「ーーーえっ……?いま、なんてー?」
彼女からの突然の”爆弾発言”に戸惑いの表情を浮かべる彼氏ー。
「ーーだ~か~ら~、プレゼントは”わたし”なの!」
彼女の宮村 紀香(みやむら のりか)がそんな言葉を口にするー。
「ーーー????ど、ど、どういうことー?」
紀香の言葉に、再度、”意味不明”と言いたげな表情を浮かべる
彼氏ー、大沼 和樹(おおぬま かずき)ー。
「ー今日は和樹くんの誕生日でしょ?
だから、和樹くんには”わたし”をプレゼントしようと思ってー。」
紀香はそう言うと、
”謎の注射器”を取り出すー。
「この注射器を打ち込むとね、
わたし、”着ぐるみ”みたいにペラペラになるのー。
それでねー、
着ぐるみみたいな状態になったわたしを和樹くんが着ると、
和樹くんは”わたし”になることができるのー。
これを使って
今から”2時間”わたしの身体を和樹くんに貸してあげるから、
この家の中から1歩も出ないのと、
ネットに写真を晒したり、誰かに電話したり、
そういうことしなければー、
わたしの身体ー、和樹くんの好きにしていいよー。
ーーこれが、和樹くんへの誕生日プレゼントー。
わかったー?」
紀香のその言葉に、
和樹は頭に「???」をまだ浮かべながらも、
「えー…え???つ、つまり、僕がーー…宮村さんになるってことー?」と、
そう言葉を口にするー。
「ーそ。和樹くん、奥手すぎるしー
ちょっとはー…そのー…なんていうかー…
色々、興味を持ってほしいなぁ~って」
紀香がそんな言葉を口にするー。
大学で知り合い、サークル活動がきっかけで
親しくなった二人ー。
その流れで付き合い始めー、
今でも二人は仲良しだー。
彼氏の和樹は穏やかな性格で、
喧嘩することもなく、紀香自身も
そんな和樹のことを信頼し、好きではあったもののー、
その一方でー…”奥手すぎる”和樹に
少し不安を覚えていたー。
そんな和樹にーー
”少し、興味を持ってほしい”と、
そう考えた結果がー
”プレゼントはわたし”というものだったー。
「ーーー…え…で、でも、ほ、本当にそんなことできるのー?」
和樹がそう言うと、
紀香の返事を聞く前に、
「いや、そもそもーできたとしても、宮村さんは大丈夫なの?」と、
そう言葉を付け加えるー。
「それは大丈夫ー
実家の妹に手伝ってもらって既に試してあるからー。
わたしの健康には問題ないしー、
2時間、わたしの身体で楽しんだら、
わたしを脱いで、脱ぎ捨てたわたしにこの注射器を
もう1回、ぷすっと打ち込んでくれれば
人間に戻れるからー!」
紀香が、笑いながらそう説明するー。
「ーあ、もちろん2時間ピッタリじゃなくて
少し前後しても大丈夫だから、あまり重く考えすぎなくていいからねー。
別に、どんなに長く皮になってても、健康被害とかはないみたいだから」
紀香のその説明に、
「そ、そっかー」と、まだ半信半疑な様子の和樹ー。
それにー、と、和樹は戸惑いながら言葉を続けるー。
「ーいくら彼氏が相手だからってー、
そんなー…なんて言うか、自分の身体自体を貸すみたいなことってー…
怖かったりしないのー?」
心配そうな和樹ー。
紀香は「ーあはは、それは絶対大丈夫ー。
もちろん、他の男子にこんなことしないしー、
相手が男子じゃなくても、身体を貸したりなんかしないしー」と、
笑いながら答えるー。
”身体を貸す”のは、あくまでも相手が和樹だからであってー、
他の人相手にも、ホイホイと身体を貸すわけではないー。
「ーそっかーそ、それならー…」
和樹はそう言葉を口にすると、
「ーあ!念のため、元に戻す時の方法、もう1回聞いていいー?」と、
不安そうに呟くー。
「宮村さんが喋れない状態になっちゃったら、
僕が元に戻す方法、勘違いしてたり忘れちゃったら大変だしー」
和樹のその言葉に、紀香は「あははー確かにそれもそうだねー」と、
納得した様子で、「じゃ、一応紙にも書いておくからー
もし忘れちゃったら、これを確認してー」と、紀香は
そう言いながら、和樹からメモ用紙を受け取って
そこに元に戻す方法を記入し始めるー。
「ーと、言っても簡単な方法だけどねー」
”脱いで、脱いだ状態の皮に、人を皮にする注射器を打ち込む”
元に戻す方法は、それだけー。
特に難しいことはないー。
「ーーじゃあ、ということでー」
紀香はそう言うと、和樹の方を見つめながら
人を皮にする注射器を手にしたー。
「ーー誕生日おめでとう!!!
