『〇〇県▢▢市替々の湯での記録』後編

まえがき
後編です。お待たせしました……!申し訳ございません……!そしてもう1件!あともう一つの編で終了にさせていただきます。残り2つ完結編にて走らせていただきます!とんでもない量の入れ替わりと、他者と入れ替わり済みの人物同士の入れ替わりの2つになります!
今回の後編は3編。それぞれ書き方に違いを持たせてみました。キャラ視点、神視点、キャラの心情メインです。そしてそして、後編の物語の中に出てくるある2組の既に入れ替わっている人物のストーリーをいつかオマケとしてPixivに投稿するかもしれません…お楽しみに!それでは、後編もよろしくお願いします……!!

『〇〇県▢▢市替々の湯での記録』後編

「替々の湯」について
一.政府公認の銭湯です。
二.上記のため、どんな異変がありましても当銭湯は一切の責任を負いません。
三.「替々の湯」にて異変がありましたら、必ず銭湯スタッフに連絡してください。
四.異変は必ず起こる訳ではありませんので気軽な気持ちでお入りください。
五.異変は湯に浸からずとも起きてしまうかもしれません。

その1
[20XX年8月18日 西田聡(43),西田楓(43),西田凌(16),西田翔斗(10),西田碧(8)]
※今回のラスト掲載のインタビューは各自2問になります。
 「いや~、マジでいいんっスか、俺も……?」
「ええ、もちろん。遠慮しなくていいわよ」
「いや、それでも、やっぱ……」
俺、森 樹(もり いつき)は今何故か西田(にしだ)家の皆さんの車に乗せてもらい銭湯へと向かっている。
「お、おい!ほんとにいいのか?家族水入らずのとこ、俺も!って?」
隣に座っている凌(りょう)にも小さな声で再確認した。
「いいって、いいって。かーちゃんもとーちゃんも世話焼きだから」
「そ、それでもよ……なんかさすがに申し訳ないっていうかよ、ごはん食べさせてくれたりお前ん家にたまーに泊めさてもらうこと、去年の冬頃からずっとさせてもらってるし」
「んーー……多分俺がかーちゃんたちに言ったせいだわ」
凌は俺を見ていた目線を窓へずらしながら言った。
「は?なにをだよ?」
「お前の家のこと……樹から口止めされてたけどやっぱ俺も心配だから言ったんだわ。そしたら、かーちゃんたち『樹くん今度招待してあげなさい』とか『樹くんの都合のつく日はいつだ?』とか言ってくるようなってよ」
凌は窓へずらしていた目線をまた俺に戻すと少し笑った表情をしていた。……多分凌、それに聡(さとし)さんと楓(かえで)さんは俺が家の都合で高校生から生まれ育った地元を離れて親戚のおじさん、おばさんの家で暮らしていること。おばさんが去年の秋頃から入退院を繰り返し、おじさんは仕事で夜中にしか帰ってこないこと。それを心配してくれているのだろう。おばさんのお見舞いに楓さんと凌はたまに付いてきてくれることがあったりもする。おじさんのこともおばさんが入退院を繰り返していることで寂しくないかを気遣ってか聡さんがよくゴルフや魚釣りに誘っているようだ。……やっぱ世話焼きのあったかい家族なんだな、そう強く感じると俺は笑顔がこぼれた。凌はそれに気づいたようだが、特に何も言わずにまた窓を見た。
「そういえば、今から行く銭湯ってどんなとこなんですか?」
「ん?まだ凌から聞いてないのかい?」
「樹くんに言っといて、って言ったでしょ?」
凌は「やっべ」という顔をしながら下を向いた。
「にーちゃんは忘れん坊だな~」
「凌ちゃん忘れんぼさ~ん」
凌の弟の翔斗(しょうと)と妹の碧(あおい)ちゃんがクスクス笑う。
「わりぃ、樹。説明忘れてて……お前この辺地元じゃねーから詳しくないよな?」
「もう2年は住んでるけどあんまり……今から行く銭湯の場所も知らねーし」
「えっとだなー……お前『入れ替わることがあるかもしれない銭湯』って聞いたことあるか?」
「ん?まぁ、一応は。都市伝説とかYo〇Tuberの企画とかSNSとかで。……あれ?そういえば、その銭湯の場所って確かこの県だったような……」
「あぁ、そう。そうだよ。ここだ」
「……は?」
俺は目を大きく開いて凌を見つめる。
「いや、マジでわりぃ、ほんとわりぃ……」
凌は手を合わせながら頭を何度も下げている。
「……ま、いいけどよ。普段凌たちには世話なってるし、YouT〇berの企画で観たときも入れ替わってなかったしよ。けどSNSとかでは『入れ替わった』っての見るし、たまーにテレビで『有名〇〇、入れ替わりの銭湯により今後の生活は!?』とかされてるの見かけるけど、絶対起こるんじゃないだろ?」
「そうそう!だから、安心しろ!」
凌はさっきまでの申し訳なさそうな顔から笑顔になった。だから俺も凌に続いて笑顔を見せた。
「そうだな!安心だな!はははは……って、安心できるか!」
だが、俺はすぐに笑顔を外した。
「あ、ですよねー……」
凌は汗を流しながら、俺から目線を外した。
「もし、俺がお前になったら恥ずかしいこといっぱいしてやるよ」
「樹にぃ!それならそれなら、にーちゃんの体で裸芸人のネタするとかどう!?」
「いいな!採用!」
「うっ、やめろ……」
「樹ちゃん!これは?凌ちゃんの体でプリンセスのドレスを着て私とお姫様ごっこ!!」
「碧ちゃんナイスアイデアじゃん!」
「やめてくれ……」
「んー、こんなのとかはどう?凌の体で大胆なイメチェンしちゃう~、とか?坊主とか!ふふふっ……!」
「それもいいですね!」
「マジでやめろ……」
弟、妹、お母さんから攻撃をされて凌は今までに見たことのない落ち込み方をしていた。
「まぁ、けど、もしも凌が樹くんと入れ替わって凌の体で恥ずかしいことをしても中身が樹くんであることは周りに知られるし、元の体に戻れる保証もないからあんまりダメージないんじゃないんか?」
「……いや、それでもよ、とーちゃん?俺の目の前で俺の体が変なことされてたらダメージに決まってるだろ……」
「んーー、まぁ、そこは実際に入れ替わらないと分からない部分かもな」
聡さんはそう言うと笑った。
 それから30分ほど、走っていると目的地の銭湯に着いた。
「ここ、ですか……?」
「そ!ここが目的の銭湯!」
俺が聞くと、楓さんがウインクしながら答えてくれた。
「……えっと、そういえば、ずっと車の中で聞こうか迷ってたんですけど、どうしてこんなとこに俺を……?」
「ん~……?なんとなく、かな?お父さんと話してフツーの場所よりかはこの辺の名物(?)スポットの方が樹くん楽しんでくれるかな~……って!」
「は、はぁ……」
楓さんはいつも通りの笑顔で答えてきた。
「なぁ!なぁなぁー!!俺入れ替わるんならぜーーったい、樹にぃがいい!樹にぃ、にーちゃんよりもイケメンだしスポーツもできるし背も高いからよー!」
「あー!ずるいー!私も樹ちゃんがいい!!樹ちゃんになってイケメンライフ楽しむのーー!それでそれで、私になった樹ちゃんと一緒に住んだり……」
翔斗と碧ちゃんが一斉に俺の近くに寄ってくると、『俺と入れ替わりたい』と言ってきた。どこか嬉しくはあるが、気持ち悪さもある……正直微妙な気持ちになる……ごめん翔斗、碧ちゃん……。特に碧ちゃんは顔を赤くさせながら言ってきた。碧ちゃんはどうやら俺に気があるようでいつも西田家に遊びに行ったり泊まりに行ったら楓さんと一生懸命作ったという俺へのお菓子を大量にくれたり、隣に座ってきたり、凌の部屋にいる俺を覗きに来て碧ちゃんに気付くと喜んで凌の部屋に入ってきたりなどなど、そういったアプローチをしてくる。こ、これは別に俺の考えすぎとかではなく、西田家(初心な翔斗を除く)全員公認のことだ。碧ちゃんは小学校高学年、俺は高校2年。さすがに年の差でアウトだ……
「あはははっ……ありがとな2人とも。俺なんかになりたい~、とか言ってくれてよ……」
俺は嬉しさもありながら若干の気持ち悪さもあったが、小学生の2人相手にそれを出すのは「大人げない」というものなので精いっぱい抑えて引きつっているかもしれないが笑顔を見せた。
「んじゃさ、んじゃさー!樹にぃは誰と入れ替わりたいんだよ?あ、俺らの家の中でな!」
「は!?え、えーっと……そうだなー……」
『入れ替わりたい』だとかそんなことを考えたこともない16,7年間だったので翔斗に聞かれて俺は戸惑った。というか、西田家限定で?もし、翔斗を選ぶと、碧ちゃんの機嫌が悪くなるだろうし、碧ちゃんを選ぶのもそれはそれでキモイ……うん、キモイ。年の差を考えろ。2人以外だと、楓さんであってもキモイ。なにが悲しくて友だちのお母さんを選ぶんだよ、気持ち悪い。凌は凌で、凌に対して変な気持ちがあるように思われて気まずくならないか?しかも凌に対して『変な気』がある、と勘違いされる可能性もある。それなら、聡さんが一番の抜け道……?いや、けど、なんで17の青春真っ盛りの体を捨てて40代の、しかも男にならないといけないんだ……?
「……ん、んんんーーー……そうだなー……」
「おい、お前らあんまり樹のこと困らせんなよ」
ナ、ナイスアシスト、凌!!救いの神だ、お前は!!
「ご、ごめんな、2人とも。あんまりすぐに思いつかなくって」
「えー」
「ざんねーん!」
翔斗と碧ちゃんは不満そうな顔をした。
「ありがとな、凌!マジでナイス!」
俺は凌に感謝を伝えると、凌は頷くだけだった。今のお前クールだよ……!
その後、俺たちは銭湯の中に入ると、俺ら男組と、楓さんと碧ちゃんの女性組で当たり前のことだが、別れた。
「お?翔、お前ちょっと肉ついてきてんな」
凌が服を脱いだ翔斗を見ると、そう言った。言われた翔斗は自慢げにパンツ一丁で上半身を見せつけてきた。
「だろー!ごはん残さず食べてサッカーだけじゃなくて、水泳も始めたからな!にーちゃんとはちげぇの!」
「う、うるせー!」
「へへへっ、目指せ、樹にぃみたいなシックスパック!!」
翔斗がそんなことを言うと、凌は自分の腹と俺の腹を5度くらい見比べて自分の腹を悲しげに触っていた。
「俺も、本気出せば……」
そんなことを呟いていたようにも聞こえたが聞かなかったことにしておいた。
「ま、とーちゃんは俺の味方だもんな?」
凌は聡さんのお腹を見ながらそう言う。
「あ、あぁ!そうだ!けど、お父さんも昔は……昔は……」
聡さんも悲しげに自分の腹を触っていた。聡さんの場合がお腹に毛が生えていることもあってより虚しさが感じられて俺は聡さんを直視できなかった。
「……なーなー?樹にぃたちっていつからち〇こに毛生えたんだよ?」
翔斗はパンツを脱ぎながら俺や凌の毛を見てきた。
「ん?俺は中2の秋頃。」
「マジ?遅くね?俺、小5の夏頃……」
「え!樹にぃ、今の俺くらいのときには生えてたのかよ!!すっげーー!!俺の学年3人しかまだいないけどソイツらすげーよ!みんなからプールんとき、注目されててよ!!」
「あー、あるよなー」
「あるある。俺は注目されてる側だったなー」
「とーちゃんは?」
「ん?お父さんは……小6の春だったかな」
「うおーー!俺、いつなんだろなー……あ、足とか脇とか腕とかは!?絶対生えるのか!?」
翔斗は股間への注目から違う部分へと目をやった。
「人によるだろ」
「あー……そっか。そうだよな。とーちゃんは足も脇もあるけど腕ねーし、樹にぃは……脇だけ、にーちゃんは足だけだもんな、俺はどうなるんだろなー……」
翔斗は小5だからこそなのか、思春期男子のような悩みや質問を俺らの裸を見るとぶつけてきた。なんだか懐かしい。俺にもそういう時期あったっけなー……
「じゃ、行こうぜ!風呂ん中―!!」
「あ、おい!走ったら危ないぞ……ったく。俺らも行くか」
「あぁ」
翔斗に続いて俺、凌、聡さんも浴室の中へと入っていった。
 「ふぃ~……い~湯だな~……」
「おっさんみたいだぞ、樹」
「仕方ないだろー、気持ちいいんだからよぉ~……」
湯に浸かりながら俺は今、完全にいい気分になっている。目を瞑り今にも眠ってしまいそうだ。家の風呂のほうがゆっくり浸かれるが、銭湯のデカい風呂や、友だち、知り合い、知らない人たちと顔を合わせながら、というのも家では味わえないものだしな……。それに、『入れ替わる』とか聞いて、正直身構えているところもあったが、特にそんな様子、俺にも凌たちにもなさそうだ。
「そういえば、『入れ替わる』とかそんな話あったけど、結局大丈夫だったな。特になんともねーし。な、凌?」
「あぁ、そうだなー……なんともねー」
「……う……ん?」
気のせいだろうか……?今、凌に話しかけた筈だが、返って来た声はいつもの凌の声よりも高かった。声変わり前の男子。それこそ、翔斗に似た声だった。俺は目を開き、右隣にいる筈の凌の方をゆっくり見た。すると、凌は下を興味深そうに見ながらニヤついていた。
「お、おい!ど、どうしたんだよ、下なんか見て!おま……」
「なぁ!!見てくれよ!!樹にぃ!!」
「な、なんだよ、急に!!」
凌は俺の方に視線をやると俺を押し倒すかの勢いで俺の肩を掴んできた。……って、今凌の奴なんて言った?
「へへへっ~~!見ろよ、樹にぃ~~!」
「は?は?『樹にぃ』?は?」
「お、おい!翔だよな!お前!」
凌からの『樹にぃ』という呼ばれ方に驚くと同時に、凌は勢いよくお湯から立ち上がり、翔斗は『翔』と凌のことを呼んでいた。ど、どういうことだ?いや、そうか、入れ替わったのか!入れ替わったんだ、コイツらは!!
「じゃじゃ~ん!!見ろよ!!俺も樹にぃと同じで小5の夏にやっと生えたぜ!!しかも、足の毛も!!!」
凌……いや翔斗は顔を赤くさせ息を切らしながら誇らしげに俺に自慢してきた。……いや違う、気付け気付くんだ、翔斗。それはお前の成長じゃなくて凌の体だ……
「お、おい!!翔!!よく見ろ!!それは俺の体だー!!!」
「ん……?あ?なんでにーちゃんが小さくなってんだよ?てか、俺ソックリ?」
「入れ替わったんだよ、俺とお前は!!」
「うえーー!?マジで!!!うお、ほんとだ!!声なんか違う!!!」
凌……じゃなくて!!翔斗は首元を何度も触って喉仏を確認すると、お湯から急いで出て、シャワー近くの鏡を見に行った。すると、髪をクシャクシャに触ったりほっぺたを引っ張り始めた。
「す、すっげー!俺、にーちゃんになってるーー!!」
翔斗は凌の顔で目をキラキラ輝かせながら言った。翔斗が入った凌は高校2年の筈だが、どこか少年のような無邪気さ、いや今にも犬の耳が生えて犬の尻尾が生えて子犬のような可愛さを振りまくんじゃないか、って感じてしまうものがあった。そんなことはもちろん、普段の凌にも翔斗にも感じない。感じないが、翔斗が入った凌はどこかそう感じてしまい、俺の中のイケない線がプツンと切れてしまいそうになる……いや、なんで俺は女の子でもない奴に発情しかけてんだよ!!!
「なーなーなー!とーちゃん!!見てくれよ!俺、凌にーちゃんになった!!ほんとは樹にぃが良かったけど!!」
翔斗はまだ体を洗っていた聡さんにも凌の体の隅々を見せつけるかのようにクルっと回りながら教えた。
「……あ、あぁ、そ、そうみたいだな……」
聡さんは目を丸くしながら洗っていた手を止めながら翔斗を見ていた。
「おーーーい!!かーちゃん!!!碧――!!!!俺、凌にーちゃんになって、凌にーちゃんが俺になったぞーー!!!俺もボーボーの仲間入りだーー!!!」
「お、おい!!なに言ってんだよ、バカ翔!!!」
凌は顔を真っ赤にさせながら翔斗を怒った。だが、その姿はどこか可愛くて笑いそうになってしまった。
「あら~!ほんと!!よかったわね、翔~!!」
「おかーさん、『ぼーぼー』ってなにー?」
「いつか分かるわよ、碧にも。けど、そっか、そうよね~、凌ももう高校2年だものね~……」
女湯から楓さんと碧ちゃんの声が大きく聞こえてきた。その声を聞くと、凌は顔を半分お湯に漬けながら耳まで真っ赤にしていた。
「翔の奴~~……このまま戻らなかったら、お前の体に生えてきてもすぐに処理してツルツルに戻してやるからな~……!!」
「ははははっ……」
俺は凌を哀れそうな気持ちで見てやることしか出来なかった。……もしも、俺が翔斗と入れ替わっていたら……うん、そういうことだよな。そうなるよな。俺の目の前では翔斗がち〇この毛を大切そうに触りながら聡さんのと見比べたりしていた。それを何度か繰り返すと、俺たちの方へ戻ってきて、聡さんも体を洗い終わったのかお湯へと入った。
「どうだよ~?にーちゃん?懐かしのツルツルな足とち〇こはさ~?」
「なんとも思わねーよ。お前じゃないんだから」
「えぇ~!つまんねー!!」
翔斗はそう言いながら不満そうな顔をした。
「はははっ、あんま弄ってやんなよ、翔斗?凌が怒り出すぞ?」
「もう、充分、キレてる」
凌は翔斗の目と声で睨みつけながら小学5年生の声変わりがまだの少年が出せる精いっぱいの低音を出した。だが……あまり、怖くない。むしろ可愛いぞ、凌……
「おい、翔!次に、俺の体で変なことしたら俺と樹とでお前のこと捕まえて毛剃り落とすからな?手伝ってくれるよな、樹?」
……『聡さん』はそう言うと、俺と肩を組んできた。
「えっと……はい?さ、聡、さん……?」
「はぁ~?とーちゃん?いや、俺……っていうか翔の見た目、だろ?……ん?あ?あぁ!?声がまた高くねーぞ!!」
まさか、次は聡さんも入れ替わりに巻き込まれ、凌と入れ替わったのか!?
