからすれば地味かもしれないけど、僕としてはかなり好きなタイプだ。
 逆に窓の外に目を遣ると……四人家族の中に、ハイビスカス柄の派手な水着を穿いた金髪のチャラ男、龍雄くんの身体が混じっていた。彼、いや彼女は両手で胸を隠しながら恥ずかしそうに背を丸め、家族は「カッコいいから大丈夫」「カナは細マッチョなんだから自信持って」と励ましていた。
 一家の恥ずかしがり屋な妹、カナちゃんと龍雄くんの身体だけが、入れ替わってしまったみたいだ。
 あわわ、僕はなんてことを……。
 しかし後悔や罪悪感に苛まれる暇もなく、図書室に通ってそうな地味眼鏡っ娘になった龍雄くんに迫られた。
「なぁ、いいだろ? 俺、拓馬よりセックス上手い自信あるからさ」
 え、あれ? 女の子になったのに、全然エッチをやめようとしないんだけど!?
 驚いている間に、またキスをされた。
 唇が柔らかくて、なんか甘くて良い匂いがする。舌まで入れてきたけど、さっきまで飴でも舐めてたのかな。フルーツのような味がして、僕もボーッとふやけた頭で舌を絡ませた。
 あぁ、可愛い女の子とキスしちゃってる。こんなシチュエーション、僕には一生縁がないと思っていたのに。
 友達とキスなんて嫌だったり、勝手に身体を入れ替えて悪いなって気持ちになったりしたけど……もう少しだけこうしていたいかも。
 そう思った僕は、龍雄くんに身を預けることにした。
「はぁ……ようやくノってきたな。隼人は美人なのに、こういうことは初めてか?」
「う、うん……」
「マジかよ、じゃあ隼人の処女は俺がもらえるってわけか。どうだ、女はキスだけでも身体が熱くなってくるだろ?」
 龍雄くんは高く可愛い声で得意げに語った。
 やっぱり海でナンパするだけあって、龍雄くんはえっちなこともそれなりに経験しているみたいだ。キスも慣れてる感じがしたし、言われた通り気持ちいい。
 でも……気になるので尋ねてみた。
「えっと……龍雄くんも、気持ち良くなってる?」
 身体はカナちゃんと入れ替わっているけど、今の龍雄くんはどういう状態なんだろう。本人の性自認や、世間から男として扱われるのか女として扱われるのか……能力を使った本人である僕は改変を認識できているけど、被害者側から見たらどうなるんだろう。
「そりゃもちろん、俺だって女だからな。キスしたら身体が熱くなって、乳首が勃起するぜ。ほらここ、もうコリコリになってる」
 ワンピース型の水着を押し上げる、小ぶりだけど確かに存在する二つの膨らみ。龍雄くんはそれを指でつつき、尋ねてもいないのに乳首の位置を教えてくれた。
 なるほど。僕を以前から女だと認識していたように、龍雄くんも自分を女として認識しているんだ。でもスケベなプレイボーイという芯の部分は変わらないせいで、なんともアンバランスな状態だ。
「そ、そうなんだ。でも龍雄くんは女の子なのに、同じ女の子が好きなんだね」
「へっ? まぁ言われてみればそうだな。でも見ての通り、俺って地味で貧相で身体はまだ十四歳だからさ。やっぱ派手で巨乳な女が、羨ましくて好きなんだよ」
 ふぅん、理由は少し改変されているけれど、趣味嗜好に変化はなしか。
 巨乳ギャルが好きでナンパしに来た、地味めで清楚な女の子。龍雄くんのプロフィールが大変なことになっちゃった。
「でも隼人だって、イケイケなギャルなのに二次元の女の子が大好きだよな」
「え? あ、そういえば……そうだね。僕の嫁もおっぱい大きい女の子だし」
 今の僕も、海に大胆な黒いビキニを着て来るような金髪ギャルなのに、二次元の女の子を「嫁」なんて呼ぶオタクなんだよね。
 なんか変な感じだ。
 他人から奪った要素で自分という存在が書き換えられ、アイデンティティが揺らぐ。そんな感覚にモヤモヤしていると、龍雄くんが胸に触れてきた。
「じゃあ今から俺が、三次元の女の良さを教えてやるよ。これからは俺のことを嫁って呼びたくなるくらいにな」
「わ、あぁっ……これが、僕のおっぱい……」
 龍雄くんの指がフニっと沈み、かけられる力によって簡単に形を変える。自分で触ってるわけじゃないけど、僕は初めて女性のおっぱいの柔らかさを実感した。