プレゼントは、わたし!!」
そう言いながら、紀香は迷うことなく、
自分自身に”人を皮にする注射器”を打ち込むー
「ヴッ…」
なんだか苦しそうな声を上げる紀香ー。
「この…身体から、全部が抜けていく感覚ーーーー
ぁ……えへへへー…何度試しても 気持ちわる~い」
ニコニコしながらも、だんだんと力が抜けて来たのか
ふらふらし始める紀香ー。
「ーぁ、、大丈夫ーー気にしないでーーー
じゃーーたのしんで ねーー」
一気に空気が抜けるかのように、
その場に倒れ込んで”着ぐるみ”のようなペラペラの状態になった紀香を見て
和樹は驚いた表情を浮かべながら、
床に落ちた”人を皮にする注射器”を慌てて拾って、
大切そうにそれを机の上に置くー。
”これを壊しちゃったりしたら、宮村さんを元に戻せなくなっちゃうから
しっかりと置いておかないとー”
そう思いつつ、ペラペラの紀香を見つめると、
ゴクリと唾を飲み込む和樹ー。
”ーーーーー”
しばらく考え込むも、
和樹はようやく意を決したのか、
”紀香”の皮を身に着けていくー。
「ーなんかー…破れちゃいそうで怖いなぁ…」
そう呟きながら、紀香を半分ほど着終えた和樹は、
そのままさらに紀香を着ていくー。
やがて、完全に紀香を着た和樹は
鏡を見つめながら、驚きの声を上げたー。
「ーーー!ぼ、僕がーホントにーー」
そこまで言いかけて、紀香を着た和樹は
思わず口を閉ざすー。
「ーー!!…
み、み、み、宮村さんの声ー!?」
紀香の”皮”を着たことで、
自分の口からは紀香の声が出るようになったー。
それだけで、ドキドキが止まらなくなってしまうー。
「~~~~~あ…あ~~~~あ…」
少しずつ声を出す、紀香になった和樹ー。
やはり、紀香の声ー。
「こ、この声で僕が好きな言葉をしゃべれるなんてー…
な、なんかすごいー」
心臓がバクバクするー。
身体中が火照るー。
しかもー、”紀香の皮”を着て、紀香の身体を
使っているからだろうかー。
今までに感じたことのない
”いつもとは違うゾクゾク”を感じるー。
「ーーな、なんか変な感じー
こ、これがー…女の人の興奮ーーーなのかなー?」
そう思いつつも、そわそわしながら
鏡を見つめるー。
いつもは”他人の顔”でしかない紀香の顔に
今日は”自分の思いのまま”の表情をさせることができるー。
笑った顔ー
嬉しそうな顔ー
怒った顔ー
悪人顔ー。
色々な顔を紀香にさせて、
「ーあぁ…ヤバいー…これ、僕には刺激的すぎるー」
と、紀香の身体を借りて数分で、それにドキドキで
身体が破裂しそうになってしまうー。
が、せっかくの紀香からのプレゼントー。
今度はーー
”手”を見つめるー
「女子の手って、なんていうかー
やっぱ、すごくー
そのー…綺麗っていうかー…」
語学力を失った状態で、
自分の手を見つめるー。
綺麗な手に見とれながら、
自分のもう片方の手で
紀香の手を触るー
「えへ…えへへへーすごいー…すべすべっていうかー…
いや、もう、何か分かんないけど、すごいー」
再び互角力を失う和樹ー。
ドキドキがやがて、明確な快感へと変わって行くー。
心臓をバクバクとさせながら、笑みを浮かべると
そのまま胸の方を見つめるー。
胸の膨らみを見ただけで、ドキドキゾクゾクしてしまうー。
紀香と付き合い始めてからも、
奥手な和樹は、手を握るぐらいが限界だったしー、
その手を握るのも、そもそも和樹から仕掛けたわけではなく、
紀香の側から、半分強引に握られたー…
そんな感じだったー。
当然、紀香の胸に触れたことなどないー。
だからこそ、紀香も自分を皮にして”プレゼントはわたし”
などということをしたのかもしれないー。