「……え、あ、え?な、なんで樹ちゃんと、おとーさんが、いるの……?」
……今『凌』はなんて言った?俺のことを『ちゃん』付け……?いや、まさか、いや……
「う、うわーーーーーーー!!!!!ない!!ない!!!ち〇こが、ないーーー!!!!毛は生えてるけど、なんかちげーーーー!!!!それにお〇ぱいもある!!!!!!なんだよ、これーーーー!!!!」
女湯の方から今まで聞いたことのないような楓さんの声と、発言が聞こえてきた。
「お、落ち着いて、私!!え、『私』?え、あなた誰?」
「翔斗だ!!」
碧ちゃんにしては落ち着いた雰囲気の声、中身は楓さんだ、そして楓さんの中身は翔斗か……で、聡さんの中身は凌。凌の中身が碧ちゃんだとすると、聡さんは、翔斗の体か……や、ややこしすぎる……
「と、とりあえず!聡さん!!楓さん!!風呂あがってお互い合流しませんか!?」
俺は見た目が子どもになってしまっているが中身は父親と母親に変わりはない2人に提案をした。少しでも情報整理をできるようにも、とりあえず今は……
「あ、あぁ、そうだね!樹くんはその様子だと大丈夫そうだね」
「は、はい!」
「それじゃ、お父さん!みんな!私と翔もすぐに着替えるから合流しましょう!」
なんだろう、すごく違和感だ、違和感でしかない。大人の雰囲気の声の碧ちゃんに、冷静な様子の翔斗……違和感だ!!
「かーーちゃーーん!!俺、こんなのやだーーー!!!!学校始まったら皆に笑われちまうーーー!!!トイレどうしたらいいんだよーー!!!」
「い、樹ちゃん……私、凌ちゃん、なんだよね……?」
……楓さんと凌の見た目や声は……うん。どうしてこうなったんだ……
「あ、あぁ、そうだな。凌、だ……」
「凌、ちゃん……」
碧ちゃんは、凌の体で涙目になりながら顔を赤くしている。
「……樹ちゃん!!!」
「う、うおっ!?」
碧ちゃんは俺に全力で抱きついてきた。……ギブ、ギブです。ギブ……力や見た目が男子高校生の凌だから色々な意味でギブ、です。し、しかも……当たっている。俺の腹に、モロに、凌のアレが、当たっている。しかも、ピクついて……あ、悪夢だ……いや、失礼だよな!碧ちゃんにも、もちろん凌にも!!……だが、きつい。
「な、なぁ!碧ちゃん!!えっとー、楓さんたちとも合流しないといけないから、離してくれるか……?着替えないといけないしさ」
「ご、ごめん!!」
碧ちゃんはすぐに離れてくれた。
「な、なぁ、碧……俺の体で樹にあんま抱きつかないでくれるか?」
「え、おとーさん、じゃなくて凌ちゃん?けど、私、不安だったからね、樹ちゃんにね……」
「うっ……仕方ないな」
凌は碧ちゃんの不安さを考えてかそれ以上は言わなかった。聡さんと、凌が立ち上がり、脱衣室へ向かって行った。俺も着いていこう、と立ち上がろうとした。
「あ!いや!!」
「え!ど、どうした、碧ちゃん!」
碧ちゃんは立ち上がった俺を見ると、目をギュッと強く瞑った。
「……だって、樹ちゃんの……」
「ん?あー……なるほどな!すぐタオルするからよ!」
俺は頭に乗せていたタオルを取るとすぐに腰に巻いた。
「ほら!碧ちゃんもう大丈夫だ!」
「う、うん……」
碧ちゃんはゆっくりと目を開けた。
「ほら、碧ちゃんも。立ち上がって。着替えに行こ」
俺は碧ちゃんに手を差し伸べた。……なんだろう、碧ちゃんに差し伸べている筈なのに、凌に差し伸べているように感じて気持ち悪く感じてしまうのは……
「あ、ありがと、樹ちゃん……」
碧ちゃんは俺の手をゆっくり掴むと笑顔になり立ち上がった。
「あ!樹ちゃん!!目、瞑って!!!」
「え、なんで……?」
俺が首を傾げると、碧ちゃんは凌の胸を腕で恥ずかしそうに隠し、下半身をモジモジさせ始めた。
「え、あー、なるほどな!ごめんな、すぐ気付いてやれなくて。ほら……」
俺は目をギュっと強く瞑った。……さっき俺に抱きついてきて凌のアレを……いや思いださないでおく。あんなことがあったがいくら他人の裸であっても見られるのは恥じらうんだな。
「う~~……きゃ!凌ちゃんのお毛毛に手当たっちゃった!!やだ~、も~……うっ、うっ……おっけー!巻けた!樹ちゃん目開けてもいいよー!!」
「あー、うん」
俺は碧ちゃんから言われると目を開けた。俺と同じように腰にタオルを巻きながら、胸は片腕で隠している。
「じゃ、いくか」
俺は碧ちゃんの手をまた繋ぎ、脱衣室まで連れて行った。
 「はぁ……なんで俺のおなかに毛が……」
凌は聡さんの体で、プヨプヨの腹と毛を触りながら落ち込んでいた。
「仕方ないだろー?40超えた体なんだから」
聡さんは翔斗の体で、タオルを肩にかけながらボクサーパンツ一丁でコーヒー牛乳を飲んでいた。
「樹くんたちも飲むか?コーヒー牛乳?」
「いや、いいよ……じゃなくて!いえ、いいです!」
翔斗の見た目と声なのでくだけた言葉に遂なってしまった。その様子を聡さんは面白かったのか優しい目で俺を見た。……なんか、翔斗の顔でそんな目をされると怖い。
「いや、俺もいらないよ、とーちゃん」
凌はいつの間にか服をすべて着終わっていた。俺も俺で、後は上服を着るだけだ。碧ちゃんは……、『見て欲しくないから』という理由で俺たちからは棚が邪魔で見えない場所で着替えている。
「ね、ねぇ!どう樹ちゃん?ちゃんと凌ちゃんの服着れてる……?」
「ん?お、おぉ、碧ちゃん。う、うん、どれ……ん、うん。ちゃんと着れてるぞ」
「よ、よかった……!あのね、樹ちゃん!!タオルで胸辺り拭いてると、胸の、ここに当たる度に変な声が出ちゃったりね!パン……下着履こうとしたら、お毛毛がこそばかったりね!変な感じだったの!!」
「そ、そっかそっか!」
碧ちゃんは真剣な顔で俺に教えてくれた。なるほど、凌は乳〇が弱いんだな……そんなことを考えながら上服を着た。
「おとーさんとおかーさんにもあって、凌ちゃんにはあったけど……その、えっと、樹ちゃんにもあるの?私と翔ちゃんにはないんだけどね!!」
一瞬なんのことか分からなかったが、多分『アレ』だな。
「あー、うん。あるよ」
「……そ、そうなんだ!」
碧ちゃんは目を丸くした。
「ま、まさか翔ちゃんが言ってた『ぼーぼー』って、それ……?」
「あー、うん。そうそう……」
「へぇ――……そうなんだー……」
碧ちゃんはズボン越しに股の上を恐る恐るといった様子で撫でた。
「あ!そうだ!凌ちゃんの半ズボンから見えてる足の……これも樹ちゃんにもあるの?」
「あー、そこのは俺にはないな」
碧ちゃんに見せるために俺はズボンを捲り、見せた。
「本当だ……うわぁー……違うんだね!」
「おーい、お前らそろそろ、とーちゃんも着替え終わるから行くぞー」
「あ、うん!おとーさ……じゃなかった!凌ちゃん!行こ、樹ちゃん!」
「お、おう」
俺、碧ちゃん、凌は聡さんが服を着終わるのを待つと脱衣室から出て、楓さんと翔斗と合流した。
 脱衣室を出ると、楓さんたちはもう待ってくれており、楓さんの体で地団太を踏んでいる翔斗のことを碧ちゃんの体の楓さんが落ち着かせようとしていた。
「な~~、俺、いやだ~!なんか股がスース―するー……それに、〇っぱいもなんか……こう……」
「ちょ、ちょっと!翔やめなさい!」
……楓さんの服を大きく捲り上げ、ブラ越しに胸を……翔斗なにをしてるんだ……
「それにーー、ここもさー……」
胸から手を放して服を元に戻すと、次は股をズボン越しに触りながら言った。
「うぅ~~……俺、凌にーちゃんでもいいから男のままがよかった……こんな服も恥ずかしいし、お〇ぱいも邪魔だし、イヤだーー!!!毛も生えてるけどなんかちがうーーー!学校始まったら皆から笑われちまうーー」
「え、えっと……おかーさん……?」
「凌!……じゃなくて碧ね!」
碧ちゃんは楓さんに話にかけに行った。一瞬楓さんは凌と勘違いしたがすぐに言い直した。
「おい、碧――!交換しろ!俺は男がいいからかーちゃんの体お前にやる!もっかい風呂入ろ!」
翔斗は碧ちゃんの肩を掴みながら言った。構図としては楓さんが凌を掴んでいるように見えてやっぱり変な感じがする。
「お、おい、翔斗!そんなことしてる時間さすがにないぞ……帰る時間もあるし」
俺は翔斗から碧ちゃんを離した。
「い、樹にぃ……」
翔斗は落ち込んだ目つきで近くの椅子に座りこんだ。
「とりあえず、番台のおじさんにこのことを伝えるぞ」
聡さんは入れ替わってしまった家族の皆を眺めると、番台のおじさんに伝えた。
 「集団で入れ替わり、か……ややこしいことになったね、みなさん」
「まぁ、そうですね……」
聡さんはみんなの情報をまとめた書類を、おじさんに渡した。
「じゃ、申請手続きするから待っといてください。明日の朝頃には学校や会社に伝わるから。そしたらアンタらの家に連絡しますからね」
「はい、お願いします」
聡さんは翔斗の体で丁寧にお辞儀をした。
「……ところでですけど、聡さん?車の運転どうするんですか……?」
「あー、そうだな……申請はしたが、車の運転は……」
「あー、運転ね、どう?お父さん、息子さんの体で快適な体制で、ブレーキとかに届く?」
「うーん……厳し、そう、ですねー……はははっ……」
聡さんは翔斗の足や腕、体全体を見ると、笑った。それにつられてか、愛想笑いなのか番台のおじさんも笑っていた。
「ははははっ、そうだね、そうだね。ま、届いたにせよ、まだちゃんと申請が届いていないかもしれないから警察に止められたりしたらアウトだけどね」
「……じゃあ、とーちゃん。どうやって俺ら帰るんだよ?とーちゃんの体だけど、俺運転なんてゲームくらいでしかやったことねーし……」
「それじゃ、タクシーを2台呼ぶことにするか……」
聡さんはタクシー会社へと電話をかけた。
「じゃ、どういう組み合わせで乗るよ?」
「私、樹ちゃんと、がいいーーー!!!」
「あ、ズルいぞ!碧!!俺も、樹にぃと乗る!!!」
「うおっ!おい!……急に飛びついてくんな!!」
碧ちゃんと翔斗は男子高校生と成人女性の力で俺に飛びついてきた。……しかも、碧ちゃんは俺の右腕に捕まって来たので、『凌がよくいる彼氏に抱きつく彼女』のような構図をしてきている……中身は凌じゃないけどな、それでも、なんだか、こう……しかも凌のアレが次はズボン越しではあるが、俺の脇腹付近に当たっている。それだけなら、まだ(?)良いかもしれないが、翔斗は俺の背中側に飛びついてきた。そのせいで……楓さんの胸が背中に当たり、楓さんの風呂後のシャンプーとリンスの匂いが仄かにしてくる……凌の体もシャンプーやリンスをしていた筈だが、楓さんの体の方がすごく、いい匂いg……って、なにを考えてるんだ!!友だちのお母さんに対して、しかも中身は小学5年男子!!落ち着け、落ち着くんだ、樹……!
「……はぁ、おい、翔も碧も一旦放してやれ。樹、苦しそうだろ?」
「え、あ!ほんとだ!ごめんなさい、樹ちゃん……」
「う……ごめんな、樹にぃ……」
「今のお前ら男子高校生の俺に、かーちゃんの体なんだから考えてから樹に関われ……」
……凌、マジで、いつも、ありがとう……けどお前のち〇こが今日だけで2回もぶつかってきたのだけは無理だ。いや、お前のせいではないんだけどな、な……。
「……とりあえず、樹がいいなら樹・翔・碧の3人と俺・かーちゃん・とーちゃんの3人でタクシーに乗ることにするけど……樹、いいか?」
「ん、あぁ。別に俺は誰とでも構わないからそれでいいよ」
「ほんといいの?樹くん?」
「はい、いいですよ。碧ちゃんも翔斗も、俺がいいみたいなんで」
「やったーー!!樹ちゃん、太っ腹さん!!」
「へへへっ、太っ腹なのは今の碧だぞ~!」
翔は意地悪そうな顔を浮かべながら、碧ちゃんの、凌の腹を叩いた。
「ちょ、ちょっとやめて、翔ちゃん!!」
「あー!翔!いいから、俺の腹をいじんな!!デブではないだろ、俺!!」
「確かに。凌はデブじゃないけど、腹はデカい。隠れデブ……」
「ちっげーよ!あれはこれから割れる……予定だった肉なんだよ……」
凌は今の自分の体である聡さんの腹と、元の自分の体を寂しそうに見た。
 それから数分俺らはタクシーが来るのを待っていると、タクシーが到着し、先に凌たちが乗り、2台目に俺らは乗った。俺は聡さんから教えられた場所を運転手さんに伝え、右隣に座った翔斗を見ると、もう眠ってしまっていた。左に座っている碧ちゃんはまだ眠ってはいないが、欠伸をしていた。
「……碧ちゃん、眠いなら眠ってもいいからな?俺ちゃんと起きとくし、翔斗の奴はもう寝てるし」
「ん~……まだ、だいじょーぶ……樹ちゃんと、いっぱい、お話し、し……」
碧ちゃんは話している途中で眠ってしまい、俺の肩に頭を乗せてきた。
「ふっふふふー……今の、凌ちゃんの身長だから、出来ること~……」
まだ起きていたのか、と思っていたら、すぐに笑顔のまま可愛らしい寝息を出し始めた。
……同学年の男の見た目なのに、中身が違うだけで、こんな……これで、同学年の女子なら……いや、マジでなに考えてんだ、俺は!!
「……ぐが~~~、すぅ~~……」
左にいる可愛らしい寝顔と寝息の『男子高校生』とは真逆に、右には豪快ないびきの『女性』が……中身はふたりとも小学生の女の子に、男の子なんだけどな……
「樹にぃ~……俺に、またち〇こが、戻ったぞ~……あんま、見んなよ、変態が~、ふへへ~……」
……どんな夢見てんだ、コイツは。楓さんの声でそんな言葉を聞くなんて、それに勝手に俺を夢の中でち〇こを見たがる変態にすんじゃねー!!
「ひひ……ひぃ、ひぃ……いえいえ、すみません、ふ、ふふ……」
運転手さんは笑いが出るのを堪えてくれている……堪えてくれているのが余計恥ずかしくなる……
「樹にぃ~…………」
「うげ!?」
翔斗も頭を俺の肩に乗せてきた。凌に、楓さんに……人生なにがあるか分からないな……って!うげ!!お、収まれ、マジで!俺の……うあっ~~!どっちだ、凌に対してか?楓さんに対してか!?どっちに俺は反応してるんだ、両方か!?それとも中身か!?早く収まれ!そして、早く目的に着け~~!!!