 それになんか、おっぱいから全身にかけてじんわり熱くなっていく。股間の一点が熱くなる男の感覚とは違う。これが女の快感、女の性欲……? 僕、金髪巨乳ギャルお姉さんの身体で、発情しちゃってる……。
「隼人ほど立派じゃないけど、俺のも揉んでくれよ」
「ぅ、うん……じゃあ、触るね……?」
 許可されたとはいえ、僕はおそるおそる発達途上の少女のおっぱいに手を伸ばした。
 ふにゅっ。
 小さくても確かに、僕の胸にぶら下がっているものと同質の柔らかさを、この手に感じる。すごい。さっきまで女の性欲に驚いていたけれど、一気に男の性欲が掻き立てられる。そんな形と、柔らかさをしている。
「わ……龍雄くんのおっぱい、すごいよ……!」
「立派な巨乳をお持ちの隼人に、そこまで感動してもらえるなんてな。ひゃ、んっ、そこ、俺の乳首っ……♡ 俺のガキ乳首、感度イマイチなはずなのに……隼人に触られると、感じるっ♡」
 狙ったわけじゃないけど僕の指が乳首に触れると、龍雄くんは身を震わせた。そして高く可愛い声は色気を含み、僕の耳元で囁く。
 するとますます、僕の身体も熱くなる。
 このギャルの脳を使っているせいか、いつもより開放的な気分になった僕は……自分から、ビキニのブラトップを脱いでいた。さらに龍雄くんの水着の肩紐をずらし、胸を覆うカップを裏返す。
 さっきからジンジンしてたけど……僕の乳首も、固く大きく勃起してる。龍雄くんの乳首も小さい胸には似合わないほど大きく勃っていて、その興奮の度合いがわかる。しかも僕のより綺麗なピンク色で可愛い。
 乳首に触りたい、触って欲しい。エロい声で喘ぎたい、喘がせたい。男の精神と女の身体、二人分の欲望が脳内でスパークして僕を駆り立てる。
「ひぁ、あ、あぁぁっ♡ いきなり、積極的にっ……♡ あぁん、すごく、感じるっ……俺の身体、ガキからオンナになるのわかるぅっ♡」
 あまり自慰などしてこなかったのかもしれない、思春期の女の子の身体。それは同性からとはいえ、性的な視線に晒されいやらしい手つきで弄ばれることによって……オンナとして開花し始めているようだった。
「あ、んっ、じゃあ俺もっ♡」
「ふ、んくっ……?」
 龍雄くんの指が乳首をいじってきた。勃ちすぎてヒリヒリしていた乳首は、触れられただけで身体をビク付かせるほどの快感を生み出す。そんな刺激がずっと続いて。
「ん、う、う、あぅ、は、んっ……♡」
「隼人、我慢すんな♡ 声出した方が、あぁん、気持ちいいからさっ♡」
「そ、そうだよねっ……。はぁ、あ、あっ、あぁっ、僕の乳首、気持ちいいっ♡ 女の乳首、すごいよぉっ♡」
 言われた通り、声を上げるとさらに快感が増した気がする。
 恥じらいとか罪悪感とか一旦忘れて、自分が女の身体で感じていることだけに集中できる。本当に気持ちいい、このままおっぱいで射精しちゃいそうっ♡
「隼人っ……!」
 龍雄くんは自分のおっぱいを下から掬い上げ、僕に詰め寄った。そして龍雄くんの可愛い乳首を僕のいやらしい乳首に押し付け、胸をプルプル振るわせることで上下に擦り付ける。
 僕も龍雄くんも、元は男なのに。
 今は膨らんだおっぱいと乳首を擦り合わせて、可愛い声で喘いで感じてるっ。
 刺激は決して大きくないものの、そんな倒錯感にあたしの興奮は最高潮に達した。
「あぁ、なんか、くるっ……♡ 女の子乳首でギャル乳首シコって、イクぅぅっ……♡」
 今まで意識の外だったけれど、下半身に何かが溜まったような感覚があって……それが一気に弾け、僕は腰をカクつかせながらイった。
 これが女の絶頂……やぁん、すっごく気持ちいい……。
「あの、隼人さん……?」
 意識さえ手放してしまいそうだったけれど、僕を呼ぶ声がしたのでなんとか目の焦点を合わせる。
「次は、その……俺もイかせて欲しくて……あれ? やだ、なんで人前でおっぱい丸出しに……うぅ、急に恥ずかしくなってきました……」
 あれ、突然龍雄ちゃんがしおらしくなっちゃった。
 なんというか、見た目相応の恥ずかしがり屋さんになってる? ……まさか。
 この能力で人を入れ替えると、性格まで身体のものに染まっていくのかも。じゃあもしかして僕も……?
