『〇〇県▢▢市替々の湯での記録』前編

まえがき
初めましての方は初めまして。いつもお世話になっている方々は今回も読みにきてくださりありがとうございます。去年からTwitter活動やPixiv活動を始めたルーキー(?)のびんです。これから、そしてこれからもよろしくお願いします。本企画に参加申請をしましたのはかなり早い段階でしたが、投稿が遅れてしまいました。企画者様待っていただきありがとうございます。前編といった形での投稿になってしまいます。続きはお待ちください。そして、舞台は同じでも出てくる人間は違いますので「あ、これ地雷だ」や「あんまりこの展開好きじゃないなー」「この展開大好き!」「いいねこの展開」となった入れ替わり回からぜひお入りください。
作品の簡単な説明としましては、私自身、同性入れ替わりや集団入れ替わりが好きな人間ということもありまして、本作品ではそのような要素があります。同性や集団以外の異性入れ替わりもあります。そして、入れ替わってしまった人たちへの簡単なその後についての質問形式のインタビューといったオマケもございます。……これ以上書くとネタの新鮮さが無くなりまえがきが長くなりそうなのでこれくらいにしておきます!!ぜひ私の作品楽しんでいってください!

「替々の湯」について
一.政府公認の銭湯です。
二.上記のため、どんな異変がありましても当銭湯は一切の責任を負いません。
三.「替々の湯」にて異変がありましたら、必ず銭湯スタッフに連絡してください。
四.異変は必ず起こる訳ではありませんので気軽な気持ちでお入りください。
五.異変は湯に浸からずとも起きてしまうかもしれません。

[20XX年3月16日 菊池秀(18),中村壮馬(11)]
 俺、菊池 秀(きくち しゅう)は来月から大学入学。ってことで、1週間ほど前からひとり暮らしを始めた訳だが、生まれ育った東京から離れた場所ということもあって全く場所や地形を知らない。だから、俺はとりあえずランニングをしながら3日前から少しずつ覚えていっている。体も動かせて道も覚えられて一石二鳥ってやつだ。そしたら、今日買い物帰りにいつもと違う道をスマホのマップ機能とにらめっこをしていると「替々の湯」なんていう変わった名前の銭湯を見つけた。銭湯なんて中学の時に野球の練習帰りにチームの友だちと入ったくらいだ。早速、夕方のランニング帰りに汗を流すついでに寄っていくことにした。
 ランニングを終えると俺は目当ての銭湯に入った。すると、番台のおじさんの近くの大きな張り紙が気になった。

「替々の湯」について
一.政府公認の銭湯です。
二.上記のため、どんな異変がありましても当銭湯は一切の責任を負いません。
三.「替々の湯」にて異変がありましたら、必ず銭湯スタッフに連絡してください。
四.異変は必ず起こる訳ではありませんので気軽な気持ちでお入りください。
五.異変は湯に浸からずとも起きてしまうかもしれません。