 それから、『アノ現象』は治まり目的地にも着き、凌たちと合流できた。碧ちゃんと翔斗は眠たい目を擦りながら家へと入り、すぐに楓さんと凌に着替えさせてもらい、自分たちのベッドへと向かった。俺もその日はそのまま西田家に泊めさせてもらった。次の日の朝早くに銭湯のおじさんから電話がかかってきた。夏休みではあるが、聡さんは会社があるので会社への用意をした。翔斗にピッタリのスーツがなかったので、聡さんは、翔斗が入学式のときに着たスーツを取り出し、それを着た。4年前のものなのでキツそうではあったが無理矢理にでもそれを着ていた。いつもの癖で髭剃りクリームをつけて髭を剃ろうとしていたが、鏡を見てすぐに気づいたのかクリームを慌てて落としている姿が面白かった。楓さんは碧ちゃんの体なので高いところのものを出すのに台を動かさないといけなかったのであまり寝ることのできなかった俺は手伝いとして、台や料理、洗濯などを手伝った。……凌お前も早く起きて手伝え。そんな凌は凌で、他の家族と比べるとダメージがまだ少ないほうだろう。年を20何年とったことくらいか?それから、翔斗が起きてくると、楓さんのパジャマのボタンを全開にして部屋から出てきて俺も凌も目のやり場に困った。下着はつけてくれていたが……それから、着替えるときに女性の服や下着を嫌がり着替えさせるのに楓さんは手間取っていた。俺と凌も手伝いたくはあるが、さすがに楓さんの体を抑え込んだりするのは気がひけた……最後に碧ちゃんが起きてくると、内股気味に座り寝ぐせを気にする凌が見れて変な感じがまたした。凌はイヤそうな顔をしていたが碧ちゃんが入っているので言うことはなかった。それから碧ちゃんは翔斗のように手間のかかることなく凌の服に着替えてくれたが、スカートや可愛い服がいい、という不満は漏らしていた。なので、今度の日曜、聡さんのためのスーツや翔斗と碧ちゃんの要望通りのものを買いに行くことに楓さんは決めた。……が、凌は「この世の終わりだ」のような顔をしながら固まっていた。俺はもう少し、この変わってしまった西田家の様子を見ていたかったが、疲れてきたのでひとりでゆっくりと休みたくなりおじさんの家に帰ることにした。
 あれから2か月が経った10月。俺は土日が挟まれることもあり、テスト対策のために金曜の夜から凌と泊まりでテスト勉強をさせてもらっていた。今日は月曜の朝、学校に行く前に最後の仕上げをしていた。
「だぁーっ!きつい!無理!呑みたい!!」
「我慢しろよ、今テスト期間だしもうすぐテスト始まるぞ?」
「分かってるよ、分かってるけどよー……とーちゃんの体になってから酒と枝豆を求める体になったんだよ~~、テスト期間はやく終われ~~、呑ませろ、俺に……」
「ははは……ビールは無理だけど。ほら、枝豆なら楓さんが持って来てくれただろ?」
「それだけじゃ、ちげーんだよ……ほら、なんか、こう……ライスだけのルー、とか?」
「それ、ただのごはんじゃん……」
「そう!それ!あれじゃ、ただ枝豆食べてるだけ!」
「ビールもあってこそひとつの料理(?)になる、みたいな……?全然わかんねーけど」
「お前も飲めば分かるって!」
「俺は凌とは違って未成年なんでやめときます~」
「は?俺も、一応は、未成年……」
「じゃ、飲めないね」
「とーちゃんの体だからセーフ!とーちゃんも最初は翔の体で吞めなくて残念そうだったけど、最近はジュースで満たされてるし」
ダダダッ……!足音が凌の部屋の外から聞こえてきた。多分、アイツだ。
「樹にぃ!!」
そう、翔斗の奴だ。
「お前なー、俺と樹は今テスト勉強中なんだよ!……って、おい!」
「え……?どうした、凌?……って!?」
凌の声を聴き、俺はノートから翔斗のほうへと視線をあげた。すると、また翔斗はボクサーパンツ一丁でブラジャーもつけずに家の中を歩いていたようだ。前、泊まりに来たときも、この姿を見せてきた。
「お前なー……何回目だよ、いいからすぐに下着かーちゃんにつけてもらって服もちゃんと着てこい!!もうすぐ学校行く時間だろ!?」
「にーちゃんも、樹にぃも、彼女の裸も見たことねーのか?あ、彼女いないか!」
「余計なお世話だ……」
そう、俺も凌も、童〇である。彼女いない歴=年齢なのは凌だけだが……もちろん体ではなく『凌自身の年齢』の話だ。
「そ・れ・に~…………お!やっぱここか!エッチな本なんか隠してる癖してよ、かーちゃんの裸にはそんな反応か~……ん、お!この女の人、かーちゃんになんか似てるな……だから、にーちゃん……そっかそっかー」
「ち、ちげーよ!いいから早く下着つけて服も着ろ!!か、かーちゃん!!翔の奴の下着頼む!!……ほら、早くその本返せ!」
「あぁ~ん!凌くんのイジワル~!!」
「う~~っ!!いいから早くかーちゃんのとこ行け!!」
「へへへっ~!行ってきますよ~!」
翔斗はそう言い、部屋を出るとお尻を突き出してお尻を叩きながら顔を、俺らのほうに振り向きあっかんべーをし、楓さんのいる1階へと降りて行った。それを見送ると、凌はドアを閉めた。俺と凌はお互い目を合わせながら沈黙の時間が少しできた。
「………………なぁ」
「……なんだよ、樹?」
「ふぅーーーー……楓さんが一番の被害者じゃね?」
「そう、だよな、やっぱ、そう、だよな……」
「うん……」
「アイツ、この前友だちと遊びに行ったらトイレ行きたくなって、そこら辺でしたみたいでよ、そこ警察に見つかったみたいで家まで来て注意されたり、学校でも男子に胸触らせたりして遊ぶときに金貰ったり、外で遊んで汗かいたってことで他の男子や今までの自分みたいに服をあげて仰いでブラ見えたことで先生から注意されたり……って感じみたいでよ」
「……マ、マジかよ」
「俺、あのときアイツと入れ替わったままじゃなくて良かったかも。……けど、今は今で俺の体、碧の奴に女装させられてるけどな……は、はははっ」
「あ、あははは……あ、えっと。わり。ちょっとションベン行って来る」
「ん、あぁ。わかった」
俺は部屋を出てトイレへ向かった。トイレに入り用をし終わり、凌の部屋へ戻ろうとすると、碧ちゃんと会った。
「あ!樹ちゃん!!おはよう!」
「あー、うん。おはよ、碧ちゃん」
碧ちゃんは凌の体で今日はズボンを履いていた。そして、水色のランドセルを背負い、花がついたヘアピンをつけていた。昨日や土曜はスカートを履いて俺に見せてくれていた。もちろん、足の毛は楓さんに処理を手伝ってもらったようで足は太ももまでツルツルになっていた。だが、今日はズボンを履いているのは学校があるからだろう。夏休み明け、学校にスカートを履いていったら男子から笑われたことでズボンを履いて行くようになったそうだ。
「テストなんだよね、今日?樹ちゃんと、凌ちゃん」
「うん、そうだけど……?」
「えっと、テスト頑張ってね!」
「え、う、うん!ありがと!碧ちゃん応援してくれて」
「へ、へへへっ……」
……おかしい、前まで同学年の男友だちの顔や声だった筈だが、『可愛い』と感じてしまう。……だが、服は見ない。そこを見たらなんだか、うん、スカートはさすがに……なんて考えていると、碧ちゃんの後ろにこっそりと誰かが忍び寄っており、碧ちゃんのズボンを脱がした。そこには、男が履くには面積が小さいせいでアレと、毛がはみ出してしまっているが、ピンク色の可愛らしい下着と、少し毛が生え始めている太ももが見えた。
「ちょ、ちょっと!!!翔ちゃん!!!!」
翔斗はちゃんと着替えており、成人女性でも着れるような男物の服とズボンを履き黒いランドセルを背負っていた。
「はみ出てんぞー!碧~!!」
翔斗は自分のズボンと下着もズラしながら言った。
「も~~!!翔斗のバカ!!イジワル!!嫌い!!!!」
碧ちゃんは顔を真っ赤にしながら怒り、ズボンを急いで履いて一足先に家を出た翔斗を急いで追いかけて行った。
「……はぁー……なに見せられてるんだろ、あの日から俺は……」
俺は凌の部屋にため息をつきながら戻った。
「樹、どうしたんだよ、顔色悪いぞ?なんかあったか?」
「まーた、翔斗だよ」
「また、アイツか、今度はなんだ?」
「碧ちゃんのズボンを脱がして、楓さんの体でズボンと下着を脱いで、見せてきた……」
「アイツ……ん?待てよ、碧の、ってことは!俺のち〇こ公開ってことかよ!」
「そーゆーこと。可愛らしいピンクのパンツからはみ出るお前のアレと毛見させられた」
「翔……アイツ帰ってきたら、帰ってきたら……くっそー!かーちゃんの体だから殴りたくてもできねーー!!」
「はははっ、そうだよな。ずりぃ……」
「あぁ……」
「てか、凌、お前もう着替えたんだな」
「ん?あぁお前がトイレ行ってる間に」
「俺ももう少ししたら着替えるか、テストだからまだ始まるまで余裕あるけど」
俺は制服を着ながら勉強をしている『聡さん』をジッと見ていた。
「慣れねーな……」
「ん?なんか言ったか?」
「いや、なんでもねーよ」
俺はまたテスト勉強のために腕を動かし始めた。

[その後の西田聡(西田翔斗の身体)さんへのインタビュー]
Q1.会社での変化はありますか?
「翔の、翔斗の体になったことで女性社員からは同僚からも先輩からも、後輩からも可愛がられて複雑ですね……あとは残業が減ったり、高いところや力仕事を手伝ってもらうことが増えて……小学生の体の特権、みたいなので楽できてラッキーって感じの変化ですかね」
Q2.次男さんの体はどうですか?また、自身の体に長男さんが入られてどうですか?
「プヨプヨしてしまった僕の体と比べると、翔斗は成長途中でこれから、なのでね……会社に行きながらランニングや週末は樹くんと凌を誘ってサッカーやバスケをやってます。中学・高校のときに鏡を見ながら筋肉の確認をしていた時期を思いだしますよ……久しぶりに翔斗の体になってからまた確認を、ね。で、僕の体に入ったのは凌で本当に良かったかな。一番、凌が安全ですかね?同性だし、もう高校生で翔斗と比べても落ち着いていますしね。……あー、あと、こんなことを伝えたとバレたら凌に怒られそうですけど、一度深刻そうな顔で『とーちゃんってどんな女の子が好みなんだよ……』って2人きりのときに聞いてこられて『どうしたんだ?』って聞いたら、顔を赤くさせながらすぐにどこかに行って……背中に隠して持っていたものが見えたときになんとなく察しましたけど、息子も『ひとりの男』にいつの間にかなっていたのだな、と。息子の成長を感じることができたのも、凌が僕の中で良かったのかもしれないというひとつのポイントですね」
[その後の西田楓(西田碧の身体)さんへのインタビュー]
Q1.周囲での変化はありますか?
「周囲での変化……特にないわね……他の皆はたくさんありそうだけど、私は特にないかもしれないわ」
Q2.娘さんの体はどうですか?また、自身の体に次男さんが入られてどうですか?
「子どもの体になれたんで、また成長を楽しめたり恋愛も楽しんじゃったりして……?人生2周目を気軽に出来てラッキーみたいな感じかしらね!凌と翔には悪いけど……あー、で、私の中に入った翔なんだけど、正直碧に入って欲しかったわ。私の体で翔ったら、変なことしまくるから……樹くんもいつも目のやり場や反応に困って怒りたくても怒れない、って感じだし……困ってるわー……」
[その後の西田凌(西田聡の身体)くんへのインタビュー]
Q1.学校での変化はありますか?
「あー、まぁ特にはないですけど。挙げるとしたら『老けた』って揶揄われたり、体育の着替えのときにとーちゃんの腹の毛を抜きに来る奴がいるくらいですかね……ブチッ!!って痛いんっスよね~」
Q2.お父さんの体はどうですか?また、自身の体に妹さんが入られてどうですか?
「うーん、とーちゃんの体になってからはビールとか急に欲しくなって……連休とかテスト期間じゃない金曜と土曜には飲ませてもらってるんっスけど、な~んか変な感じですね。で、俺の中に碧が入ったのは……いや~、正直キツイ、です……スカートとか妹の口調の俺、ほんっっっっ……とに勘弁なんですよね!!けど、碧相手に怒るのも変な話だし……俺の中、とーちゃんだったらマシだったかも、って思いますね……」
[その後の西田翔斗(西田楓の身体)くんへのインタビュー]
Q1.学校での変化はありますか?
「学校……あー、かーちゃんになったせいで夏休み明けクラスの奴から笑われたり、同じクラスのエロい奴とか、小6とかがすれ違うとかーちゃんのお〇ぱい触ってくんだよな、最初はキモかったけど、最近は金貰って『びじねす』をやってんだ!一回触りたかったら500円!下着見たかったら1000円!俺と同じで大人の体になってる男子もクラスとかにいるからそういう奴からは『ぼ〇き』?ってのをしたち〇こを口に入れたり触るのを2000円でやってんだ!たまーに子どものままの男子からも頼まれるけど大人とはやっぱなんかちげーんだよな……あー、俺も大人の男になりたかったー!あと、あれだ!休み時間、ドッチボールとかした後とか体育の後、汗かいたから服あげて仰ごうとしたらいっつも先生とか女子連中に注意されんだよな!汗かいて暑いから仕方ねーのにさ!元の俺のときとか他の男子には注意しねーのに俺に、だけ!あと、トイレとか体育の着替えのときもめんどくせーし、仲いい奴らとすぐ済ませて遊びに行きたいので男子トイレとか教室で着替えようとしたら女子から『西田はこっち!!』ってキレられるし……体育も女子の列に並んで、たまーにある保健も女子とやんないといけないし……金貰ってたのも先生にバレてかーちゃんにチクられて怒られたし……体動かしても息切れすぐにするし、お〇ぱい邪魔で動きづれーし……男の体がいい……」
Q2.お母さんの体はどうですか?また、自身の体にお父さんが入られてどうですか?
「さっき言ったけど、全っっっっっっ然!!よくねー!!!仲いい奴とかからたまに『かーちゃんの体だけど女とか羨ましいよ、揉み放題なんだろ?』とか『男としたのかよ?』とか聞かれるし……『男とした』ってなんなんだよ、知らねーよ。元の俺のときはそんな変なこと言ってこなかったのに、なーんか、こう、んー……よく分かんねー気持ちあんだよ……で、俺の中にとーちゃんが入ったのは碧とかかーちゃんじゃなくて良かったな!って!女の恰好させられなくて良かったー!って気持ち!へへへっー!そこだけは良かったなー、って!」
[その後の西田碧(西田凌の身体)ちゃんへのインタビュー]
Q1.学校での変化はありますか?
「んー……えーっと……学校行くのあんまり楽しくなくなったこと、かな。あ、けど楽しいこともあるけどね!けど、おかーさんやおとーさん、凌ちゃん……おにーちゃんに、樹ちゃんには心配させたくないから隠してるんだけど。おにーちゃんの体になってから学校の男の子からも女の子たちからも気持ち悪がられて……だからスカートはおにーちゃんの体で学校では履かなくなったんだけど、それでも私の持ってる物とか話し方で……。先生とか仲の良い女の子たちはそういう子たちを怒ったり私のこと心配してくれるけど、それでも本当は先生たちも、って考えると怖いから学校イヤなの、たまーに『家族には教えない』って約束で先生から保健室で漢字ドリルとかしたり、プリント貰っててお勉強してるの。あ、そこでね!新しいお友だち『あーちゃん』ができたの!あーちゃんがいるから学校頑張って行ってるんだ!あーちゃんはね、私よりひとつ上のお姉さん!あのお風呂屋さんで、家を建ててるお仕事をしてる怖そうな見た目のお兄さんと一年前くらいに入れ替わったみたいなの。それで私と同じで学校に行ったら学校の皆から……。あー、でねでね!そのお兄さんすっっごく筋肉があって私のおにーちゃんと大違い!!で、入れ替わったときに、あーちゃんのお母さんとお風呂屋さんのおじさんに説明して男湯でひとりで困ってるあーちゃんを助けてくれて、優しく心配してくれたみたい。今はそのお兄さん、あーちゃんの体で力仕事は出来ないからお仕事やめちゃって『中卒だから困ってる』ってあーちゃんと、あーちゃんのおかーさんに相談したらあーちゃんの家のお花屋さんで働かせてもらってるみたい。お花に詳しくないみたいで最初は困ってたみたいだけど、あーちゃんが学校から帰ってきたりしたらお花のこと教えてもらってるみたい。そのお兄さんすごく真面目にお花のこと聞いてくれて、あーちゃん、そのお兄さんにドキドキみたい!私も学校帰りに会わせてもらったことあるけどね!あーちゃんの見た目だと、怖そうなお兄さんだけどすっごく優しいの!それでね!それで……(話が脱線したため以下割愛)」
Q2.凌くんの体はどうですか?また、自身の体にお母さんが入られてどうですか?