 自分ではよくわからない。
 でも男と違って、女の絶頂には程度があるみたい。そして軽い絶頂を体験した僕の中で、ますます性欲が強くなっている。
 今度は僕が、龍雄ちゃんの肩を掴み押し倒していた。
「えっ、あ、あのっ……もしかして、え、えっちなこと……するんですか……?」
「そうに決まってんじゃん、龍雄ちゃんが僕をナンパしたんでしょ?」
「お、俺が、ナンパ……? 確かに、そういえばそうでしたけど……でも俺たち、女同士で……きゃっ!?」
「女の子が好きだからナンパしてたくせに。ほら、水着脱いで」
 僕は弱々しく縮こまる龍雄ちゃんのワンピース型の水着を足元までずらし、ほぼ無理やり脱がせた。汗がにじむ白い肌、まだ成長途中ながら女性らしい体つき。
 初めて見る女の子の裸に、僕の興奮がさらに高まる。
 だけど龍雄ちゃんはすぐに、両手で股関を隠した。
「あの、ここはあんまり、見ないでください……」
「なんで?」
「俺、同年代の女の子より、マン毛いっぱい生えてるから……うぅ、恥ずかしい、もうお嫁に行けないよぉ……」
 確かに、龍雄ちゃんの股関は思っていた以上にマン毛が茂っており、おまんこがよく見えなかった。これはこれでエロいとは思うけど。
 にしてもエロいことがしたくてすぐチンコを出そうとしていたチャラ男が、マン毛に恥じらうような女の子になっちゃうなんて。
 正直、めちゃ興奮する。
「大丈夫っしょ。歳上の僕の方が、多分マン毛すごいから」
 こんな言葉を恥ずかしげもなく言えるあたり、僕の精神も大胆なギャルみたいになってきてるのかも。
 精神の変化は言葉だけでなく行動にも出ていた。
 僕は自分から水着のボトムも脱ぎ捨て、裸になる。
 他人の前で肌を晒すこと自体好きじゃなかったはずなのに、今は自分の身体に自信がある。自分がエロい身体つきの女で、裸になれば喜ぶ人間がいることを知っている。
 これもあのお姉さんの影響的な?
「わ、ごめーん。僕ってパイパンだったみたい♡  そりゃこんな際どい水着穿いてんだから、ちゃんと剃ってるか。中はどうなってんのかな?」
「は、隼人さんのおまんこ、丸見えに……!」
 気になったので指で開いてみる。ウブな女の子になっちゃった龍雄ちゃんは顔を赤らめながらも、男としての性欲からかガン見してくる。
 大きいおっぱいが邪魔で少し見えにくいけど……うわ、なんかピンク色でグロいかも。しかもネバネバした液体で湿ってる。これが「濡れる」ってやつ?
 まさか初めて見るマンコが、自分のものになるなんて。
 これ……もし触ったら、どうなるんだろ? でも自分で触るのもなんか怖いし……龍雄ちゃんのを触って、反応を見てみよっと。
「ひっ!? 私のおまんこを、そんな……汚いから、触っちゃダメです……」
「大丈夫、綺麗なピンク色してるし。それにめっちゃ濡れてる……。僕のおっぱいに興奮しちゃった系? 龍雄ちゃん、スケベすぎっしょ」
「しっ、知りません、こんなの……♡ それに俺は、スケベなんかじゃ、あんぅっ♡」
 マン毛を掻き分け、龍雄ちゃんのおまんこを指で開く。ピンク色で、ビラビラがあって、ヒクヒクして、トロトロで……モザイクなしで初めて見た。僕は十九年の人生を女として生きたことになっていて、僕の股関にも同じものがあるはずなのにね。
 ふふ。龍雄ちゃんはチャラ男だったことがもう信じられないくらいカナちゃんになっちゃった。
 僕もすっかりえっちなギャルだ。ただ男の時よりも強くなった性欲と自信が、僕の身体を突き動かす。
「こうしちゃお」
「え、はわわっ……!?」
 僕は龍雄ちゃんの脚をM字に開かせ、毛深いおまんこを覗き込んだ。
 そして膜を眺めたり匂いを嗅いだりしたあと、舌で一舐めしてみる。すると龍雄ちゃんは「ひゃんっ♡」と可愛い声を上げた。
「あぁぁっ、ダメぇ……♡ そこ、おしっこが出るところなのにぃ……」
「龍雄ちゃんの可愛いおまんこ、しょっぱくて美味しいよ……♡」
「やだぁ、ホントに恥ずかしいですぅ……。なのに、なんかきちゃいそうっ……♡」
 ヤリチンとして女性経験が豊富だという記憶はあるのに、いきなり性経験のない女子中学生の精神になっちゃったら……まぁこうなっちゃうか。
 「イク」という現象すらも忘れちゃったのかな? 龍雄ちゃんは顔を赤らめながら目をキュッと瞑り、ただ未知の快感に震えることしかできないっぽい。
 じゃあ童貞だけど非処女の精神を持つ僕がリードしてあげないとね。