な、なんだ、これは?名前だけじゃなくてやばい場所なのか…?
「……これ気になる?」
……やばい。俺が戸惑っている間に番台のおじさんに話しかけられてしまった。
「え、あ、まぁ……はい。」
「ははははっ。大丈夫大丈夫。ここに書いてある通り『必ず起こる訳』じゃないし、政府からも認められてるからね。……まぁ、色々『異変』が起きてから文句を言ってくる人たちも……」
おじさんはぶつぶつと小声になっていき何を言っているか分からなくなった。
「あ、そうだそうだ。ごめんね、お兄ちゃん。で、兄ちゃんどうすんの?入るの?やめとくの?へへへへっ。」
逃げるチャンスは今だけだが、政府にも認められているし『必ず』という訳ではなさそうだし……。何かあったとしても、地元の奴らへの笑い話とかにも出来るかもしれない。……ここは入ることにするか。
「入ります。」
「兄ちゃんいいね。」
俺は金をおじさんに渡すと、男湯の中へ入っていった。
 服を脱ぎ、浴室へ入ると、中には小学校高学年くらいの男の子が髪を洗っていた。俺はさすがに同性の子ども相手だとしても今の時代、保護者や男の子の通う小学校からどんな因縁をつけられるか分からないからなるべく男の子から離れた入口付近の場所でシャワーを使い始めた。髪を洗う前に男の子をチラっと見ると髪を洗い終わったのか体を洗っていた。すると、男の子は俺の視線に気づいたのか俺の方を見てきた。俺はすぐに目を逸らし、髪を洗い始めた。
(やっべー。気まずすぎんだろ……。やばい奴に思われてねーよな?)
俺がそんなことを考えていると、急に頭がクラっとし、目の前が真っ暗になった。
 目の前が明るくなると、俺は驚いた。髪を洗っていた筈だが、俺は体を洗っていた。下を見ると「毛」がなくなっていた。
「は、は?俺剃った覚えなんてないんだが……?そ、それに、なんだ、この声……?いつもと違う……?」
俺がそんなことを考えながら鏡を見ると、髪がいつもの俺より少し長く色白の顔立ちがどこか可愛らしい少年の顔が見えた。その顔はさっき見た男の子の顔にソックリであった。すると、入口付近から男の声が聴こえてきた。
「うお!?なんで俺また髪やっとんねん!!それになんか髪いつもとちゃうぞ!!」
変なことを言っているな、と思いながら入口付近へ目をやると、そこには髪がすごく短く色黒で筋肉質な男……『俺』がいた。『俺』はシャンプーの泡を急いで落としていた。すると、『俺』はすぐに鏡に目をやると顔をペタペタと触り、口を大きく開けた後、目線を下にやると、腹筋の上をなぞっていくと、ちょうど股間周辺にいく前に腕を浮かし、顔を赤くした。
「……はっ?ジャ、ジャングルやんけ!な、なんでや!!それに、この筋肉も……す、すげー……大人や。大人やんけ!」
『俺』はガッツポーズをしながら勢いよく立ち上がった。
「お、おい……え、えっと、そこの……」
と俺が『俺』に声をかけると、『俺』が俺のほうを見て、叫んだ。
「えーーーーーー!!!俺おるやんけ!!!!……は!そっか!『あれ』でか!『あれ』で俺ら……えっと、アンタ、この身体の兄ちゃんやんな?」
俺はそう聞かれると声がうまく出ずに首を縦に振ることしかできなかった。
「そうやんなそうやんな!えっと、あんま飲みこめてへんってことはやっぱ兄ちゃんこの辺の奴ちゃうな!俺は中村 壮馬(なかむら そうま)!小学校5年……あー、もうちょいで6年や!」
俺の目の前には「中村壮馬」と名乗り、方言で話す『俺』がいる。
「兄ちゃんは?」
「……は?え?は?」
「名前や!名前!小学生の俺でも名乗れんのに年上の兄ちゃんは無理なんか!ま、今は俺が見た目だけやと年上やけどな!ち〇毛もジャングルやしな!」
『俺』……中村くんは腰に手をあてて自慢をするかのようなポーズをしている。いや、まぁ確かに小学高学年くらいの年齢だとち〇この毛については一喜一憂があるのも恥ずかしさや誇らしさや憧れがあるのも分かるが……。俺の見た目や声でされると恥ずかしすぎる……いや、かなり無理だ。直視できない。俺はち〇この毛が小6くらいで生えてきたこともあり修学旅行や合宿で注目されたり揶揄われることもありイヤだったが、この子は生えていないことや俺の身体になり喜んでいるということは、憧れを持っているタイプの男の子なのだろう。