「ん~~、おにーちゃんの体なんかお腹プニプニしてて樹ちゃんともあーちゃんとも大違いだし、あーちゃんみたいに、ここ(顎を触りながら)に毛がある訳でもないんだけど、足に毛があるからおかーさんに頼んで無くしてもらってるの!……で、おかーさんに入ってもらえたのは嬉しかった!もしも、翔ちゃんだったらおかーさんの体みたいに好き放題されたりしただろうし……。おとーさんは、なんかイヤだし、おにーちゃんもなんかイヤだし~……おかーさんで良かった!!」

その2
[20XX年10月24日 武田隆之介(21),吉田達也(20),清水千尋(18),千葉涼太(17)]
※今回のラスト掲載のインタビューは各自2問になります。
 「よーっし!お疲れ様――!」
「お疲れ様です!!」
「おつかれ~」
本日10月24日、その日はある地域にてお祭りが行われていた。お祭りと言っても、様々な祭りがあるが、それらの中でも今日行われていたのは、地域の大学生たちによる祭りだ。その祭りでは、男子大学生が赤の褌(前垂れ六尺)姿になる、というものだ。女子学生も参加はするが、さすがに晒を巻き、褌姿を見せることはない。男子大学生だけである。男子大学生の褌ということもあり、一部の男性陣や一部の女性陣にはとてもウケが良く、祭りの時期が近づくと地域住民たちは胸を躍らせている。そして、彼らはこの地域だけではなく、他の地域に出張をしたり、祭りの大会に出ること、動画サイトやSNSへ動画や写真が挙げられていることもあり、全国で人気がある。そんな彼らの中で数人が『お疲れ様会』として来週に控えている別の祭りへの疲れを癒すためという目的と、罰ゲー……『度胸試し』という目的のためにある銭湯へ行くようだ。その銭湯と言うのが『入れ替わり』が起きる、と噂の場だ。その『例の銭湯』に近づき入れ替わりの標的になるのは……この4人だ。3年男子の武田 隆之介(たけだ りゅうのすけ)、2年男子の吉田 達也(よしだ たつや)、1年女子の清水 千尋(しみず ちひろ)……そして、最後の一人はまた後で紹介しよう。隆之介は高校まで野球部に所属していたこともあり声を出すことや体を動かすのが好きな太く凛々しい眉毛がトレードマークの元気に満ち溢れた黒髪ショートヘアの犬顔大学生……ということもあり女性よりも一部の年上の男性に好かれ、一部の年下の男性からは頼られやすい。達也は赤髪に染めたショートウルフのL〇H所属のような顔で普段はクールでかっこいいが、笑顔になると可愛い大学生。男性よりも中高生の年下の女性たちに特に好かれやすくどこかの高校ではファンクラブが出来ている、との噂が……。最後に千尋は青とピンクのメッシュを入れたミディアムロングの女性で、男子生徒によるファンクラブが大学内で出来ている、との噂が……。この3人と一緒にあとふたり、大学2年の小野田 鉄平(おのだ てっぺい)という黒髪でツイストショートの男子、大学2年の森川 有紗(もりた ありさ)という金髪でショートヘアの女子、男子3人、女子2人で行くようだ。
「おーい!達也に有紗たち!時間的にそろそろ、やろか?」
「そうですね!俺もそろそろでいいと思いますよ!鉄(てつ)は?」
「そうっスね~、時間考えると俺も賛成~、有紗ちゃんと清水ちゃんは?」
「うん、私もいいですよー」
「私も、です!」
「じゃ、行くか!あー、そういえばちゃんと着替え用の服と下着持ってきたか?」
「私たちはおっけーで~す!男性たちは?」
「俺たちもいける、よな?鉄?」
「いけるよ~、たっつん!」
「じゃ、俺らも大丈夫だな。祭りのときのまま履いてる褌を銭湯で脱いで、そっから風呂入った後は、いつもの普通の下着に履き替えますんで。てか、隆センパイこそ『忘れてしもたー!やべー!!』みたいなことないですよね?」
達也はイジワルそうな笑みを浮かべて隆之介を見た。
「そんなアホなことする訳ないやろ!ほれ、着替えの服に……着替えの褌や!!」
「……アンタ、まさか練習や本番のとき以外も履いてんですか?」
「はえ~、隆さんさっすが祭りに『命』かけてる熱い男っスね~、俺はついてけない……」
「俺も、だ」
「……」
「ん?千尋ちゃん、どったの?」
「え、あ、いえ!な、なんでもないです!」
「……まさか、千尋ちゃん、隆之介さんみたいなタイプの男が好き、とか……?」
「え、ち、違いますよ!……ちょっと、その、な、なんでもないですからね、有紗さん!」
千尋は顔を赤くしながらも、チラチラと隆之介が見せた着替えの褌を見ていた。なぜなら、千尋は心のどこかで『男性の履く褌』というものに憧れていた。そして、『いつか自分も隆之介先輩や達也先輩、鉄先輩たちのように祭りに男として参加したい』と考えていた。そのため、今回あの銭湯に行けることになったのは彼女にとってのチャンスである。元々、銭湯へと行くのは『お疲れ様会』という意味での打ち上げ的要素もあるが、罰ゲームとしての『度胸試し』の要素もある。くじ引きで『当たり』を引いた彼らが行くことになった。
「はぁ~……それにしても、なんで俺らが行くことになったのか」
「仕方ないでしょ、たっつん!くじだったんだし」
「下手したら、俺かお前が隆センパイになんだよな……あ~、ゾワっとした!」
「いやいや、忘れたらダメっしょ?女の子たちもいんだよ?下手したら有紗ちゃんか清水ちゃんと、隆さんが……」
その言葉を聞き、達也の頭の中では、有紗や千尋に隆之介が入り褌に晒の姿で肩を組んでくる想像が……浮かびそうになったが、脳がそれを拒否したのかすぐに消えた。だが、消えた筈ではあるが薄く残り、忘れたくても忘れられない状態になってしまった。
「……やめろ、やめろ、考えさせるな!忘れる!あの暑苦しい人が女子の中に入って野球部系のハイテンションとか……しかも、あのむさ苦しい男の体の中に女子が入ったとすれば……特に清水さんとかキツすぎだろ……女子たちには申し訳ねーが、見てらんねー」
「ははははっ……まぁ、とりあえず分かってんな、たっつん?」
「は、なんだよ、鉄?」
鉄平は達也と肩を組むと、真剣な顔と声で小さく囁いた。
「そんなの決まってるだろ、俺かお前がもしも女の子たちと入れ替われたら、ひとりだけでお触りするのは……ふべぼっ!!」
「おかしなこと言うな、鉄!入れ替わった女子がかわいそうだろうが!」
裏取引のようなことを持ち込んだ鉄平であったが、達也のブローが鉄平の腹に決まった。
「うっ、うぅ……さ、さすがは、イケメン……心も純粋なイケメン、ってか……?まぁ、彼女おる癖して、彼女さんとは似ても似つかない女優さんを夜のオカズにしてるのは、俺とお前のヒミツにしてあげよ~ではないか。ルームメイトとして!」
「お、お前!なんで知ってんだよ!?そんなこと!それに!ルームメイトじゃないだろ、俺ら!お前が勝手に俺のひとり暮らししてる部屋に入り浸ってるだけで……それでか!それで知ったのか!?けど、お前がいるときにそんなの見た覚えねーし……」
「ん~、いつ、だと思います……?まぁ、そんときのたっつんいつもとは違う子犬スマイルなってて、それもそれで可愛かったで!」
「気持ち悪!いや、ほんといつだよ!それに男のしてる姿と顔を見て可愛いって思うか!?お前女好きなんだよな!?ネタだよな?な?」
「ふっ、甘いなたっつん!俺は……『両刀』だ」
鉄平は不敵に笑いながら達也をジッと見た。
「ま、まぁどういう性的な感情?抱くかは人それぞれだが、迷惑だけはかけんなよ……女の子と付き合いながら男とも~、とかその逆とか」
「はいは~い、そんくらいわかってるに決まってるだろ~、たっつん?」
「へいへい……ん?それならお前隆センパイと入れ替われば、男からモテモテじゃん」
「いやいや、それは違うって。だってあの人、女の子からは全然だし!年上のマダムたちくらいで……。それやったら、むしろ女の子と入れ替わってレズ楽しみながら男の子とも~……あー、けど男相手に避妊考えないといけなくなるのか……実に難しい問題だ」
「あー、そうですか……俺は全然分かんね~話だから、どうでもいいけどよ……自分の体でいいだろ?もう20年使ってる体から急に他人とか」
「え~、だって面白くね?急に他人の体を体験できる、って!あ、達也みたいな顔も、体格も、アソコも素晴らしい奴には分からないか~、うんうん……」
「ひとりで納得すんなよ、そもそも俺だって自分で自分のこと『かっこいい』とか思わないに決まってんだろ?ナルシストな訳じゃないしよ」
「お!お!お!なんだ、鉄平たち、入れ替わりの話をしてるんか!?」
「うわ!?急に背後から話しかけてないでくださいよ、センパイ!?」
「はははははっ!悪い!」
「ま、そんな感じっスね~、入れ替わったら他人の体を体験できるじゃん~、って話で。たっつんは入れ替わりに興味ないみたいなんっスよね~。あ、隆さんはどうっスか?入れ替わり」
「ん?俺か?俺は……そうやな~……俺も入れ替わって他人を体験するのは楽しそうやけど、その体でも変わらず体を動かせたり大きな声を出せたり出来るかが不安やからな~……けど、祭りに参加してるお前らなら、体も声も心配ないのはよ~く分かってるから、安心して皆になれるな!!ははははっ!!」
「ん~、センパイっぽい答え……」
「そう、だな……ははっ」
隆之介からの答えを聞くとふたりは愛想笑いのようになった。それと同時に達也は『マジでコイツとは入れ替わりたくね~……頼む、マジで!』と思っていた。
 「ここが……例の、か。……はぁ、『入れ替わり』なんてデマとかヤラセとかメイシンってやつだろ?今日はここの風呂でいいか……」
替々の湯に着きため息を漏らしたひとりの男子高校生。この高校生の名前は千葉涼太(ちば りょうた)、高校2年生。先述した入れ替わりの標的の最後のひとりである。今は『入れ替わり』というものを信じていないが、これから信じることになるのは今の彼は予想もなにも出来ない。彼は家の風呂が壊れてしまったことで銭湯に昨日から通っていた。家族と同じ場所へ行けばいいが、思春期の彼には難しいのだろう。ひとりで好きな場所へと行っている。そんな涼太は金髪ツーブロックショートヘアで目つきが少し悪くピアスを開けた素行不良の少年である。ちなみに彼女はいない。
「……おーーっし!!着いたぞーーー!!!」
「うっさいですよ、センパイ……」
「声が大きいのはいいことですけど……なるべく公共の場では気をつけてくださいね、隆之介先輩」
「……あ?なんだ、アイツら。ま、オレには関係ないことか。さっさと風呂入って帰るか……」
涼太は隆之介たちを冷ややかな目で見ると、さっさと銭湯の中へ入っていった。その後を追いかけるように隆之介たちも入っていった。
 (なんだ、なんなんだよ、さっきのアイツら……フンドシ?っての履いてやがる……いんのかよ、今の時代にも履いてる奴なんて……絶対にやべー奴らだろ……)
涼太が着替え終わり、浴室の中へと入ろうとしたとき、ちょうど隆之介たち3人が服を脱ぎ、褌姿になっていた。
(……ん?まさかアイツら見た目的に大学生か?赤い髪の高校生とかさすがにいねーもんな、ってことはアイツらのフンドシ姿ってここら辺でやってるっていう祭りの奴らか?堂々と『あんな姿』人に見せつけて写真とか撮られて恥ずかしくねーんだか)
「ん?なんやアイツ?さっきから俺らのこと見てっけど」
「今の俺ら褌一丁になってるからじゃないですか?知らない人から見たら男3人固まって褌姿だったらやべー連中に見られますって……俺はもう外しますんで」
達也はそう言うと褌を外して、タオルで前を隠した。そして、隆之介たちにジっと見ていたのをバレた気がしたのか涼太はすぐに浴室の中へと入って行った。
「なんやなんや~?達也は前を隠すんか~?さっきの奴みたいに堂々と隠さずに入ればええやろ!男同士なんやしなー!!」
「……はぁ、隠すも隠さないも人の勝手でしょうが……な、鉄?」
「ん、あぁ、そうだな。人の勝手っスよ、隆さん!今の時代そんなこと言ってたら男同士でも『セクハラ認定』されてお縄っスよ~?」
「お縄まではいかないだろ、さすがに……って、鉄平も俺と同じで隠す派なんだな」
「そうだよ~!俺も隠す派!2対2だな!隠す派は俺とたっつん、隠さない派は隆さんとさっきのつり目くんって感じで!」
「いや、俺らと関係ない人巻き込んでやんなよな」
「まぁ、もういい!!隠そうが隠さないが、俺は隠さず堂々と、やからな!!」
「お!いい脱ぎっぷりに、堂々とした見せつけっスね~、さっすが隆さん!」
「お!?鉄平は分かってくれるんか!そんなら、お前も堂々と隠さずに、『漢』を見せてやったれ!!」
「あー、いやー、それは勘弁っスね~。ってことで、たっつん!俺らは隆さん置いて先に入るか~」
「そうだな、じゃセンパイ、俺ら先に入っとくんで」
「な、なんや!?俺を置いてこうとすんなや!!俺ももういけるわ!!!」
(はぁーー、マジでうっせー……なんなんだ、あの大学生ども)
涼太はそう思いながら髪をシャワーで流し終わると、シャンプーを手につけようとした。すると……
「そこの、金髪の目つきの悪いお兄さん!隣いいやろか!?」
「うおっ!?な、なんだよお前、急に!?それに聞いてきた癖してもう隣座ってやがるし……」
「はははははっ!!いや~、ごめん!なさい!見ず知らずの人と裸の付き合いをするのも悪くないと思いましたんや!!」
「はぁ……センパイ、見ず知らずの人を巻き込んだらダメでしょ……ほら、そこの人驚いてるじゃないですか……」
「……なんだよ、そこの赤髪の奴は意外と話分かンじゃねーか」
「あ……?……なんだよ?その言い方?髪赤くしてるからって、そこのゴリラと同じ話通じない族って決めつけてたのかよ?」
「ゴ、ゴリラ……!?達也、誰がゴリラだ!……いや、ゴリラは確かに力強くてかっこいいが……」
「……ゴリ、隆センパイ、黙ってください」
「……そうに決まってンだろ、派手な赤髪で話通じなそうな奴といたらヤバい奴の集団に思うだろうがよ」
「テメーも金髪で派手だろうがよ」
「あ?金髪はいいんだよ、気合入るしカッコイイだろうがよ?」
「それなら、赤髪だって気合入ってカッコイイだろうが?」
「あー、あー、ストップ!ストップ!たっつんも、見ず知らずのつり目のお兄さんも!!」
お互い睨み合いながら火花を散らし始めた達也と涼太の間に鉄平が入った。
「落ち着いて落ち着いて!ふたりとも!な?たっつんも珍しくキレて……」
「ゴリ……センパイと同じって思われたり、赤を馬鹿にされたからよ……」
「ははは……赤好きだもんなー、たっつん」
「そうやぞー!鉄平の言う通りや!!ふたりとも落ち着け、ここは裸で付き合い、親睦を深める場や!!」
「「は?元はと言えば、お前のせいだろうが!!」」
「「……おい、なにマネしてんだよ、赤(金)髪」」
「「……チッ」」
「ぷっ……!おふたりさん揃って仲良すぎだろ……!」
「おぉーーーー!ふたり揃ってそこまで息ピッタリとは!!これが裸の付き合いの力なのか!!」
((はぁー……ウゼーーー))
達也と涼太は心の中でも同じことを思っていたようだ。もしもこのことをお互いが知ったらまた『真似するな』という言い合いになるだろう。
「あー、そうだった!紹介が遅れた!!俺は大学3年の武田 隆之介!高校までは野球をしていたが今は褌姿で祭りに東奔西走!!毎日が全力だ!!」
「いや……なんで紹介の流れになってんですか、センパイ……」
「んーー……俺は2年の小野田 鉄平。中学まではテニスしてたけど、高校は帰宅部。隆さんと同じで大学からは褌で祭りに参加してるけど、それは俺の趣味とかじゃないから勘違いしないでね?隆さんに誘われてしてるだけだから~」
「いや、鉄もすんのかよ!?」
「おーし!じゃあ、残りは達也と金髪の兄ちゃんだ!!」
「「オレ(俺)はやらねー、なんでコイツに教えないといけないんだよ(っスか)……って、おい、また真似すんじゃねーよ!!」」
「ぷっ……くくっ……たっつんとアンタ、仲良すぎだろ……おもしろ」
「「笑うな!黒髪(鉄)!!!」
「はははははっ!!!また息がピッタリだなー!!お前たち!!」
「もう、そこまで息ピッタリなんだし、たっつんもつり目くんも紹介し合ったらどうだよ?」
「はぁーー……吉田 達也。鉄と同じで2年。俺も褌なんかつけてるけどそこのセンパイと鉄に、強引に!……誘われてだから」
「強引だ、なんて人聞き悪いな~」
「そうだぞ!達也お前そんなこと言っているが、練習や本番では全力でやってるやろうが!」
「そりゃ、中途半端、とか嫌いなんで。乗ったモンにはきちんとやりてーし」
「ツンデレってやつか、たっつん?あ!あと、ちなみにコイツはサッカー少年だから!」
「ちげーよ、変な言い方するな!あと、勝手に人の情報バラすなって、鉄!……で、俺もしたんだから、次は金髪の番だぞ」
「チッ……なんでオレも……『金髪』とか『つり目』って言われんのも…………はぁ、分かったよ、オレは……」
涼太が名前を名乗ろうとしたとき、唐突に目が大きく開き止まってしまった。その様子を見た隆之介たちは涼太の異変に驚いたが、あともう一人、涼太と同じ症状が出ていた……が、そのことに隆之介たちは気づいていなかった。
「お、おい!?どうしたんや!お前大丈夫か!?」
「そうっスよ、大丈夫か!?」
「……ん、あぁ、はい。大丈夫ですよ、『センパイ』……それに『鉄』」
「セ、セン、パイ……?た、確かに俺はセンパイかもしれないが……」
「て、鉄……?」
「どうしたんだよ、ふたりとも……?俺なにか変なこと言ったか?」
隆之介と鉄平が心配をした相手『涼太』から突然に言い放たれた『センパイ』と『鉄』。それに驚いていると、ふたりの近くにいた『達也』が頭を抑えながら口を開いた。
「……っつー…わりぃ。続ける。オレは千葉 涼太。高校2年のバスケ部……」
「……は?ど、どうしたんや!?達也!?なんでお前、その金髪の兄ちゃんの名前を知ってるんや!?」
隆之介は不思議そうな顔をしながら『達也』の肩を掴んだ。
「は、は!?お前なに急に掴んでんだよ!それに、『達也』って。オレは赤髪のアイツじゃ……」
そこまで言うと『達也』と『涼太』はお互い目を丸くしながら見合った。『達也』は隆之介の手を力いっぱいにどけて、『涼太』に近づいた。
「な、なんでオレがいんだよ!?」
「それは俺のセリフだ!!」
「「おい、赤(金)髪!!!なんでオレ(俺)ソックリになってんだよ!!??」」
「ど、どうしたんねん!!落ち着けや、お前ら!!赤い髪はそっちで、金髪はそっちやろうが!!自分の髪色言い合ってどうした!?のぼせたか、お前ら!!??うおおおーーーー!!!救急車――!!!救急車だ、鉄!!救急車だーーー!!!」
「「テメーはいちいちうっせーよ、ウザ男(センパイ)!」」
「りゅ、隆さんもおふたりさんも、落ち着いて……多分、俺が思うにたっつんと、涼太、くん?は入れ替わったんじゃないっスか……?こっちの赤いのが涼太くんで、金なのがたっつん……」
「チっ……なんでオレが赤髪なんかに……」
「俺こそ、なんでお前なんかに……」
「「オレ(俺)の体返せ!!」」
「あと、お前名前教えたんだから『赤髪』って呼ぶのやめろよ、千葉……だったよな?」