「れろ、れろ……んふふっ、龍雄ちゃんは今どんな感じ?」
「わ、わかりませんっ……♡ 火を吹いちゃいそうなほど、んっ、恥ずかしいのに……おまんこ気持ちよくて、頭ふわふわしてっ……ふぁ、あぁぁ、身体が、弾けちゃいそうですっ……♡」
 わ、ホントに身体がプルプルしてる。じゃあもうすぐかな。
「龍雄ちゃん、それは『イク』っていうの」
「イク……? はぁ、あんっ、俺、イクっ♡ 俺のおまんこ、イっちゃうぅっ♡」
 自分の状態に「イク」という言葉がしっくりきたのか、龍雄ちゃんは「イク」を連呼するようになった。初々しくて可愛い。
 僕も興奮におまんこを濡らしながら、クリトリスを唇で挟んで吸い、ラストスパートをかけた。
「ひぁぁぁっ♡ そこっ、そこしゅごいぃっ♡ イクっ、イクイクイクイクっ、俺のおまんこイクぅぅぅぅっ♡」
 ガクッ、ビクンビクン。
 龍雄ちゃんは下半身を大きく震わせ、イってしまった。
 清楚で可愛い顔はアヘっていて、口の端からはヨダレまで垂らしてる。その身体にとっては初めての絶頂だったのかな。……ふふ、初めての絶頂でこんなに派手にイったら、もうおまんこオナニーがクセになっちゃうかもね。
 でも……おまんこって、そんなに気持ちいいんだ。
 龍雄ちゃんはトリップしちゃってるので、正気に戻るまでの間……僕もオナニーをしてみた。





 僕は一人で待ち合わせ場所に向かった。
 龍雄ちゃんは「もう少し車で休みます……」とのことだったけど、多分オナニーしてるんだと思う。
 さて、拓馬くんは戻ってるかな?
 ……と思ったら、彼は待ち合わせ場所でちゃっかり女性と談笑しながら待っていた。ナンパに成功したみたいだ。
 隣にいるのは黒髪が綺麗で、黒地に青いラインが入ったスポーツタイプの水着を着たお姉さん。今の僕の身体と同年代くらいに見える。
 本当なら「ナンパを成功させるなんてすごい」と褒めてあげてたんだろうけど……。
 僕は周囲を見回して、入れ替える対象を探した。
 うん、あれでいいや。
「拓馬くん」
「あぁ、やっと来たか隼人。龍雄はどうした?」
「ちょっと車で休んでるよ。それより、その男の子はどうしたの?」
「ん? 男の子?」
 拓馬くんが振り返ると、そこにはスタイルの良いお姉さんではなく……オレンジの水着を穿いた、小学校低学年くらいの男の子がいた。
 言うまでもなく、僕が入れ替えたんだけど。
「あー、俺がさっきナンパした……んだが、俺はなんで男の子なんかナンパしたんだ……? ボウズ、悪いがやっぱりさっきの話は忘れてくれ」
「えぇっ、私とセックスしたいって誘ってきたくせに!」
 女性の口調でこんなことを言って怒る男子小学生……なんかすごい破壊力。
 ちなみにお姉さんの身体になった男の子は、兄と思しき男の子と砂まみれになって浜で遊んでいる。クールな大人の女性といった先ほどの雰囲気……そこからは考えられない満面の笑みで、巨乳を揺らしながら大はしゃぎだ。
「すまない。でもこっちのお姉さんと遊ぶことにしたから、勘弁してくれ」
「人のことその気にさせておいて、信じらんない! 最低っ!」
 お姉さんは男の子の身体になっても拓馬くんとセックスしたかったみたいだけど……そんな趣味を持たない拓馬くんによって、あっさりと追い払われた。
 本当はビンタでもしたかったんだろうけど、手が届かないのでぺちっと脚をはたいて去る姿はなかなかに可愛らしかった。
「……しかし、何故今まで気付かなかったんだ? 隼人がこんなにセクシーな金髪ギャルだったなんて」
 なんでも何も、ついさっき金髪ギャルになったからだけど……やっぱりそれは自覚できていないようだ。僕は昔からこの身体で生きていることになっているらしい。
 今はそれも好都合だ。
 僕は自分から拓馬くんの手を取り、このたわわな胸に当ててやった。拓馬くんもニヤリとニヒルな笑みを浮かべ、僕のおっぱいを軽く揉み始める。
「僕とヤりたいの?」
「あぁ。隼人のおかげで恥をかかされたわけだし、お前に満足させてもらおう。一旦車に戻るから、ちょっとそこで待ってくれるか?」
「えっ? ……うん、いいよ」
「くれぐれも、他の男に引っかかるなよ」
「だ、大丈夫だって、僕も男になんか興味ないし」
 僕の返事に怪訝な表情を浮かべながらも、拓馬くんはビーチを去って行った。
 車の中でヤるならわかるんだけど、僕だけ置いて行ったということは……何か取りに行ったのかな? でも何を?