「ーーー…っ!」
胸に少しだけ手を触れると、紀香はすぐにビクッとして
手をその場から離すー
「え…えへへー…す、すごい緊張するー」
何度も、胸に少し触れては
すぐに逃げるようにして手を離すー…
それを繰り返していく紀香になった和樹ー。
がー、やがて、
意を決したのか、目を閉じて深呼吸してから
ひと思いに胸を揉み始めたー。
「ーーあっ…す、すごっーなんだこれー気持ちいいー
えへへへへー」
紀香は、ニヤニヤしながら顔を真っ赤にして
そんな言葉を口にするー。
そもそも、”触る”という経験もしたことがない和樹からすればー、
”触る側”と”触られる側”
その2つの快感を同時に初体験して、
頭がおかしくなってしまいそうなほどの
ゾクゾクー…快感を味わうー。
思わず笑ってしまう紀香ー。
どんどん高まっていく興奮を噛みしめながら
夢中になって胸を揉み続ける紀香ー。
それをきっかけにー、
最初はドキドキして何をするにもぎこちない動きだった和樹は
次第に紀香の身体で好き放題楽しんでいくようになるー。
スカートをめくってみたりー、
色々なポーズをさせてみたりー、
足を触りながら嬉しそうに笑ったりー、
さらにはアソコのあたりを触って嬉しそうにしたりー、
とにかく、色々な快感を手あたり次第楽しんでいくー。
「ーはぁ…はぁ…♡ すごい…すごすぎるよー…
それにーー最高だー…♡」
疲れ切った様子も見せつつ、うっとりとした表情を浮かべる紀香ー。
ニヤニヤしながら、まだ飽きない、と言わんばかりに
自分の身体を弄ぶと、
やがて、時計の方を見つめたー。
「ーーーーー…」
あまりの楽しさに、既に”3時間”が経過しているー。
紀香との約束は”2時間”だー。
少し過ぎてもいいと言われたけれど、
大幅に時間を過ぎてしまったー
「ーーすごいー…こんな最高だなんてー」
紀香はそう言葉を口にしながら、
よろよろと立ち上がると、
机の上に置いておいた、元に戻るための方法が
記された紙を見つめるー。
そしてー
事前に紀香本人に確認しておいた通り
皮を脱ぐための手順を踏み、
紀香の皮を脱ぐー。
「ーーーー」
自分の姿を鏡で見つめる和樹ー。
がーー
そこで、和樹はふと、言葉を口にしたー。
「ーー…いやだー」
とー。
「ーーーいやだー…戻りたくない」
とー。
脱ぎ捨てた紀香の皮を見て、
紀香を元に戻すのではなく、
それを再び”着る”和樹ー。
再び紀香になった和樹は
「ーこんな最高の身体ー…手放すことなんてできないよー!」
と、ニヤニヤしながら叫ぶー。
「僕はー大沼和樹じゃなくてー
き、今日から宮村紀香だー!
わ、わ、わたしはーー
えへへへへー
わたしは宮村 紀香ーー
えへへへへへっ♡」
紀香の皮を着て、紀香の身体を体験するー
そんな経験をした和樹は
この数時間ですっかりその欲望の虜になってしまったー。
机の上に置いてあった”元に戻すための方法”が
書かれた紙をそのまま破り捨てると、
紀香は「えへへへー…さ~て…また楽しんじゃおうかなっ!」と、
嬉しそうに笑うー。
”プレゼントはわたし”ー
和樹を信頼し、自らを皮にしてしまった紀香はー、
そのまま完全に乗っ取られてしまいー、
2度と、意識を取り戻すことはなかったー。
おわり
新作を書いてみました~!
TSFes様のお祭りに参加するのは
今回が確か3度目ですネ~!
他にも色々予定があって、
少し難しそう…と思っていたのですが
通常の更新の1話分なら大丈夫そう…★!
ということで、無事にこうして作品が完成しました~~!!
少しでもお祭りの賑やかしに、
そして、皆様が楽しめる作品になっていると嬉しいデス~!
お読み下さりありがとうございました~!!