「あぁ、千葉。千葉 涼太だよ。赤……吉田」
「あ?お前高校生の癖して呼び捨てかよ?」
「なんだよ、文句あんのか?器の小せー男だな。タオルで隠してっけど、アソコも小せーんじゃねーだろなー?」
そう言うと、涼太は達也のつけていたタオルを外した。そこには祭りでの褌着用のために毛は剃られていたが、元の涼太の体よりもデカいモノがあった。
「…………」
それを見て、元の自分の体のアソコと、達也の体のアソコを見比べて声が出なくなった涼太、勝ち誇ったような顔をしてドヤっている達也、笑いを堪えている鉄平、2人のと自分のを比べながら『俺が一番や!!』とひとり勝者気分の隆之介がいてなんとも言えない現場になっていた。
「なんだよ、お前……俺のこと『器の小せー』だとか『アソコも小せー』とか言いやがったのに、お前のが小せーじゃねーか」
「……う、うるせ……」
「ぷっ、くっ……んんんっ……あんまり言ってあげたら可哀そうだろ、たっつん?年下いじめなるって」
「う、うるせーよ、黒k……じゃなくて……確か、えっと、小野田!!」
「なんかたっつんの顔と声で『小野田』呼びされると嫌われた気がしてショックー……」
「仕方ねーだろ、体はコイツでも中身はオレなんだからよ……」
「……な?そろそろ髪とか洗わね?俺ら、風呂入って結構時間経ってる気が……」
「そうだね~、うん!つり目k……あ、そっか。えっと、たっつんに賛成!それに、たっつん入ってから涼太くんの目つきの悪さマシなったね~!」
「言われればそうやな!!だが、反対に達也の目つきが悪くなったな……」
「おい、千葉。なに、人の体の目つき悪くしてんだよ」
「あ?ンなこと言われても勝手に目つき悪くなってンだよ……意識して、とかじゃねーから仕方ねーだろ。逆に、お前はオレに体で腑抜けたよーな目すンなよ!」
「あ?誰の目が腑抜けてんだよ?」
「お前だよ、お前!」
「まぁまぁ。おふたりさん本当に落ち着いて!さっさと髪とか洗おう?」
「「……チっ、わーったよ」」
そう言うと、4人はシャワーの前に座り、髪を洗い始めた。体は涼太の達也、隆之介、鉄平、ひとつ席を開けて体は達也の涼太、という順で座っている。
「涼太くん、結構話してたのにわざわざ距離とらなくてもいいでしょ~?」
「そうやぞー!!涼太、距離を取らなくてもいいやろ!達也と入れ替わったということは俺らの関係者、つまり仲間のようなもんや!!」
「いや、仲間とかまではいかないと思うっスよ……」
「うっせ……どこに座ろうがオレの勝手だろ……あと、下の名前を呼び捨てで呼んでくるな!太眉ウザ男!!あと、小野田も『涼太くん』とか友だちでもないのに呼んでくんな、気色わりぃ」
「ふ、太眉ウザ男!?確かに、俺のこの眉毛はトレードマークやが、俺の名前は武田 隆之介!!さぁ、恥ずかしくはない!言ってみろ!!」
「うっぜ……武田、うっぜ……これでいいか?」
「チクチク言葉も聞こえたが……まぁ!よーーーし!!」
「……はぁ」
「ん?どうした、鉄?ため息なんかついて……」
「そうだぞ!ため息なんかついたら元気が消えてしまうねんぞ!!」
「いや~……たっつんの顔と声で睨まれながらチクチク言葉を言われたら……」
「むむむっ、確かにそうやな……達也の顔と声で傷つくのは俺も分かる……!だが、本物の達也はココにいるじゃないか!!」
「……いちいち騒がないでくれますか~、センパイ~?恥ずかしいんで」
「うんうん!これくらいの感じが達也や!!!」
「あー、うぜー……あと、あんまりシャンプー力強くやんないでくれます?すっげー、泡飛んでくるんですけど……」
「確かに。そっスね~、結構飛んでくるっスよ、隆さん?」
「ん?そうか?それはすまない!!だが、泡立てをキチンとやらねば汚れが落ちないじゃないか!!」
「いやー、やりすぎは、それはそれで頭皮に悪いんじゃないっスかね?」
「ははははっー!!俺の皮膚を侮るなよーー!!」
「「はいはい……」」
呆れた様子で返事をした達也と鉄平であった。
それから髪を洗い終わり、体を洗い終わり湯舟へ向かおうとしたとき次の異変があるふたりを襲った。
「おーっし!!全員髪も体も洗い終わったようだし、湯舟へ行くか!!」
「そっスね~。あ、涼太くんはもう入ってたんだな~?」
「お前、俺の体ちゃんと洗ったんだろな?」
「洗ったに決まってンだろ?祭りで汗かきまくってクッセー体洗うに決まってンだろ。オレはお前らと違って話さず黙々と洗ってt……」
涼太が話していると、またあのときと、達也と入れ替わったときと同じような症状が起きた。そして、すぐに、涼太の話の続きを『彼』がしてくれた。
「……たからな……ん?オレ湯に浸かってた筈だがなんで……?それに吉田の奴が目の前に……!」
「へ、ど、どうしたんっスか?隆さん……?」
「おいおい、『隆さん』ってことは……まさかオレ……!?」
『隆之介』が青ざめた顔で自身の体を触り始めると、湯舟に浸かっていた『達也の体の涼太』が勢いよく立ち上がった。その達也の顔の眉毛はいつもより太く凛々しい感じがし、まるで『隆之介』のような雰囲気であった。
「うおおおーーーー!!!いつの間にか湯に浸かっていたがどうなってるんやーーーー!!??それに、この声いつもの俺よりも少しだけ高いぞーーーー!!」
「うおわーーーー!?サ、サイアクだ……まさか、次に俺の体に入ったのって……」
「そ、その声の大きさと、眉……まさか、りゅ、隆さんっスか……?」
鉄平が不思議そうに『達也の体』に尋ねた。
「ん?ああ!そうや!!俺は武田 隆之介!!まさか、次は俺が入れ替わって達也になるなんてなーー!!!ははははははっ!!!!」
「ぷっ……ぶふっ……!!キャ、キャラ崩壊!!涼太くんのときよりキャラ崩壊!ぶははは!無理無理!なに、たっつんの声でそのテンションに、たっつんの顔で太くて凛々しい眉って……!いや、入れ替わってそれで眉遺伝するとか!!隆さんの眉強すぎ!ぶわははははっ!無理無理無理!今のたっつん直視できない……」
「お、お前……笑いすぎだろ……?ちょっとは、俺の気持ちになれ、鉄……!」
「ごめんごめん……ぷっ、くっ……」
「……なんで、なんでオレがこんな、吉田だけじゃなくて武田の体なんかにも……!足も胸も毛、生えすぎだろ、ゴリラかよ……!?」
いつもの達也や先程までの涼太が入っていたときよりもテンションの違う達也の体、それを見て大笑いの鉄平、大笑いの鉄平を見ながら怒る気持ちと自分の体に隆之介が入りキャラ崩壊のような恥ずかしさで顔を赤くしている涼太の体の達也、隆之介の体になったことで元の自分の体や先程まで入っていた達也の体よりも毛深い隆之介の体になったことで気持ち悪さを感じている涼太……今、男湯はカオスとなっていた。
「……なんだか男湯、騒がしいですね?」
「んー、入れ替わった……っぽいわね?」
「え、やっぱり、そうですよね、聞き間違い、とかじゃなくて……」
「ちょっと聞いてみましょ!……ねー!隆之介さーん?男風呂でなんかあったんですかー?」
「ん?おお!!その声は有紗やなー!!その様子だと有紗たちは大丈夫かー!」
「……え、今の声どう聞いても……」
「た、達也先輩、ですよね……?」
「ま、まさか隆之介さん、吉田くんの体に、なったん、ですかー……?」
「え、あ、あの!ってことは達也先輩は、隆之介先輩に……?」
「いやー、それがややこしくて、やなー……俺!武田は達也に!そして、達也は涼太という今日ここで仲良くなった高校生に!そしてそして!涼太は俺になった!!ってことや!!うん、ややこしい!!ははははは!」
「あ、ちなみに~、たっつんの体、隆さんの影響が大きすぎてか隆さんの眉遺伝しちゃってま~す!あ、ちなみに俺は男湯組だけどノーダメ!楽しませてもらってます~!」
「鉄……お前も入れ替われ、すぐ入れ替われ。あのゴリラ辺りとでも入れ替われ……」
「いやいや、そんなの俺に言われてもな~?」
「……吉田くん」
「……達也先輩」
「「なんか違和感だね(ですね)!」」
「……おい、森川に清水さん、なんか言ったか!?」
「あー、えっと、吉田くん?だよね?聞いたことない声だけど」
「い、言ってたじゃないですか!高校生の人と入れ替わった、って」
「あ、そっか!」
「そうだよ……なんで、こんなことに……」
「隆之介さんに入った高校生くんは?さっきから会話に入って来ないけど」
「んー、涼太くんはねー、ダウン中!隆さんの体になってショックだったからなのかな」
「お、おい!鉄平!!それはどういうことやーー!!」
「ははははー、ノーコメントでお願いするっス~」
千尋は、入れ替わった男性陣の話を聞いていると、羨ましさから『入れ替わり』で頭がいっぱいになっていた。
「……はぁー」
「ん、どったのー、千尋ちゃん?顔赤くしてため息もついて」
「え、あ、いえ!なんでもないです!!その、入れ替わってみたい、とかそんなこと……ありませんからね?」
「ふぅーん、そっかー、千尋ちゃん、ほんとは……」
「え、だから違いますからね!!」
「もう、照れなくてもいいのに~。……それに、千尋ちゃん結構いい体してるのに、この体捨てたいなんて……」
「ひゃっ……!?ちょ、ちょっと、有紗さん!急に、触らないで……」
有紗は千尋の足から横腹、お腹を撫でるように触った。
「そ、それ以上は……も、もう!有紗さん!それだったら、私だって……」
反撃をするかのように千尋は、有紗の胸へと手を伸ばした。
「ちょ、ちょ!アンタ、意外と積極的ね!ちょ、それに、アンタの、触り方、力!入れすぎ!気持ち良くない……!」
千尋が手を離すと、有紗が千尋の胸へと手を伸ばした。だが、その瞬間『千尋』の目つきが少し悪くなり、『千尋』は辺りを見回していた。だが、そのことに有紗は気づいていなかった。
「……ん?」
「……こう、やんないと……?」
「……あ?……な、な、な、な、なにしてやがんだ!てか、なんで女がここにいンだよ!!あと、お前が触ってる、この、胸……」
「え、え、ど、どったのよ、千尋、ちゃん……?」
「オレは千葉だ!千葉 涼太!」
「あ、まさか例の高校生くん!?」
「武田の中に入った、と思ったら次は、女かよ……」
「いいじゃなーい!隆之介さんになってショックだったんでしょ~?確かに、あの人毛剃ってもすぐ生えるしゴツイもんね~……イヤよね、うんうん……けど、それと比べたら思春期男子くんからしたら年上お姉さんの体になれて良かったんじゃない!?」
「と、年上……それに、女……は、裸……」
涼太は急に今までのような態度から一変し、顔を赤くし始め、有紗の体と、自分が新たに入った女性の体を見ると、真っ赤になった。
「も、もう出る!!オレ、さっさと服着るからよ!!」
「あ、ちょ、ち、千葉くん!?」
涼太は急いだ様子で湯舟から出て更衣室へと向かい、それを有紗も追いかけた。
 「な、なぁ……鉄?俺は達也だが……どう見える?」
「えーっと、隆さん……」
「……マジで、かよ……」
隆之介の体になった達也はイヤな顔をしていた。
「なんやなんやー!?達也も、涼太と同じで俺の体を嫌がるのか!?なんでや!!」
「……んー、男臭すぎるとこじゃないっスかね~?」
「なんや?なにか言ったか!鉄平!?」
「いやいや、なんにも言ってないっスよ~~」
「……えっと、あの、その先輩たち……?」
「ん?」
達也たちに照れ臭そうに『涼太の体』が話しかけてきた。その『涼太の体』の様子は、元の体の持ち主を考えても、違いすぎるので新たなキャラ崩壊になっていた。生意気に髪の色で呼んだり、呼び捨てであり、堂々とタオルを巻かずにいた様子とは大違いで、必死に胸を片腕で隠し、もう片方の腕はアソコをタオルで隠すために使い、男性の体なので慣れない範囲での内股気味の足で目線に困りながら顔を赤くしていた。
「えーっと……隆さんはたっつんのまま、たっつんは隆さんの体……ってなると、涼太くんの体は……」
「し、清水、です……」
「「………」」
達也と鉄平は驚いた表情で、涼太になった千尋を見ていた。
「え、えっと、まさか、もしかしなくても私、高校生の男子になってます……?」
「あ、あぁ……」
達也からの返事を聞くと、千尋は驚いた顔を一瞬したと思えばすぐに嬉しそうな表情を浮かべた。その表情を浮かべると、隠していた腕をゆっくりとどけて、内股気味の足から普通の立ち方になりながら、アソコを隠さずにいる達也の体の隆之介をジッと見ると目をパチパチさせながら、次は涼太のアソコを見ようと隠していたタオルをどけた。
「……す、すごい」
「え、えーっと、清水さん?なにやってんの?」
「え、あ!その、ちょっと、チェックを……えーっと、男性の体も大きさ、人によって違うんですね……達也先輩のが大きいですし……」
「お、おい!!隆さん!!さっさと隠せ!!じょ、女子の前だぞ!!!」
「え、あ、あぁ!?そ、それもそうやな!!」
そう言うと、隆之介は湯舟の中に浸かった。
「いや、そういうことじゃなくて、タオルで隠せ、ってことなんだが……」
「あー、な?たっつん、それに清水ちゃん?俺らも湯舟浸からん……そろそろ?」
「あ、あぁ……そうだよな」
「え、まだ先輩たち入ってなかったんですね……?」
「清水ちゃんはもう入ってたの?」
「はい」
「ん?待てよ。ってことは清水さんの中に入ってるのは千葉ってことだよな?」
「消去法的にそうなるな」
「おーーい、千葉!!お前、今女子風呂にいるのか!?」
「え、あ、達也先輩!今、もう千葉くん?も、有紗さんも上がってる感じですよ……さっきそういう声が聞こえてきたので」
「マジかよ、アイツらもう出たのかよ……」
「それなら、俺らも早く出ないと、有紗たちを待たせてしまうな!!!」
「そうっスね~」
「……なんだか、今の達也先輩、中に隆之介先輩が入ってることもあって違和感です」
「仕方ないだろ……そういう清水さんの体の千葉だって、清水さんが入ったことで違和感だぞ……」
「そ、そうなんですね……!」
「それにしても……うおおお!!!千尋も、俺ら入れ替わり仲間だあああ!!!」
隆之介はそう言うと、勢いよく千尋を抱きしめた。
「え、あ、ちょっと!!達也先輩……じゃなくて、隆之介先輩、やめて、ください……!」
「……お、おい!なに、人の体で千葉なんかに抱きついてるんだ、このゴリラーーーー!!!!」
達也は勢いよく隆之介から、千尋から離した。
「ぷっ……ゴリラって!今のたっつんが、ゴリラ、なのに……くくくっ……!」
「おい、鉄!」
「あー、ごめんごめん!隆さんの体格で暴力振るわれたら骨折してしまうから勘弁~」
「い、いや~、すまない、千尋!つい、今のお前が男の体なせいで……」
「『つい』で、男の体だとしても、抱きつくなよ……」
「な、なんだか、やっぱり太い眉に凛々しい眉の、達也先輩変な感じ……」
「な、なんだか、やっぱり目つきの優しい、涼太くん、変な感じ……」
「ちょ、ちょっと真似しないでくださいよー、鉄平先輩!!」
「はははは、ごめん~」
それから数分、沈黙が続き4人はゆっくりと湯舟に浸かっていた。
「あ、あの、私そろそろ上がりますね……!」
「あ~、じゃ俺も上がるわ~」
「それでは俺も……」
「ちょっと待て、アンタはもうちょっと俺と入っとけ……もしかしたら元に戻れるかもだし」
「ん、あぁ!分かったぞ!もう少し付き合おう!!どれだけのぼせずに頑張れるか、の挑戦にもなるしな~!!」
「……んじゃ、そういう訳だからお前らは早く上がっとけ。また入れ替わりが起きて鉄も巻き込まれたり清水さんがまた別の体になるのも避けたいし、今は俺らしかいないから、俺と隆さんのふたりだけになれば元に、戻れる……かもしれねーから!頼む、戻ってくれーーー!!」
「ははははー、じゃ、たっつんたちは頑張ってくださ~い。じゃ、行こっか、清水ちゃん?」
「はい!それじゃ、また後で会いましょう!」
「あぁ!……清水さんはいいのかよ、ソイツの体のままで……」
「……私の体、もう上がってるみたいですし」
「え、あ、そうだったな」
「それに……」
「それに?どうしたんだ?」
「言いたいことがあるなら、ハッキリ言うんやぞ!千尋!!」
「えーっと、その……隆之介先輩に頼みたいことが……」
「むむ!?俺にか!!なんやなんや!可愛い後輩の頼み聞こうやないかーー!!!」
「うるせ……」
「たっつんの体で、その口調とかやっぱ違和感……ぷっ、くっ……」
「……えっとですね、隆之介先輩!私……!」
 「はぁ、はぁ、はぁ……女の体って、男と違うんだな……色々と」
「え~?なになに~?例えばどんな違いがあるの?」
「……あ?ンなの、まず、こう胸への違和感に、アレがねー物足りなさに、エロいこと考えたり見てもココの感じがなんかちげーし、変な違和感が体全体にあるし……」
「女と男で、エッチなこと考えたときって違うのね~……」
「~~!!…………そ、それにしても遅くね、この体の女に、アイツら」
「な~んか、千尋ちゃんが目つき悪くて口も悪かったら違和感~!あと、年上の女性に対して『女』ってやめたら?」
「……そんなのオレの勝手だろ?目つきは……自然にそうなんだよ!口が悪いのも、見た目はコイツでも中身はオレだしよ」
「……はぁ」
涼太はソワソワとした様子で、男風呂のメンバーを待っていた。
「そいや、アンタと、この体の名前はなんだよ……?」
「あ、そういえば千葉くんの名前だけで私の名前は教えてなかったわね……私は森川 有紗。その子は清水 千尋」
「へぇ、森川に清水、ね~」
「ちょっと!年上のお姉さんたちのこと堂々と呼び捨て~?生意気な高校生だこと!」
「へいへい、生意気で結構ですよ」
「千尋ちゃんの見た目と声なのに、可愛くない……」
「清水は清水で、オレはオレだ」
「……まー、そうだけどさ~」
涼太は足を組んで座っていた椅子から立ち上がり、周りを見回すと一枚の張り紙を見つけた。
「……ん?なんだ、これ?『テレビ撮影決定』……?」
「あー、そうみたいよ。ここなにかのバラエティの企画で撮影されるみたい」
「へ~、入れ替わり目的かよ?」
「そうじゃない?それ以外に目的ないだろうし」
「ふぅーん……」
涼太が『テレビ撮影』の張り紙を見つけ、有紗と会話をしていたら、男湯の扉が開き、鉄平と千尋のふたりが出てきた。
「あ!小野田くんと……千葉くんの体……?」
「あぁ、あれが、オレの体だ……中身は吉田、だよな?」
「う~ん、残念。ハズレ~」
「ハ、ハズレ、だ~……?ど、どういうことだよ、小野田?それに、武田……の体と、吉田の体いね~し」
「えっと、はじめまして……?千葉くん……だよね?私、清水 千尋、って言います!」
「え~っと……あー、あぁ。清水の名前はさっき、コイツから聞いた」
「コ、コイツ……!?ほんっと、生意気……」
「……じゃあ、オレの中に清水が入った、ってことだよな?んで、オレは清水に。……じゃあ、武田と吉田のふたりが?」
「そそそ!せいか~~い!涼太くん!!で、たっつんたちは『俺らだけでも元に戻る!』ってことで風呂の中でまだ頑張ってる~」
涼太は頭をかきながら男湯のほうをチラっと見た後に、千尋が入った自分の体を眺めていた。
「……あ、あの!千葉くん、お願いあるんだけど……あのね!」