 考えてもわからないので、僕は適当に〈換骨奪体〉を発動した。人の身体を勝手に入れ替えるなんて、悪いことをしている自覚はあるけど……誰も困らないし、僕はすっかりこの力を使うことへの抵抗がなくなっていた。
 まずはある一家の父親を青いのビキニの女の子と、息子くんを白いパレオが似合う清楚な巨乳お姉さんと入れ替え、一家を女性だけにしてみたり。
 たくさんの男性に囲まれている、いわゆるサークルの姫みたいな女性を色黒で金髪の筋骨隆々なお兄さんと入れ替えたり。そのお兄さんも、ピンクのビキニに黒髪ツインテという男に媚び媚びの姿で茶髪のセクシーな女性と手を繋いで歩いている。
 ビーチチェアで寝転び肌を小麦色に焼こうとしているおじさんは、スク水の女の子と入れ替えた。きっと一部の男にウケの良い、綺麗なスク水型の日焼けあとができるだろう。
 そして彼ら彼女らの精神ははいずれ身体に合うように変化していく。みんなはこれから、どんな生活を送るのだろう……そう考えると、またおまんこが濡れてきた。
「悪い、待たせた」
 戻ってきた拓馬くんは大きなクーラーボックスと、大きな袋に入った円柱状の物体を抱えていた。なんだろうこれ、インドアなオタクにはレジャーの道具なんてさっぱりわからない。
「龍雄のやつ、ナンパに失敗したのか全裸でオナニーしたまま寝てやがった。ま、あいつのビビリな性格と貧相な身体じゃ、所詮ナンパは無理だったわけだ。でもアイドリング中のガソリン代は徴収しないとな」
 やっぱ拓馬くんにとっても、龍雄ちゃんは「大人しくて恥ずかしがり屋な女の子」ということになってるんだ。二人が知り合った経緯なんかも、改変されてたりするのかな。
 なんてニヤニヤしていると、拓馬くんは持ってきたものを広げて組み立て始めた。とても手際がよく、慣れている感じがする。
「すごっ、テント持って来てたんだ」
「あぁ、これさえあればどこでもヤれるからな」
「え、この中ですんの?」
「他にヤれそうな場所もないだろ、さっさと入れ」
 反論する間もなく、僕は背を押されテントの中に入った。
 人が二人並んで寝転ぶ分には、ギリで問題ない大きさだ。
 拓馬くんはクーラーボックスを開けると、僕に麦茶が入ったペットボトルを渡してくれた。さらに中の氷水にバスタオルを浸すと、それをテントの床に敷く。
 ただえっちするだけじゃなくて、ちゃんと暑さの対策までしてくれてるんだ。確かに龍雄ちゃんよりモテそうだなぁと、失礼ながら思った。
 冷えたタオルに膝立ちになって向かい合い、いよいよスタートだ。
「さて……気を悪くしたら申し訳ないが、隼人って処女か?」
「え?」
「見た目は遊んでそうなギャルなのにアニメのキャラを嫁とか言ってるオタクだから、経験があるのかないのか分かりにくいんだよ」
「あー……い、一応処女、かな」
 さっき龍雄くんとえっちなことしたばかりではあるけど、セックスをしたかと問われるとそうでもないし……僕は正直に答えた。
「そうか、なら俺がリードしよう。まずは身体をほぐしていくぞ」
 色っぽい声でそう告げて、拓馬くんは僕の身体を触ってきた。でもいきなりおっぱいを揉むわけではなく、首筋や鎖骨、乳房の上の方など、じっくり優しく触ってくる。
 ……なんか、汗ばむ肌と二人分の吐息、えっちな指遣いと視線に、そしてすぐ近くから聞こえる人の声、そこから感じられるスリルにドキドキキュンキュンしてくる。拓馬くん、本当にえっちが上手いのかも。
「どうだ? 一人だとこういうところを触ったりしないだろ?」
「う、うん……すごいね、拓馬くん」
「そりゃ今まで、何人もの女とレズセックスしてきたからな」
「拓馬くんも、触った方がいい……?」
「いや、俺はいい。隼人みたいなエロい女は、見てるだけで乳首が勃起してマンコが濡れてくる」
 ねっとりした高い声でそう囁き、拓馬くんは厚く柔らかい唇で耳を噛んできた。
 そう。テントを組み立て終わった時から既に、僕は拓馬くんの身体も女性と入れ替えている。
 今の拓馬くんはぽっちゃりした身体を薄紫のビキニに包んだ、垂れ目が優しげな大人の女性だ。黒い髪をポニーテールに括って少し明るい雰囲気が出ているが、パラソルの下でボーッとしていたあたり本来は大人しいインドア派なのだろう。歳は三十前半くらいかな。
 今の龍雄ちゃんの姿といい、僕はこういう陰の気配がある女性が好みなのかもしれない。
 身を寄せてからのボディタッチで触れ合うのは、手だけじゃない。水着から溢れんばかりの大きなおっぱい、そしてボトムの上に乗り出しタプンと揺れるお腹のお肉。温かくて柔らかい、そのボリュームのある身体が触れるだけでムラムラも高まる。
 さらに僕を興奮させるのは、拓馬くんの左手の指輪だ。
 僕は拓馬くんの身体を、おっとりぽっちゃりな清楚系人妻と入れ替えてしまった。
 とはいえこの身体が人妻だと知ったのは入れ替えてからだし、NTRってむしろ嫌悪するジャンルだったけど……いざ自分が当事者となると、たぎるものがある。
 一生を旦那さんに誓い捧げた女性と、金髪ギャルの僕がセックスしようとしているなんて、背徳感と優越感がすごい。
 そして清楚で一途そうな見た目の印象に反し、拓馬くんはついに細い指で僕のおっぱいをいやらしく揉んでいく。さらに人妻の厚い唇と滑らかな舌先を使って、僕の首筋に情熱的なキスを繰り返す。
「ちゅ、むちゅっ……どうだ隼人、もうマンコが濡れてきたんじゃないか?」
「あんま恥ずかしいこと聞かないでよ……」
 なんて言いつつ、僕は拓馬くんの手を掴んで股関を触らせてやった。
 拓馬くんは嬉しそうに目を細めると……僕の手を取り、同じように股関を触らせてきた。汗とは違うぬめりが、指先で感じられる。
「俺も、感じている隼人に興奮してこんなに濡れちまった。そろそろヤるか?」
「あ、でもその前に……拓馬くんのおっぱいも触らせて欲しいな」
「そうか、なら好きなだけ触れ。俺もおっぱいの大きさには自信があるからな」
 僕の思惑も知らず、拓馬くんは水着の上を脱いでくれた。「自信がある」というだけあって、やっぱり大きい。乳首ももうツンと勃っていて、拓馬くんが人妻の身体で発情しちゃっていることがわかる。
 でも僕は、ただおっぱいが揉みたいだけじゃない。
 龍雄ちゃんと同じように……快感によって、拓馬くんの精神を身体に適したものに上書きしようとしている。
 だってこんなにも自信家でカッコいい拓馬くんが、優しげな人妻の人格になったら……絶対面白いし、興奮するもん。
「じゃあ、触るね」
 僕は拓馬くんの胸に手を伸ばした。
「はぁん……♡」
 感度もなかなか高いみたいだ。乳首に少し触れただけで、拓馬くんは色っぽい声を上げた。
 巨乳を触りたいだけなら僕自身のおっぱいを触ればいい。でも拓馬くんの胸にあるのは、本当なら旦那さんしか触ることが許されない人妻のおっぱい。そこに手触り以上の価値を感じてしまう。
「隼人ぉ、そんなにおっぱい揉まれたら、なんだか恥ずかしくなってきたんだけど」
「へー、拓馬くんでも恥ずかしくなることあるんだ」
「そりゃ俺だって女だし……隼人みたいに派手で可愛くもないし」
 お、拓馬くんの性格が少し変わってきた。
 なんだか卑屈というか、自己肯定感が低めな感じ? 自分の胸と僕の胸を見比べて、顔を赤くして俯いちゃった。
「大丈夫だよ、拓馬くんめっちゃ僕のタイプだし。美人で全身ぷにぷにで、バブみを感じる的な? ちょっとおっぱい吸いたくなっちゃった」
 僕は欲望に従い、拓馬くんの乳首に吸い付いた。
 指で触ると柔らかい感じがしたけど、唇で挟むとしっかりと固い。挟み応えがあるっていうか……つい唇ではむはむしたくなるっていうか。舌でツンツンすると、拓馬くんの身体がビクッと震えるのがわかって面白い。
「あぁん、おっぱい吸っちゃダメぇっ♡ 俺、あの人の妻なのにぃ……え、いや、あの人って誰だ……? でも俺は女で、指輪もしてる人妻で……やだ、どうなってるの……?」
 とうとう口調まで変わってきたけど、龍雄ちゃんの時よりもなんだか複雑なことになってそう。
 でも見込んだ通り押しに弱そうだから……ここからは攻守交代、僕のギャルマインドで積極的にリードしてあげなきゃ。
「ぷはっ。拓馬くんのおっぱい、めちゃ美味しいじゃん。頑張ればおちち出るんじゃない?」
「えっ……さすがにもう出ないわよ、娘を産んで五年経ってるんだもの。あれ、でも俺に娘なんていないのに……」
 わ、拓馬くんの身体は出産まで経験してたんだ。でもって、逆に五歳の娘がいるお母さんはクールでカッコいい男子大学生の身体と人格に……そっちも気になるなぁ。