(まぁ、オレの中に吉田とかいう赤髪クソ野郎が入ったままとか、武田とかいうゴリラが入った訳じゃねーから、まだマシか……?いや、もっと酷くなったンじゃね……?元のオレの体、女装させられたり、コイツの髪みたいに青とピンクのメッシュとかいう男がぜってーに!似合わねー色をオレの髪に入れたり、男がもしもいてソイツが『見た目なんて関係ねーよ』ってタイプの奴でオレの体の清水とも変わらず、デートやハグやキ、キ、キ、キ……スとか、S……とかしやがったら、どうすんだよ……か、考えただけで無理だ……まだ、あの男共のが……いや、アイツらも、無理だ、拒否るぞ……)
涼太はこのようなことで、頭の中がいっぱいになっていた。そのせいで千尋たちに話しかけられていることにも、気付かぬ程であった。
「……っと!ちょっと!大丈夫!?おーい!千葉くん~?」
「……う、うおっ!?きゅ、急に顔覗かせてくんな、金髪女!!!」
「森川!なんですけど~?……はぁ、アンタ全然声が届いてないし、顔も赤くなったり青くなったりしてたし唸ってたから心配してあげたのに……」
「……余計なお世話、だ!なに考えよ~がオレの勝手だろ?」
「ふぅ~ん、また『オレの勝手』ね~……ま、とりあえず千尋ちゃんがアンタに『お願い事』あるみたいだから聞いてあげなさい」
「あ?……『お願い事』だ?……おい、まさか!?」
涼太は頭の中でいっぱいになっていたさっきのことをお願いされるのではないか、と不安になった。
「ね、ねぇ!千葉くん、聞いてくれる……?」
「イ、イヤだからな!!断る!!!オレの体で女の服とか、こんな青とピンクのメッシュとかいう男には似合わねーもんとか、男なんかにオレの体が……あんなことや、こんなことされたりするのなんて……」
「……は?」
「ぷはっ!ぷっ、くくくっ……りょ、涼太くんなに言ってるのさ!やっぱ、話聞いてなかった!……ほら、清水ちゃんもっかい、言ってあげな?」
「……は?ち、違うのかよ……?」
「う、うん!あ、あのね!」
もう一度、千尋が涼太に伝えようとしたとき、男湯の扉が開かれ、隆之介と達也が出てきた。
「……はぁ、なんでだよ……クソが。さっきまで入れ替わりまくってたのに……」
「はは、はははっ……人生うまく、行かないこともあるん、やぞ~……!たつ、や~……」
「う、うおい!大丈夫かよ!センパイ!?」
「あぁ!大丈夫だ!!」
「……吉田に武田かよ、タイミング悪いな、アイツら」
「……うわ~、声だけでも違和感だったけど、見たらもっと違和感~……なに、あの珍し~~くロウテンションの隆之介さんに、テンション高いのにフラついてる吉田くんは……しかも、吉田くんの眉毛やっぱり太いし凛々しくなってるし!!あははははははっ!!無理、似合ってなさすぎ!!てか、隆之介さんの要素?成分?入れ替わって相手の体にも出るとか強すぎない!!無理無理無理無理!!!あはははは!!」
「おい!森川!!お前、笑いすぎだ!」
「ごめんごめん~!あはははっ……えーっと、なんで隆之介さんが入った吉田くんフラついてんの?」
「くっ……普段の、俺なら、のぼせてフラつく、こと、なんて……」
「あーもう!アンタは話さなくていいです。俺が説明するんで!……えーっと、元に戻るために、そのまま俺ら風呂に入ってて、そしたらセンパイ、俺の体でのぼせ始めて、俺のほうはこの人の体で『のぼせた』とか思ってなかったから、勝手に俺の体のほうも、センパイのほうも大丈夫だろって思ってたら……」
「……あー、なるほどね~。隆さんの体は強いからたっつんにはノーダメージ!だけど、たっつんの体はちゃんとした人間だから隆さんに珍しくダメージが!ってことだね~!」
「お、おい!……鉄平!それ、だと!俺が、ちゃんとした人間ではない、みたいやないか!!!」
「ははは~、冗談っスよ~!」
「とりあえず、センパイは椅子座って冷たい飲み物、飲んどいてください……」
「あ、あぁ……感謝する……」
「……あ、そうそう!ななな!たっつん!」
「なんだよ、鉄?」
「隆さん、着替えにも赤ふん用意してたけど、たっつんの体の隆さんか、隆さんの体のたっつん、どっちが着用してんの?」
「は!?わざわざ聞くことかよ……?そんなの、俺が……あー、センパイの体の俺がしてるに、決まってるだろ!普段この人がしてるヤツをなんで俺の体にさせない、といけないんだよ、気持ち悪い……」
「そ、そうやぞ~……!やから、俺は……ほーーら!達也のパンツを履いている!!」
隆之介は鉄平たちの会話に割って入ると、達也の体でズボンをおろし赤のボクサーパンツを見せた。
「お、おい!!バカ!!なに見せてんだよ!!」
「はははは!!いいやないか!!俺らは褌のつきあい、裸のつきあいをしているから、大丈夫やろ!!女子も、お前の下着姿なんて褌で見慣れてるだろうしな~!!ほら、達也も俺の体で褌を見せつけt……ふんがっ!!」
「誰が、見せるか!!アンタにはマジでデリカシーってのがないのか!!」
「おぉ、たっつんのグーパンが、隆さんに炸裂~!」
「はぁ……マジでなんで俺の中にコイツなんかが……」
「い、今のは効いた……やる、じゃないか……達也……」
「はぁ、アンタもうのぼせ、どっか飛んでいってません?……あと、早くズボンあげろ」
「ん?あー、すまんすまん!すぐにあげる!!」
「確かに。隆さん元気なったよな~」
「そうやな……のぼせ状態から復活だーーー!!!」
(……吉田くんって結構大きいの、持ってるのね……)
「あ、有紗さん?顔赤いですよ……?」
「え、あ!なんでもないなんでもない!!それより、千尋ちゃん早く言いなさいよ、千葉くんに」
「そうですね……えっと、千葉くん……」
「……なんだよ?さっさと言えって」
「あの、ね……?ち、千葉くんの体でお祭りに参加してもいいですか!?もちろん、他の男子たちみたいに褌で!!」
涼太は千尋からその言葉を聞くと数秒フリーズしてしまった。
「…………は?」
「あのね!私、他の男子たちみたいに、達也先輩たちと一緒に参加してみたかったの!だから、せっかく男の子の体になったし……」
「イヤだ、ぜっっっっったいに、イヤだ。断る。なんでオレの体で、そんな姿されねーといけねーんだよ?」
「ふぅ~ん、そっかそっか」
「なんだよ、森川……?」
「『オレの勝手』禁止ね?」
「は?」
「アンタ、『オレの勝手』で先輩相手でも呼び捨てとかじゃない?」
「あ、あぁ……」
「けど、千尋ちゃんは『私の勝手』を許されない、なんて……」
「じゃあ、オレにどうしろって言うんだよ……?」
「千尋ちゃんの『お願い』を聞いてくれないんだったら、『オレの勝手』私らの前じゃ禁止、ね?」
「だな。千葉だけ清水さんの体で好き勝手っていうのはズルいもんな~……男としてどうかと思うぞ~?」
「ほんとほんと!清水ちゃんかわいそ~……」
「……吉田に小野田……お前らも乗っかてくんな」
「どうやら、器もち〇こも小さかったのはお前みたいだな、千葉」
「……!よ、余計なお世話だ、クソ吉田!分かったよ、分かった!!オレの体でしたいなら勝手にしろ……!」
「そ、それじゃあ……!」
千尋はキラキラと輝いた目で隆之介を見た。
「あぁ!涼太から許可を貰えたから、お前もこれから褌で出てもいいぞ!」
「……なんでオレの体がそんなことに……チっ……」
「……俺もよーく分かる、お前のその気持ちが」
達也は、納得のいっていない様子の涼太を見ると頷きながら近寄った。
「は?お前はオレと清水、どっちの味方なんだよ、吉田!」
「いや、どっちの味方とかじゃないけど、俺もさ、センパイなんかになった上に、俺の体にはセンパイが入ったからよ……」
「あー、そうだなー……お前、武田の体になったもんなー……」
涼太は達也のことを見るとしゃがみこみ、達也のズボンの裾を上げた。
「ん?な、なにしてんだよ……?」
「いや~、ただ……ちょっと…………な?」
「な、なに、人の足触ってんだよ、気持ち悪いな……」
「ふっ、ま、ちょっと…………な!!」
その瞬間、達也の足に激痛が走った。
「!?!?……ってーーーーー!!!なに、すんだよ、千葉!お前……思いっきり足の毛抜くな、バカが!!……ってー……」
「はははははーー!やっぱ、武田の体だから抜ける場所多いもんな~?」
「たっつん……元の自分の体だったら処理もしなくても無駄毛少なかったのに、隆さんの体になったせいで……そんな体験をこれからしていく、なんて……入れ替わり面白……!」
「抜かれたのに、まだボーボーだぞ、どうなってんだ、センパイの毛の多さは……」
「……へー、吉田くん処理もしてなくて、あの綺麗さだったのねー……ちなみに、千尋ちゃん!千葉くんはどうなの?」
「え、えっと……こんな感じですけど……?」
「隆之介さん>千葉くん>小野田くん>吉田くん……ってことね。ねぇねぇ、千葉くん!これって処理してなくてこれ?」
「……あ?処理とかせずにそれだよ。なんか文句あんのか?」
「いや、ないけどね~、男の子のそういうとこ意外と気になるし~……?」
「……はぁ、変態と変人ばっかだな、お前ら」
それから、隆之介たち入れ替わった組は番台のおじさんに入れ替わったことを伝えて、書類などを書いて申請をしてもらうことになり、家族にまず連絡をしてもらい、明日の朝までに学校や周りにも伝わるようにしてくれ、その日は解散した。
 それから数日が経ったある日のことだ。鉄平はいつものように達也のところに泊まっていた。
「た~っつん!もうすぐ2限!俺らの入ってる授業だ!起きろ~!」
「んん……あと、もうちょっと……」
「いや、もう時間ないから……仕方ないなー!起きないなら……やっぱりな~?」
鉄平は、かけ布団から覗く足を見ると、ニヤリと笑い、足の毛を勢いよく抜いた。
「!!!いっでーーー!!!なにすんだよ、お前……!」
「ははは、ほら起きた!たっつんは毛むくじゃらさんだもんな?」
「ち、ちげーよ!俺は、じゃなくてセンパイは、だからな……あー、クソ……なんで処理してもお前から抜かれても減る気配ないんだよ、またすぐ増えてくるし……」
「眉もそうだもんな?どれだけ整えても濃くなる……哀れなたっつん……」
「おーし、お前また今度あの銭湯行こう?な?」
「いやー、あんなこと目の前で、しかも友だちと知り合いが巻き込まれてまた行きたいってなるのはバカくらいでしょ?」
「……それも、そうか……はぁー、それにしてもなんで俺とあのゴリラが……」
「過ぎたことばっか言ってても~?ほらほら!早く着替えて!パンイチの元のたっつんなら見るの嬉しいけど、パンイチの今のたっつんは激萎えしちゃうからさ~?」
「……ンなこと言うなら俺の家に入ってくんな!」
「まぁまぁ!友だちが朝から起こしてあげたり夜も話し相手や遊び相手なってるんだからさ~?」
「……明日は彼女来るからなしな」
「え!彼女さんまだ付き合ってくれてんの!?……見た目目的じゃなかったってことか……」
「お前サラっと俺にも彼女にも失礼だな」
「んー、いやいや!解釈の問題だから気にすんなって!ほらほら着替えて身支度したら大学行くよ~?」
 ふたりは家を出ていつもの道と、バスに乗ると大学へ着いた。
「……あ、あれ、たっつんの体の隆さん」
「ん?そうだな……」
「そういえば、たっつんにファンクラブあって入れ替わってからは中身推しと外見推しの派閥に分かれたって噂あったよな?」
「あー、そうみたいだな。外見推しの派閥は、あの人が入ったせいで解散なったんじゃね?」
「いや、それがね、むしろその反対で……」
「は?」
「男子生徒の心もおば様方のハートも掴んでるみたいだぞ?もちろん、今までのファンの女の子たちの中には『あんなの達也くんじゃない!見た目も中身もイヤ!!降りる!』とかもあったみたいだけど、『むしろ、今の達也くん可愛いかも!』とか『太くて凛々しい眉ありかも』『前までの達也くんはお触りNGだったけど触らせてもらった……♡』とかあって人気があるみたい」
「おい待て!最後の、どこだ?どこ触らせてもらったんだよ!?」
「んー……知らね!」
「どこなんだよーー!!」
「ん?おぉ!!達也に鉄平!!」
「うわ、気付かれた……」
「これから授業か?」
「そっスね~、授業っス!あ、そういえば、隆さん、たっつんの体になってどこ触らせたんっスか?」
「て、鉄!それ、堂々と聞くか!?」
「ん?あー、確か……腹筋、尻、あとは乳首……だな」
「は!?なに人の体でそんなこと!」
「ちなみに触らせた人の性別は?」
「小さい男の子、おばさん、若い女の子……だが?」
「……とりあえず今度から触らせるな!恥ずかしい!」
「む……な、なるべく、気をつける!そうやよな……!これはお前の体やものな……く、俺が軽率だった!すまない!」
そう言うと、隆之介は土下座をした。
「いや、あの……土下座とかやめてくれます……?俺の体で……」
「あ、あー!そうやった!また、お前の体であることを考えていなかった!!すまない!頭を丸めてくる!!くっ……本当にすまない……!」
「……あー、あの人走って行ったよ」
「『頭丸める』って。人の体で坊主にすんなよ、やっぱあの人分かってねーだろ……俺に、俺の体になにか恨みでもあんのか?」
「いやー、あれは素での天然だな」
「はぁ……マジでなんで俺が……」
「そういえば、たっつん、隆さんの体では赤に染めないのか?」
「あー、染めない。この人の顔、あんまり赤似合わない気するし……」
「んー……確かに。黒か坊主、だね」
「おし。鉄、坊主にしてやるか覚悟しろ」
「んー、あー、早く行かないと、授業に遅刻するぞ、たっつん!」
「あ、おい!鉄!」
階段を急いで登っていた鉄平を達也も追いかけて行った。
 「よーっ!千葉ちゃん!」
「ちゃん付けすンじゃねー!!」
「はははっ!悪い悪い!」
ここは涼太の通っている高校、涼太の教室。男子用の制服を着た千尋の体の涼太の席の前に涼太の友だちが来た。
「んで、なにお前ら、オレのこと見てニヤニヤしてンだよ?オレが女の体ってのはお前ら知ってるだろ?」
「いやー、これを見て欲しくてよ」
そう言われて出されたスマホの画面には、褌姿の涼太の体があった。
「うげっ!?」
「いや~、お前の体に女の子、しかも年上のお姉さんが入った、って聞いたけど、まさか、な……」
「うんうん。こんなにも積極的な女の先輩だったなんてな~」
「いや~、オドオドした様子だったぞ、コイツ……」
「へ~、つまり、褌姿でオドオドした千葉ってことか~……」
「うっわ、そんな涼太想像つかね!」
「けど、ここに褌の涼太の写真も~、動画もあるけどな~!」
「け、消せ!そんなの消しとけ!頼むから!!」
「消せって言われても、消したとこでSNSとか動画サイト見たら挙がってるしな~」
「マ、マジかよ……」
「ま、諦めろって!」
「おい……胸触ろうとすンな……」
「わりぃわりぃ!健全男子高校生だからな~!!」
「へいへい……勝手にしとけ」
涼太は呆れた様子で窓から外を見た。
 「……ちゃんと、出来てる、よね……?結べてるし、毛もはみ出て、ない……!」
鏡の前で褌姿の確認を、千尋はひとり、部屋でしていた。入れ替わり、涼太の体を手に入れてから、隆之介に褌の着け方などを何度も教えてもらい、最初の内は周りの男子たちに手伝ってもらっていたが、今ではひとりでも出来るようになっていた。
「……う、うぅ……治まれ、治まれ……!なんで鏡で千葉くんの体見てたり褌姿の周りの男子見てたり好きな男性アイドル見てたりBL本見てたりしても、大きくなってくるの……!しかもファッションモデルさんを見てても、たまに大きくなるし……!思春期男子、ヤバすぎ……!けど……」
褌の横から大きくなったアレを出すと、千尋はソレを握った。
「……やっぱダメ!無理!!出来ない!!気持ち悪いもん、そんなの……!」
握った手を離し、また褌の中へと入れた。すると、ノックもなくドアが開き、ブカブカの上服だけを着て生足を見せた千尋の弟が入ってきた。
「な~、姉ちゃん?俺のパンツ知らね?」
「し、知らないって!急にノックもせずに入って来ないでくれる!?」
「あー、わりぃわりぃ……へへっ」
「~……」
「……って、また姉ちゃんその男の体で褌なんか履いて、ち〇ち〇、〇たせてんのかよ?」
弟は千尋の今の姿を見るとニヤニヤしながら言った。
「べ、別にいいでしょ!?アンタだって『男だった』とき、ズボンもっこりとしてたことあったでしょうが!!」
「あー、あったあった!けど、今は姉ちゃんがソッチ側だもんな~」
千尋の15歳の弟は、千尋が入れ替わるよりも前に24歳の女性と入れ替わっていたのだ。だからこそ、千尋は『入れ替わり』というものを信じていたのだ。
「せっかくなら、姉ちゃんのおち〇ち〇、俺が弄ってやろうか?」
「い、いらない!!てか、アンタ!学校は!?」
「んー、寝過ごした!だから、着替えようとしたんだけど、見当らなくてよ……姉ちゃんが発情してんのかな~、って思ったんだけど……」
「してないに決まってるでしょ!!誰が弟のパンツで……そもそも女の子の下着なんてこの前まで私も履いてたんだしそんな気持ち持つ訳……ないでしょ!!」
「さっきの間、怪しい……」
「あ、怪しくないから!!変なこと言ってたら下着つけるときとか生理のときなにもアドバイスとかしないから……」
「はぁ……もう何ヶ月、女で生きてると思ってんだよ?」
「アンタ、この前、布団汚して騒いでたり、ブラ上手くつけれなくて騒いでたじゃん」
「んー、なんのことか忘れました~!」
「調子良すぎ……」
「んじゃ、俺違うの履いて学校行く~」
「うん、そうしたら?」
「興味なさそ……あ、そうだ!姉~ちゃん?今度俺と姉弟で交〇するか?」
「誰がするか!」
「え~、だって俺ら姉弟だけど、体は赤の他人同士だし?」
「それでも、したくない!絶対に!倫理観ないの?」
「え~……そういや、兄弟姉妹で俺らみたいに別人なったら結婚出来るのかな?」
「……出来ない」
「え?」
「出来ない。体が違っても精神や戸籍は兄弟姉妹に違いないから出来ない」
「へ~……褌姿で〇起させた金髪男なのに真面目だ……」
「はいはい。早く学校行かないと授業欠席だらけになるよ」
「あー、そうだった!」
弟はドアを閉め、急いで準備をしに行った。
(弟の筈なのに、見た目はやっぱり弟じゃない……弟も今の私見てそう思ってるのかな?お母さんとお父さんも……)
元の千尋の弟は黒髪でショートヘアの色黒の男の子であった。今の弟は黒髪でロングヘアのメガネをかけた色白の女性である。メガネをかけるのがイヤなのでコンタクトをしているようだが。
「って、いつまで褌でいるんだろ!早く服着て図書室行こ……」
千尋は涼太から貰った服を着て、髪をセットし、大学へと向かった。
(うん、今日も夕方から練習あるし、頑張らないとね~!……ん、有紗さんからだ?)
「はい、有紗さん?千尋ですけど、どうかしましたか……?はい、はい……えー!クッキー!?分かりました!食堂行きますね~!はい!……」
隆之介たちは入れ替わったことで今までとは少し変わりながらも、変わらない生活を送っていた。

[その後の武田隆之介(吉田達也の身体)さんへのインタビュー]
Q1.達也さんの体になって何か変わったことは?