 けど今は、拓馬ママとのえっちに集中しなきゃね。
「ま、家族のことは一旦置いといて、早くセックスしよ?」
「でも、俺には夫が……うぅ、なんでこんなに夫や娘がいる気になるのかしら……きゃっ」
 まだ頭が混乱しているみたいなので、その隙をついて僕は拓馬さんのビキニのボトムの紐を解いた。大人しい性格なのに上も下も紐で解けるビキニを着ているのは、旦那の趣味だろうか。
 あまり毛の処理はしていないようで、拓馬さんもすぐに手で股を隠した。
「ま、待って、これ以上は本当にダメ……!」
「えー、僕みたいなギャルとセックスしたかったんでしょ?」
「それは……気の迷いだったの。最近夫が相手してくれないからって、どうかしてた……のかしら? とにかく、俺は女同士なんて……」
 龍雄ちゃんと同じように、最初は遠慮する拓馬さん。
 でもその身体ができあがっていることを、僕は知っている。それに……男としての性欲が、なくなっていないことも。
 僕も水着を脱いで裸になると、胸や股に拓馬さんの視線を感じた。女の子同士のセックスを否定したはずの人妻は、しかし僕のスタイルの良い女体から目が離せないようだ。
 そして僕の身体に興奮したのか……股関を隠していたはずの手で、とっくにトロトロになっているおまんこをいじり始めた。
「うそ、なんで……? 俺、女の子の裸にムラムラして……あんっ、こんなの、変なのに……」
「変じゃないって。拓馬さんは人妻なのに、わざわざ海に女の子をナンパしに来るような女だったでしょ? 旦那さんがいるのに、若い女の子とえっちするのが大好きなイケナイ女、でしょ?」
 中途半端な改変によって辻褄が合わなくなり、自分のアイデンティティを見失ってしまった拓馬さん。
 そこにつけ込んで良い加減なことを言ってみたけど、拓馬さんは「そう……そうよね、そうだったわ」とやけにしっくりきているようだった。
 とはいえ、羞恥心や背徳心は捨てられないらしい。僕を見てオナニーをするばかりで、積極的に交わることにはまだ躊躇いがあるっぽい。
 なので僕は身を屈め、拓馬さんを押し倒した。抵抗は一切なかった。
「一人でオナニーしてないで、一緒に楽しも?」
「えぇ……」
 同意を得た僕は拓馬さんの足首を掴み、いわゆるまんぐり返しの体勢を取らせた。
 女性器の周囲はあまり毛が濃くなく、指でかき分けずとも拓馬さんのおまんこを除くことができた。すっかり濡れていて、クチュ、クチュ、と何かに期待して蠢いている。
 やっぱり龍雄ちゃんのともまた違うな。
「あぁん、見られちゃってる……。夫にしか見せたことのない俺の経産婦おまんこ、女子大生に見られちゃってる……♡」
 言葉にはまだ恥じらいが感じられるけれど、確かな欲望も感じられた。「このまま身を任せたらどうなっちゃうんだろう」という、ある種破滅的な欲求。これは人妻と入れ替わった拓馬さんにしか味わえないだろうね。
「じゃあ、始めるよ」
 僕は拓馬さんの上に覆い被さった。
 二人分の大きなおっぱいがむにゅっと重なり、その柔らかさの中に勃起した乳首の存在を感じて興奮が高まる。
 角度や向きの都合上ギリギリおまんこを重ねることはできないけど、お互いの股関が湿っていることはわかった。僕の膣から垂れた愛液が拓馬さんのお股に垂れて、混じり合う粘液に僕は体験したことがないほどのムラムラを感じていた。
「あはぁん……♡ 俺、ママなのに……やっぱりレズビアンだったんだ♡ 女子大生とおまんこちゅっちゅして、んぁ、浮気レズえっち……すっごくドキドキしちゃう♡」
「僕も、拓馬さんとくっついてるだけで愛液止まんない……♡ テントのすぐ外で子どもの声がするのに、人妻とこんなことしちゃうなんて。拓馬さぁん、旦那さんと僕、どっちが好き?」
「そんなの、ぁんっ、隼人ちゃんに決まってるじゃない♡ 若くて、可愛くて、おっぱいが大きくておまんこまであるんだもん♡ 俺も男なんかより、えっちな女の子の方が大好きよ♡」
 なんて言い合いながら、おっぱいと唇を重ねてさらに気持ちよくなる。女好きという趣味嗜好は、拓馬さんも相変わらずみたい。
 テントに敷いたタオルの冷気はまだ感じられるけれど、それでも汗が流れて肌に塗った日焼け止めと混ざり、ローションのように僕たちの身体をヌルヌルにする。
 あとはもう、雰囲気で押し切れる気がした。
「ほら、イっちゃえっ♡ 清楚ぶってないで、ギャルと乳合わせして大声で喘いじゃえっ♡」
「いや、だめぇっ……♡ 声なんて、出したらぁ、みんなに聞かれちゃうっ……♡ んあぁっ、でも我慢、できないのぉっ♡ 可愛いギャルちゃんに、俺のママおっぱいいじめられてっ……イク、イっちゃうぅっ……おっぱいで、イクぅぅぅぅっ♡」
 周りに人がいる中で、人妻なのにギャルとの背徳レズえっち。その興奮にあっさり負けてしまった拓馬さんは、僕と全身を擦り合わせているだけでイってしまった。しかも最後には大声を上げながら。
 拓馬さんは恥ずかしさのあまり、「しばらくテントから出たくない」と仰ったので……今度は僕のおまんこを舐めてもらった。だって僕はまだイってなかったし。
 たどたどしい人妻のクンニは十分に僕を興奮させ、僕も気持ちよくイクことができた。
 ただ僕も声を上げてしまったので、またしばらくテントから出られなくなってしまった。
 





「はぁ……なーんか忘れ物がある気がするんだけど、車、出しちゃうわね」
「うん、別にいいんじゃない?」
 拓馬さんに車を運転してもらい、僕たちは海水浴場を出ることにした。拓馬さんの言う『忘れ物』とは、自分たちの身体と性格のことなんだろうけど……彼女らがそれに気付くことはきっとない。
「あの……それより服とか、どうしましょう……? 俺、ずっと水着姿なんて、恥ずかしいです……」
 後部座席で僕の隣に座る龍雄ちゃんは、顔を赤くして呟いた。
 残念ながらこの車には、僕たちが男だった時の服しか残されていない。でも特に体格が大きく変わった龍雄ちゃんは、それを着ることができなかった。
 なので水着姿のまま車に乗っているわけだけど、弱気な態度が相変わらず可愛い。
「それもそうね……じゃあ帰る前に、服を買いに行きましょうか。夏休みが明けたら俺たちも大学生活に戻るわけだし、女の子らしい服を買っておかなきゃ」
「僕は別に、家にあるアニメキャラのフルプリントTシャツで充分なんだけど」
「もうっ、隼人ちゃんも女の子なんだからオシャレしなきゃ勿体無いわ。せっかく可愛くてスタイルも良いのに」
「そ、そうですよ、隼人さん……! 俺、隼人さんが可愛い服を着てるところも、見てみたいです……」
 二人はそう勧めてくれるけれど、気が強いギャルの身体や口調を手に入れても、僕は相変わらずアニメオタクみたい。服とかどーでもよくない? なんて思っちゃう。
 でもま、性別や性格が変わった二人がどんな服を選ぶのかは気になるし。
「じゃあ龍雄ちゃんがおっぱい揉ませてくれるなら、付き合ってあげようかな」
「うぇ!? ……わかり、ました。恥ずかしいですけど、俺のおっぱい……揉んで、ください……」
 龍雄ちゃんは顔を赤くしながらも、水着の肩紐を外して小ぶりな胸を晒した。
 心まで大人しい女の子になっても、性的嗜好は変わらないまま。『僕におっぱいを揉んでもらう』ということは、『可愛いギャルに手コキしてもらえる』ぐらいの価値があるのかもしれない。
「あぁん、ずるいわ龍雄ちゃん。俺だって、また隼人ちゃんにおっぱいいじめて欲しいのにぃ♡」
 拓馬さんも甘ったるい声で羨むあたり、僕の仮説は間違っていないようだ。
「はぁんっ、俺の乳首、気持ちいいですぅ……♡ あ、ダメ、おまんこもすぐ、ヌルヌルになっちゃうっ♡」
 未成熟な身体でも、男子大学生のスケベさは変わらない。龍雄ちゃんはすぐ興奮し、身を捩らせた。
 これからも三人で過ごすエッチな日常が待っているのかな。この身体でナンパを誘って、声をかけてきた男をまた女の子と入れ替えるのもいいな。
 そんなことを考えていると……僕のおまんこも、濡れてきた。

あとがき
三回目の参加となります、異空です。
悩んだ結果、今回は改変ものにしました。入れ替わり本来の旨味は減ってしまいますが、やっぱり大好きなので…
「初めて書いたTS小説も改変入れ替わりものだったなぁ」と、初心に帰ることができました。

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