「達也の体になって……やはり、筋肉と毛やーーー!!!達也も筋肉あるにはあるが元の俺と比べると少ない!!そして、毛も褌のために処理をするのが簡単になったがどこか寂しいんや……!眉毛は変わらずこの体でもあるがな!!!何度か達也に剃らされたが、またすぐにこの眉毛は復活した!!元の俺の体も眉毛は健在やしなーー!!はははははーー!!」
Q2.元の自分の体になにか!
「達也!俺の体をこれから頼んだぞ!!俺は達也の体をこれから輝かせていくからな!!はーはははは!!」
[その後の吉田達也(武田隆之介の身体)さんへのインタビュー]
Q1.隆之介さんの体になって何か変わったことは?
「決まってるじゃないですか……!この足とか腕とか胸とか脇とかデリケートゾーンの毛深さに!!祭りや褌で他人様の前に出るギリギリに処理しねーといけなくて忙しくなるんですよ……ほんとマジでなんで俺がこんな体に……千葉の奴の体になったのもイヤだったていうのに……」
Q2.元の自分の体になにか!
「隆さん、とりあえずアンタ俺の体であんまり変なことしすぎないでくださいよ、マジで頼むんで……」
[その後の清水千尋(千葉涼太の身体)さんへのインタビュー]
Q1.涼太くんの体になって何か変わったことは?
「え!えーっと……やっぱり、男子の体なんで、そういうこととか、あーいうこととかがあって……あー、けどやっぱり一番は祭りやイベントに褌姿で出れるようになったことです!毛の処理は達也先輩とか鉄平先輩に頼んでやってもらってますし……恥ずかしいんですけどね……」
Q2.元の自分の体になにか!
「たまには連絡とか欲しいな~、って。えっと、あと千葉くん女子の体で困ったことあったら聞きに来てくれていいからね?」
[その後の千葉涼太(清水千尋の身体)くんへのインタビュー]
Q1.千尋さんの体になって何か変わったことは?
「あ?色々あンよ……それでダルイとは思うけど、女の服とかアクセサリー見に行ったら色々良いモノあってそこは、女の体もいいな、とは思ったけどよ……やっぱ男だから恥ずかしくて男モノ買っちまうけど、いつか着てみたいなってのは……あー、なんでもねー!!」
Q2.元の自分の体になにか!
「頼むから考え直せ!オレの体で褌はやめてくれ……!!」

その3
[20XX年1月25日 野田(のだ)幸樹(こうき)(36),和田(わだ)ましろ(16),村田(むらた)蓮(れん)(15)]
※今回のラスト掲載のインタビューは各自3問になります。
 「うげっ!?……野田、せんせー、いたのかよ……」
「ん?おーう。お前も来てたのか。村田」
今日、俺は学校をサボった。今日が初めてって訳じゃなくてもう何回もしてることだが。今日は中学のときの友だちと久しぶりに遊んだ。で、その帰りに俺はこの銭湯に来た。「入れ替わる」とかなんだとかのいわくつきみたいで、つい最近もテレビでそんなのやってたりしたが、どうせヤラセだと俺は思ってる。だから、俺はテキトーに俺ン家の近くのここに来た……来たが、なんでよりにもよって、担任の野田の奴がいんだよ。こんな奴なんかと入れ替わりたくねーぞ?まだコイツと入れ替わるならクラスのオタクくんとか陰キャの方が……いやアイツらもぜってーにイヤだ。……って『入れ替わる』なんてそんなこと起こる訳ねーだろ!……そもそも、今日は気持ちよくダチと遊んで、気持ちよく汗流して、気持ちよく帰って、気持ちよ~くさっきダチのひとりから借りたソイツのオススメっていうA〇を観ながら気持ちよく〇いて〇いた後は清々しく寝ようとしてたのに……。んで、風呂は髪も体も洗ってあとは湯舟入るだけだったのによ~…いつからいたんだ、コイツ?そもそも俺もコイツも今まで気づいてなかったのか……?
「あー、そっスね~~……俺ン家この辺なんで」
「あー、そうだったな」
「あーー、んじゃ俺もう出るんで……」
「おい、待て待て。村田、お前まだ風呂の中に入ってないだろ?ちゃんと入らないと温ま……」
う~~~~!見てやがったのかよ、きっしょくわり~な!ってことは、コイツ俺がいんのに気づいてて声かけなかったってことだよな?
「……わーりました……入る入る、入りますんで」
なるべく、野田と距離取って入る。あぁ、それが一番だ……こんくれー距離取ってればいいだろ。
「ふぃ~……きっもち良い~~。生き返る気分だぜ~~!」
……なに言ってんだ、俺?オッサンみたいなこと言って。けど、気持ちいいことに変わりはねー……そのせいでこんな言葉が出てきたんだ。
「村田、オッサンみたいだな。俺よりも20も違うのに……」
うっせ!黙れ、野田……わざわざ話しかけんな……俺の至福の休日(サボり)を邪魔しやがって……
「……ところで、村田。今日お前学校休んでたよな?」
「……ん」
「またサボりだな、ここにいるってことは……お前もうすぐ2年になるし、受験が近づいてくるから気をつけろよ。ただでさえ、お前はサボりに遅刻が多い、授業も寝ているか近くの席の奴と話す、追試ばかり、先輩や他校の生徒との喧嘩、髪色も服装も校則違反。まったく……お前に限ったことではないが」
「はーーい、次からは気を付けまーーす……」
「本当に分かっているのか……それじゃ先生はもう出るから。高校生とは言え、あまり遅くならない内に帰れよ」
へいへい、分かってますよーだ……いちいちうるせーオッサンだなー……あぁー、隣のクラスの若い女のせんせーが良かったなー。はぁー、ま、2年になったらアイツと別れられるかもしんねーし、もうしばらくの辛抱ってやつだよな。あ~、明日はさすがに学校行かないと、だよなー……確か3限体育だった筈だからそれに間に合うように遅刻して行くか……。
……ん?なんだ?今、一瞬、変な感じが……それに湯舟の温かさがねー……目もボヤけてやがる。ん、タオル?え、いつの間に俺、自分の体拭いてたんだ?……いや、ちげー……ちげー!ちげー!ちげー!なんだ、この色白で毛深い足?なんだ、このプヨプヨの腹?なんだ、この色白で毛深い腕?なんだ、このプヨプヨのほっぺた?なんだ、このジャリジャリする顎は!?か、鏡だ、鏡……か、が、み……な、んでだよ……
「……は、マジかよ、俺、野田に、なってやがる……」
鏡には、青ひげに野球部のような坊主頭の、冴えねー太ったオッサン……俺が普段学校で見たくなくても見させられ、今さっきも話していた野田そのものが映っていた。
「嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ……なんでだよ!ヤラセじゃなかったのかよ……」
クッソ、とりあえず今は俺になった野田と合流しねーと!元はと言えば、俺と同じ時間に入っていた野田が悪いんだ、クソが!
ダダダッ……!
ガラガラッ……!!
「おい!野田!テメー!俺の体返せや、ボケが!!」
「え……?な、へ、え、イ、イヤーーーーーー!!!」
「そ、その話し方、お、俺の体に入ったのは村田か!?」
あ?あ?あ?あぁ~?????いや、待て待て待て。あ?あ?なんで今俺になった野田は、野田になった俺を見ると、顔を赤くさせながら叫んだ?なんで、今、野田は俺から視線を外して背中を向けて壁のほうを見てるんだ?なんで、今、女湯のほうから『俺』なんて使う女の声が聞こえてきたんだ?それに、どっかで聞いたことのある女の声だったし、『俺の体に入ったのは村田か』……?あ~?訳わかんねー!
「おい、女湯の……えっと、名前分かんねーや。アンタ誰だよ?俺のこと知ってんのか?」
「知ってるも何も俺だ!野田だ、野田幸樹だ!!」
「は!?なんで女湯に野田……せんせーがいんだよ!!じゃあ、コイツは!?ここで背中向けてる俺は誰なんだよ!?」
「え……!?やはり、私は男子になっていたんですね……」
「おーい!せんせ、誰か分かるか、この女の子……?は」
「いや、鏡を見ても知らないこ子だ……黒髪で、ってこんなことを言ったりジロジロ見ているとセクハラになってしまわないか!?」
「なんねーだろ!この緊急事態!……あー、でアンタ誰なんだよ?」
「わ、和田です……和田ましろ……」
「和田、ましろ……へ~、マジかよ。俺の行ってた小中にも同じ名前の女子いたよ!同姓同名ってマジでいんだな~!」
「わ、和田さんか!初めまして……?という挨拶を挟むのもおかしいかもしれないが、今あなたになっている私は野田幸樹。高校教師をやっている者だ!」
「そ、そうなのですね……野田、さん。あ、いえ!野田先生の方がよろしいですよね!」
「い、いや私は別に和田さんの教師でもないのでどちらでもいいのですが……それにしても、村田の声で敬語や素直に『野田先生』なんて呼ばれると……」
俺もだよ、俺も目の前で俺が敬語で話してるのキモくてキモくてムズムズしてんだよ……なんで、俺の中に女の子が入ってんだよーーー!!
「むらた……?」
「ん?あぁ、俺の名前だよ、和田サンが入ってる男の名前。村田蓮ってんだよ」
「む、むらた、れん……さん……?」
「ん、そうだけど?どーしたんだよ?」
「いえ、私にも、村田蓮さん、という同姓同名の知り合いがいるので……」
「……マジ?……ん?待てよ、お前まさか青小(あおしょう)、白中(しろちゅう)卒業か……?」
「え、そうですけど……?……まさか、あの村田、くん……?」
「お前、あの和田、だよな?」
「ん?村田と和田さんのふたりは知り合いなのか?」
「そっスね~……小中同じの」
「……と、とりあえず合流しませんか?なんだか、クラクラしてきて……のぼせそうで……」
のぼせそう、ってそれならさっさと湯から出ればいいじゃねーか……
「あ、あぁ!それは大変だな!……だが、女性の下着や服の着方など分からないんですけど」
「そ、それでは一応着れる範囲で着て出てきてください……出来なかった分は多目トイレか銭湯のおじさまに伝えて、どこかの部屋を貸してもらうなどすれば……」
「そ、それは助かる!それじゃ、私は着替えてくるから後で合流しよう!村田、和田さんのこと頼んだぞ!」
「へ~い、わ~ってますよ……な、和田?お前のぼせそうなら、さっさと湯から出ればいーじゃねーかよ」
「え!そ、それは……その、と、とりあえず村田くん?更衣室の方へ行くか、その、タオルで、前を隠していただけませんか……?」
「あ?なんで……あ~、そーゆーことか」
和田、コイツは野田の、男のち〇こを見ることに抵抗があるから背中を向けてずっと湯から出ようとしなかった、ってことか……それなら……こうしてやるか。
「分かったよ、和田。タオルで隠すよ、隠す隠す。……ほれ、隠したぞ。こっち向いていいぞ」
「あ、ありがとう、ございます……」
お~し、いいぞ。こっち向け、和田。タオルなんてつけてね~に決まってんだろ。また俺の声で騒がれるのはキモくてイヤだが、久しぶりに会ったコイツのことを中学ぶりに弄ってやりたい欲のが勝っちまう……真面目が服を着たような奴だから弄ってやるのが楽しいんだよな~……。そういや、なんで俺コイツのことばっか弄ってたんだ?高校に入っても新しい弄り相手を見つけられずに退屈に感じて……は、いやいや!そんな訳ねーし!!俺がコイツのこと?いやいや、ねーし!そりゃあ、和田はスタイルいいけど俺好みは、もっとこう……もっとこう……
「……その、村田くん……?そっち向きましたよ?」
「ん?あ、あぁ……ってお前!!なに目瞑ってんだよ!」
「……だって、どうせ村田くんのことだからタオル本当は巻いてくれていないんでしょう……?」
バレてたーーー!!!!
「は、は、は、は?そんな訳ねーし?」
「だって、村田くん小学生のときからそういうことばかりしていたじゃないですか。騙して虫を触らせたり……」
「あー、あったなー。そんなことー。けど、俺もう高1だぜ?そんなガキみたいなことしねーに決まってんだろ?」
やばい、早く早くタオルつけねーと……ってタオル向こう(更衣室)じゃねーか!!ガキ認定されちまうじゃねーか、このままじゃ……
「そ、そうですよね……?それじゃあ、目開けますね?」
「あ~~、お、おう!目開けろ!」
もう、こうするしかねー……!
「……あ、本当に隠してくれていたんですね……手で、ですが……」
「し、仕方ねーだろ!タオルは更衣室にあんだからよ……あと、お前もお前で、俺の見た目でそんな女みてーなタオルの隠し方すんなよ!堂々と乳〇くれー晒せ!それか、ち〇こも堂々と晒せ晒せー!」
「は、は!?イヤに決まってるじゃないですか!?私は女です!!女なんですからこの隠し方をしてもいいじゃないですか!」
「へぇ~、女、ねぇ~~、どこの国に、女なのに立派なモンぶら下げてる奴いんだよ?」
「……!?わ、私は女です!この体は男の貴方のもの!私とは関係がありません!」
「……んじゃ、お前そんなにも自分のこと『女』って言うんなら、これからも女子トイレや女子風呂に入んのか?」
「そ、それは……『和田ましろ』と認められたとしても、体の性で生きないといけない場は体の性で。それが、ルールです……」
「んじゃ、今のお前やっぱり男に変わりないじゃん」
「そ、それでも!隠す隠さない、は……!そもそも、この付いているモノなんて認めたくないです!」
「じゃあさ、和田はトイレとか、家で風呂に入ったり、着替えるときどうすんだよ?入れ替わった奴が、元に戻れることって少ないんだろ~?」
「うっ……」
ん~~、楽しい!俺はバカだからテストも悪いし、授業もダメだが、こういうのだけは和田や頭いい奴らにも勝てるんだよな~!
「……分かりました。それなら、こうすれば良いのですね?」
「ん……は?え?」
わ、和田の奴、堂々とタオルをどけやがった!?顔は赤くしてるが……んだよ、度胸あんじゃねーか……
「へ~、やるじゃねーかよ。じゃ、俺も手どかしてお前に見せつけてもいいよな?」
「は、はい……もう気は済みましたか?それでは野田先生を待たせていると思いますので、着替えに行きましょう」
「そ、そうだな……」
なんだよ、逆にこんなにも堂々とされると面白くねーじゃねーかよ……
 ガラガラ!
……全くタオルで隠そうとしなくなったな、コイツ。
「お、おい。和田。俺の服入口近くにあっから、さっさと着替えろよ……えーっと、野田の奴のはどこだったか?」
「そこに落ちているタオルの近くでは?」
「ん、あー、そうだな!サンキュ、和田!」
「は、はい……」
んじゃ、さっさと拭いて野田の服着るか……コイツの服やっぱジャージかよ。それにメガネもかけないといけねーし。はぁー……肉だらけだし、毛も多いし、なんで俺がこんな奴になんねーといけねーんだよ……もし今日俺がここに来てなかったら和田とコイツのふたりで入れ替わってた可能性もあったんだよな?それなら、俺がコイツになって良かった、のか……?いやいやいや!そうじゃねーだろ!そもそも俺と和田は中学卒業から今日まで会うことなんてなかったし、そもそも。そもそも!和田の奴が誰になろうと俺には関係ないだろーが!
「お、おい和田、俺は着替え終わったけど、お前も着替えられ……って、なんで髪ばっか拭いてんだよ?」
「え?」
「『え?』じゃなくてよ……体も吹かねーといけないだろ……」
「そ、そうですけど……その……」
「はぁー……ほら、タオル貸せ。俺が拭いてやるから」
「え、い、いいです!?自分で出来ます、自分で……」
……そう言ったのはいいが、コイツまた止まってんぞ。
「いいから貸せ!野田のこと待たせてんだしよ」
「え、あ、ちょ!?」
なんで俺は野田の体で、和田が入った俺の体を拭いてんだ……?乳〇に当たると、変な声出しやがるし……俺ってそんな〇首が弱かったのか……?それとも、和田が弱いだけか……?
「ほら、後ろ向け。背中拭くから」
「は、はい……あ、あまりジロジロ見ないでくださいよ!?お、お、おし、り、とか……」
「み、見る訳ねーだろ!?男のケツなんて!そもそも、それ俺の体だしよー……!」
「え、あ、そ、そうですね……ごめんなさい」
「……なぁ、そういやお前どこの学校通ってんだよ?」
「えっと、藍高(あいこう)です」
「藍高って言うと……お嬢様学校じゃねーかよ!さすが金持ちで頭いいだけはあるよな~……ん?って、女子校だけどお前これからどうすんだよ?」
「どうする、とはどういうことですか?」
「だーかーら、お前はこれから俺の体!どうすんだよ?俺の体でも、女子校通えんのかって話だよ!トイレとか風呂とかはいくら中身が違うくても、体で、なんだろ?」
「確かに……そうですね。学校はどうなのか、銭湯のおじさんに聞いてみるしかなさそうですね」
「そだな」
「ところで、村田くんはどこの学校に?」
「共学の川野(かわの)」
「川野高校なんですね!」
「そ、お前とは大違いの学校。……ん、背中もケツも拭き終わったから、最後下半身いくぞ。またこっち向け」
「は、はい……!」
……マジで俺はなんで自分のち〇こを目の前に見ながら拭かないといけないんだ。いつもなら上から『自分の』を見てるけど、いつもとは違う視点で……
「なぁ、拭いてんのに変にクネクネすんな!拭きづれーだろーが!」
「そ、そんなこと言われましても……」
「今日はやってやれるけど、これからはお前ひとりで拭かねーといけないんだからな?」
「『これから』……分かりました!村田くん、タオル返してください。私ひとりで残りは拭いてみせます!」
「お!度胸あんじゃねーか。今の和田いい顔してるぜ?って、俺の顔だから当然か!」
「……」
なんかツッコミとかねーのかよ!なにも言われなかったら恥ずいじゃねーか!まぁ、俺がかっこいいってのは本当のことだけどな?
「……ほらよ」
「ありがとう、ございます」
和田の奴、深呼吸をしたら普通に吹き始めやがった……足だけを
「足だけ拭いてても意味ねーぞ?」
「わ、分かっています!今はとりあえず足を優先して拭いているんです!!」
「そ、そうか」
「……うっすらと、ですが足に毛生えたんですね」
「そりゃそうに決まってんだろ?俺ももう高1でもうすぐしたら16才。高2にもなるんだぜ?中学とかはなかったけどよ……って、どこ見てんだよ変態!!」
「へ、変態なんかじゃありません!拭かないといけないので仕方なく見ていたら目についたんです……!」
「……それでもわざわざ口に出して言わなくてもいいだろが……」
「ココにも、毛が……」
「だから、そんなにフシギそーに見なくていいだろーが!そこの毛くらいお前にも生えてるだろ!」
「わ、わざわざ言わなくてもいいじゃないですか!?」
「はっ!その言葉そっくりそのまま、さっきのお前に返してやんぜ」
「うっ……そ、『そっくりそのまま』と言いましたね?あなた、私に敬語で話してくれるんですね?」
「うげっ……そ、それは……じゃ、じゃあお前だってそんなにもち〇毛見れるなら、男の裸くらいヨユーじゃねーかよ!?本当は男の裸見慣れてたけど可愛い子アピールで恥ずかしがってたのかよ?」
「は、はぁ!?そんなことありません!頑張って慣れないと思い、それで……」
「……わりぃ」
「わ、私の方こそ……」
「……あー、ほら早く拭けよ!俺の体で風邪ひいたりすんなよ……」
「…………すごく、変に、動くんですね」
「~~~~!!もういい!貸せ!俺が拭いてやる!俺の目の前で俺の体見ながら変なこと言うな!キモイだろーが!」
「あ、ちょ……村田、くん……ごめんなさい」
 どうにか拭き終わったな、和田のこと……
「えっと、どの服を着ればよいのですか……?」
「あー、これが、上で、こっちが、下」
「こちらのは……?」
「着替え前のだよ」
「まずは、この下着を履けばいいのですね……?」
「あぁ、上からでも下からでいいけど……まぁ、そうだ」
和田の奴、次は俺の下着をフシギそーに……
「いちいちフシギそーに、見るな!さっさと履け!ち〇こ丸出し女!」
「は!?私のモノじゃありません!そんな言い方やめてくだ……顔なんで赤くしてるんですか……?」
「赤くなんてしてねーし。こんなオッサンの顔で」
マジで……?俺なんで顔赤くしてんだよ?……俺の中に和田が入って、和田が俺のち〇こや毛や下着をフシギそーに、見てるからか……?いや、そんなの俺ド変態じゃねーか!新手の露出犯みたいじゃねーかよ……
「履きましたよ……?下着もズボンも。後は上ですね……」
「さっさと着ろよ……」
「は、はい!……?これはなんですか?」
やべー、A〇カバンから落ちた……!
「そ、それは、なんでもねー!見るな見るな!!」
やばい、完全に見られた……!
「む、村田くんはやっぱりこういうの、観るんですね……」
「……そりゃあ、男だからよ……仕方ねーだろ?……って、お前ズボン……!」
「え?……きゃっ!な、なんで……!?」
最悪だ、俺の体正直すぎんだろ!和田が入ってても〇つとかよー……!
「こ、これが、そういうこと、ですよね?」
「あ、あぁ。俺だって男だからよ?」
「さっきも聞きました……」
「う、上服とりあえず着ろよ!」
「……は、はい。……なんだか、男の人の服って楽ですね」
「そうなのか?俺は女の服着たことねーから分からねーけどよ」
「これで、大丈夫ですか?」
「ん……あ、あぁ。ちゃんといけてるよ」
「それなら良かったです……あの、鏡、見てもいいですか?」
「別にいいけどよ。身だしなみ整えるのは大事だしよ」
「ありがとうございます」
俺は……別にいいか。今の俺はこんなオッサンだし
「……今の村田くん見てると見たこともないオジサンで変な感じでしたけど、改めて鏡で村田くんの顔を見ると、村田くんの話し方と一致して変な違和感、なくなりました……!」
「そ、そんなことのためかよ!」
「はい!」
「……仕方ねーだろ。俺だってなりたくてオッサンになった訳じゃねーし……」
「それに、いくら毛が生えてエッチなもの観て髪も染めていても、まだまだあの頃と変わらず喧嘩の傷があったり、幼さの残っている顔ですけど。……ちょっとは成長してお兄さんにもなっていますけど」
「な……!きゅ、急に褒めんな!さ、さっさと野田と合流すんぞ……!アレも落ち着いたみたいだし……」
「……は、はい!」
 「遅かったな、ふたりとも」
「わりぃ、野田、せんせー。コイツの着替えに戸惑って」
「ごめんなさい!」
「いやまぁ、和田さんは急に男子の体になった訳だし、仕方のないことだ」
「あ、ありがとうございます……ところで、銭湯のおじさんに入れ替わったことを伝えて申請や、私の、あ!野田先生の下着を……」
「それもそうですね。それじゃ、行きますか」
「お、おじさーん?」
「ん?3人揃ってどうしました?『例のあれ』起っちゃいました?」
「そうです。私は高校教師の野田。この男です。この男の中身が私の生徒の村田。この男子です。この男子の中身が和田さん。私が入っている女性です」
「3人での入れ替わり、ね。分かりましたよ、それじゃ、こちらの書類に……」
 「これでいけんだよな、おじさん?」
「はいよ。これで3人分。それじゃこれから申請するからね。明日の朝早くまでには学校や周りの人たちに出来てるからそれぞれの家や携帯に電話して連絡しますね。まずは皆さんの家族に連絡いれるからそれが終わったら教えますので」
「はい、お願いします!……あと、私になった野田先生が、下着を……」
「あー、分かりましたよ、それ専用の部屋こっちにあるから。よくいるからね、男性で女性になったお客さんのためにね。じゃ、おふたりさんはそっちへ」
「は、はい」
和田と野田は揃って専用部屋とかいう場所に入っていった。……俺が和田の下着をつけてやる、ってことだよな……マジで変な感じだ。ちょっと待てよ。まさか和田の奴、自分で自分の下着を見て、俺のち〇こを……いや、さすがにそれはねーだろ……普段和田がつけてる下着を自分で見て他人の体で〇たせるって……いや、アイツさっきA〇のパケで〇たせてたよな……いやいや、大丈夫だろ……
「お、おい!わ、和田……!お前また、〇ってねーよな……?」
「え……あ、それは……」
和田の下へやった目線を追いかけると、和田は俺のち〇こをまた〇たせていた……
「えっと、なんでか私の、下着を見ていましたら……また、こうなってしまいまして」
「……今度、ソレのこと色々教えてやるよ」
「へ、え、い、いいですよ、別に……!」
「いいって、お前なー……これからお前は男として生きてくんんだから知っとけよ」
「セ、セクハラ……」
「セクハラじゃねーだろ!?それ、俺の体だしよ!?」
「えーっと、村田に、和田さん……?あまり若い男女の話に首を突っ込むのはやめておきたいが……これから私は和田さんの体で下着をどうすれば……?」
「あ、確かに。そうだよな……野田おま……野田せんせー、独身だし和田ン家に泊めてもらえばいいんじゃね?」
「え、え、え!?ま、まぁ、そうしてもらった方が、これからの分の下着や服を渡せますし……ゆっくりと教えることも出来ますし……」
「た、確かに。そうしていただけた方がありがたいですが、こんなオジサンが若い女性と……」
「いや、若い男女だろ、お前ら」
「ふふふっ、で村田くんがオジサンですものね」
「うっせ!!」
「はい、3人様、家族の皆様に連絡入れ終わりましたよ」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます!」
「ありがとう、ございます」
「それじゃ、行きますか、野田先生……?」
「そ、そうですね……!やはり、村田に敬語を使われると調子が狂うな」
「悪かったデスネ、敬語使うことがデキマセンデシテ!」
「ふふふふっ、慣れない言葉遣いになっていますよ!」
「うっせ……んじゃ、俺もう帰るわ。……あと、せんせー、和田になんかしたらタダじゃおかねーからな!」
「す、する訳ないだろ!ひとりの教師がセクハラのようなことを!」
「若い女とひとつ屋根の下で一夜共にする癖してな~」
「そ、その言い方はやめろ!むしろ、村田と一夜共にする感覚だがな!お前の体の性欲に和田さんが巻き込まれないか心配だ!」
「……!?し、しませんからね!いくら村田くんの体になっていてもそんなこと!!村田くんになってから、エッチなものや私の下着を見ただけで体がおかしくなりましたけ……あっ……!」
「…………えーっと……」
「~~~!!……チっ、俺もう帰るからな!お前らも早く帰れよ!じゃな!」
「お、おう。また明日学校でな……ち、遅刻したりサボるなよー!」
あぁ~!クソ!なんでこんな変なことに巻き込まれたんだよ……!今日はせっかく借りたコレも見る気起きねーし……帰ったらさっさと寝るか……あ~、クソ!
 あれから、年度が変わって4月。俺は2年に進級することができた。入れ替わりが起きた次の日は学校に行くと、野田になったことでクラスの奴らから弄られたりした。今思い出しても腹がたってきやがる!俺だってこんな奴になりたくてなったんじゃねーぞ!クソが!……で、野田の奴は和田の体になったことで男連中から大人気の存在になった。同年代の女子がべんきょー教えてくれるってなったらそうだよな……あー、あと俺のクラスの担任はまた野田の奴。けど野田がまた担任だけど和田の見た目と声だから……ちょっとはマシかもな、むしろほんとの地獄は『俺自身』だし。鏡とか写真とかマッジでつれー……またあの銭湯に行けば、他の体と入れ替わったりできんのか?行ってみるか?この体とオサラバするためにも……
「よっ!今日は朝早いじゃねーかよ!のれん!」
「のれん、今日も体と服装のギャップがすごいですな~」
「『のれん』って呼ぶな!!俺は村田蓮だ!あと、俺は16の高校生だ!」
「わりぃわりぃ!『野田蓮』略して『のれん』だもんな~」
「んでもって、36歳のオッサンの体!」
「お前ら今度あの銭湯に連れて行くぞ!」
「いや~、それは勘弁だわ!今までは女の子と入れ替われるかも~って思ってたけど、お前見たら、な……」
「そう、だな……」
「哀れそうな目で俺を見るな……!」
「ごめんごめん!あ~、そいや知ってか?今日転校生来るみたいだぞ?」
「あ~?転校生来んのかよ……で、女か男か?」
「女の子っていう情報は手に入れた」
「マジかよマジかよ!」
「……女子高校生に食いつくオジサンの図……んー、キモイ!」
「おっし、お前の遺言それでいいか?」
「あ~、わりぃ!マジで悪かった!!そうだよな!健全な男子高校生、彼女がいなければ、女の子が気になっちゃうよな!」
「チっ……なんか腹たつ言い方だな……」
「で、その子の見た目とかは?」
「んー、それは……知らね!」
「来てからのお楽しみ、だろ!」
女……俺の学校は共学とは言え、男のほうが多い学校ってこともあって『女子』ってだけでテンションが上がる奴は多い。……俺も、そのひとりなんだけどな。
キーンコーンカーンコーン……
「チャイム鳴ったから、そろそろじゃね!?」
「おーし、みんなー、席に着けー」
「お、野田ちゃん今日もかわいいよー!」
「うるさいぞー、そこ!……じゃあ、今日はみんなに大事なお知らせがある。転校生だ!」
「お、転校生ちゃんの発表だな、蓮!もしかしたら、席的にお前の隣に来てくれるんじゃね!?」
「だよな!やっぱそうだよな!」
「おーっし、入ってきてくれ」
ガラガラッ!
「……え!」
「あれって、そうだよな!」
「おいおい、マジかよ、蓮!?」
「お、俺に聞くな……!」
……は?なんでだよ……なんで……
「和田ましろ、と申します。これからよろしくお願いします」
「えーっ、みんなも知っての通り、和田ましろさんは、この体の、先生の体の女性であり、和田さんの体は村田の体だ。ややこしいことになっているが、そうなんだ……」
「蓮の本体が転校生かよ……」
「『本体』って言い方なんだよ……あと女の子じゃねぇじゃねーか!」
「いや、中身は女の子だろうが!」
「そう、だけどよ……」
「おーっし、それじゃ、和田さ……和田は、村田の隣の席に座ってくれるか?」
「はい!」
「…………よろしく、和田」
「はい、よろしくお願いします!村田くん!」
「……お前、女子校あの後数か月も通ってやめさせられたのかよ?」
「いえ、やめさせられたのではなく、私から……」
「は!?お前からやめて、こんな底辺に来たのかよ!?」
「底辺なんて言うなよ、惨めになるだろ、蓮~?あ、和田さんよろしくな!俺コイツの……」
「で、お前なんで自分からやめたんだよ?」
「ちょっと、俺の自己紹介させて~!?」
「……学校側は認めてくださったのですが、男性の体であることに違いはありません。なので、私自身居たくても居づらくなり……それに、村田くんの体で女子校の制服というのが、その……そこもしんどくて……」
「うわー……それはキッツいな」
……あぁ、俺も想像するとキッツい……
「って、人の女装勝手に想像すんな!」
「ははは、悪い」
「お前、さっきからなぁ……」
「ふふふっ、おふたりはすごく仲が良いのですね」
「お!そうだろそうだろ!……けど、1年のあの日が来るまで一緒にバカしてた相手の蓮の見た目と声で敬語……なんか違和感~~!」
「……敬語やめたほうがよいのでしょうか?……あ、やめたほうがいいのか、だぜ……?」
「慣れないんなら、逆に敬語のままでいいわ……な、蓮!」
「なんで俺に……ま、そうだな。いくら見た目と声は俺でも中身は和田なんだし……けど敬語を話す俺はやっぱキモイ」
「それに、蓮の筈なのに、見た目も変わってるしな。髪黒いし、ワックスでセットしてないし学ランのボタンちゃんと閉めてるし、腕まくりもピアスもしてない。私服も下に着こんでない……The 真面目くん!……いや真面目ちゃん?」
「……してみましょうかね?せっかく村田くんの体なんですし……教えてくれます?村田くん?」
「は?なんで俺が……?」
「別にいいだろ~『元お前の体』なんだしよ?……つ・い・で・に、ましろちゃんにお前の感じやすいとことか男の性処理の方法とか教えてやれよ!」
「は、は!?バカ!そんなの誰がわざわざ教えるかよ!」
「おい!村田、うるさいぞ!」
「それは、コイツが……」
「蓮ドンマイ!」
「お前やっぱ後で覚えとけよ……」
「ふふふふっ……」
「あー、やっぱ口押さえてお行儀よ~く笑う蓮、違和感~。中身ちげ~けど……」
「まぁ……とりあえずだな和田、学ランのボタン開けろ、んで腕まくりしろ……髪とかそーゆーのはまた教えるからよ……」
「はい、分かりました!これからよろしくお願いしますね、村田くん!」

[その後の野田幸樹(和田ましろの身体)さんへのインタビュー]
Q1.異性の体になられてどうでしたか?
「セ、セクハラなどと言われかねませんので、ノーコメントで……!」
Q2.和田さんの体になられて変わったことは?
「やはり、男子の反応や授業へ取り組む姿勢ですかで、和田になってからどうも……中身はオッサンだというのに……」
Q3.もしも和田さんではなく、村田くんの体になられていたら?
「和田ではなく村田……?まぁ、村田でしたら同じ男なので下着や体に戸惑うこともなく過ごせたんじゃないですかね?」
[その後の和田ましろ(村田蓮の身体)さんへのインタビュー]
Q1.異性の体になられてどうでしたか?
「え、えっと……男性の体は分からないことだらけでしたのでお父さんや、村田くんに聞いたりしました。ですけど、私自身も聞くのが恥ずかしい質問はおふたりとも話してくださらなかったので、インターネットで調べて真似をしてみたのですが、合っているのか分からなくて……色々不思議なことが多いです、この体になってから女子や元の私の体を見ると……そう、なってしまって……あ、あとは髪を洗ったり乾かすのが楽だな、って思いました!そ、それと村田くんの体になってからよく知らない男性の方たちから睨まれたりするんですが、村田くんは『あいつらのことは気にするな』と言ってくださっていて……男性の世界は怖いのだな、って思いました……」
Q2.村田くんの教育(?)結果で今の見た目に?
「は、はい!村田くんに男性のセットの仕方や学ランの着こなしを教えてもらって、後はピアスをつけてみて、髪色も元々の村田くんのしていた色の茶髪から黒色に戻したのですが……金髪にしてみたくて……村田くんそれを聞いたら『和田~!お前結構オシャレさんなんだな~!』って笑顔で言ってくれましたね、その結果学校側から注意を受けたり家族からも怒られましたけど……それも青春、ということで!他には帰りに村田くんと村田くんのご友人数人とファミレスに寄らせてもらったときに他校の男子生徒の方が制服のズボンの裾を上げていてかっこよかったので、それを真似してみたり……最近は村田くんから男子っぽい話し方や立ってするおトイレを教えてもらっていますけど、そっちはあまり馴染めなくて……『よっ!』と『だりぃ~』くらいで、お、お、お……『おれ』というのは口に出すのが恥ずかしくて、立ってするのも、無理です!あんなこと!!金髪や頑張った見た目とのギャップが……せっかくなので村田くんや村田くんのご友人たちのような話し方や、男性の体だから出来ることをしてみたいのですが……」
Q3.もしも村田くんではなく、野田さんの体になられていたら?
「結局男どちらでも男性のまま……けどそうなってしまうと私、本当にどうすれば良いのか分からなかったかもしれませんね。見ず知らずの野田先生の体で、どこかで見たことのある男子に入った野田先生に話しかけられて、はなし、かけら、れて……!って、そ、そうなると!私の中に入るの村田くんじゃないですか!!絶対にそれはイヤです!見ず知らずの男性の体になるのも、私の中に村田くんが入るのも!……今も、充分イヤですけど、村田くんになれてる分まだ、マシ、かな……って」
[その後の村田蓮(野田幸樹の身体)くんへのインタビュー]
Q1.同性の体のままでしたがどうでしたか?
「どうしたもクソもねぇよ!なんで俺がオッサンなんだよ!まだ年の近い奴とか女の子からモテモテのイケメンになれる、とかなら良かったけどよ!なんで、野田、せんせーとかいうオッサンなんだよ!この毛だらけプヨプヨ体!」
Q2.元の自分の体に和田さんが入られた気持ちは?
「は!?なんでンなこと言わなきゃなんねーんだよ!?……そんなの、そんなの……キモイ。キモイよ!俺の体で敬語使ったり、すぐに照れたり……アイツに、俺の、男の『そーゆー』の知られたりすんのも……キモイしよ、アイツが、頑張って、俺に、男に近づこうとしてくれんの……も…………う……嬉し、いし、よ……わ、忘れろ!キモイ、キモイんだからな!」
Q3.もしも野田さんではなく、和田さんの体になられていたら?
「は、は、は!?お前なに2連続で変なこと聞いてきてんだよ!バカかよ!は!?俺が和田の体になっても、変なこととかしねーし考えねーし!む、むしろ男のアレ弄れねーし、立ってすんのも出来ねーし困ることだらけだから、いらねーし!それに……ンなこと堂々と答えられっかよ!考えて質問、しろよな……?」

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