「……ご、ごめんごめん。はははっ、頭がついていっていなくて……あー、俺は菊池秀。18歳で来月から大学生だ。」
「へぇ~、兄ちゃん大学生なんやな~!ってことは俺来月から大学生……って訳にはいかないもんな~……はぁ……。」
なにか中村くんは言い方的にこの銭湯について詳しいのだろうか?
「な、なぁ!中村くん?君、この銭湯について詳しかったりするのか?」
「ん?あ、そっか。兄ちゃんはこの辺の奴ちゃうんか!この銭湯はな、『入れ替わり』が起きるって異変ってか伝説があるんや。やけどな、政府の……なんか、こう、偉い力?ってやつで認められてるしちゃんとサポートもあるし違和感なく受け入れられるんや。入れ替わった俺らからしたら体が違うから違和感だらけやねんけどな!んで、政府やここのおっちゃんの力でちゃんと元の体のまま生活できんねん!やから、俺は兄ちゃんの身体になったけど小6の生活できるし、兄ちゃんは俺の身体で大学生の生活ができる!」
「は……は?」
俺は中村くんから説明をされたが、頭にうまく入ってこなかった。ど、どういうことだ?俺と中村くんはずっとこのままなのか?そもそも中村くんの言っていることは信じていいのか?小学生の冗談や噂とかではないのか……?いや、だが、番台の近くにあった張り紙やおじさんの話もあるから信じるしかないのか……?
「な、中村くん?で、俺ら元に戻ることはできるのか……?」
中村くんは俺の体でポーズを取りながら筋肉を楽しんでいた。
「んーー。まぁ、元に戻れることもあるみたいやし、入れ替わった状態でまた別の身体と入れ替わることもあるみたいやからな~。元に戻りたい奴からしたら元に戻れたらラッキーって感じやな~。兄ちゃん元に戻りたいん?」
「そうに決まってるだろ!18年生きてきた身体から別の身体なんて……」
「まままま!ええやんええやん!楽しもーや!兄ちゃん!とりあえず、風呂入り終わって着替えたらおっちゃんに伝えて手続きしてもらえれば、今まで通りの生活できるんやしさ~!」
俺は言い返したいことだらけだが、訳の分からないことだらけなのでとりあえずは、中村くんとおじさんを信じることにした。
 俺も中村くんも髪や体を洗い終わり、風呂にも浸かり浴室を出た。俺は『俺』の服を着そうになったが、
「今の兄ちゃんが、兄ちゃんの服着てもブカブカやし、俺が元の俺の服着ようとしても無理やろ。」
と言われ、今の状態を再確認した。俺は中村くんの服や下着を身に付けた。中村くんも俺の服や下着を身に付けた。
「兄ちゃん、やっぱ18やからち〇毛だけやなくて脇の毛も生えてんやな~。足とかはツルツルやけど。」
中村くんはタンクトップから俺の脇を覗き、不思議そうに見ていた。
「18だから生えてる奴は生えてるよ。足は処理してっけど……てか、中村くん普通に入れ替わったとかいうことを受け入れられてるのどうなってんだよ……」
「んーー、ま、この辺の奴らの間やと有名やったりするからな~。『この銭湯に来たら起こるかもな』くらいの気持ちで入ってるからな!まさか、なんも知らん兄ちゃんと入れ替わることなるとは思ってへんかったけどな!」
俺もだよ、俺もまさか年下の男の子と入れ替わることになるなんてランニングとかの時点では思ってなかったよ……。
「ま、兄ちゃんはもっかいツルツルスベスベな俺の体と、成長楽しんでや!ま、大学生なことに変わりはあらへんけどな!」
そう言いながら中村くんは俺の肩を叩いた。
「じゃ、俺も中村くんも着替え終わったしおじさんのとこに戻って伝えるか。」
「そやな~。」
俺と中村くんの2人は男湯を出ておじさんの場へ戻った。
「おっちゃ~ん!風呂出たで!今日もあんがとな!」
「ん?おぉ……?壮馬か!お前、そのお兄ちゃんと入れ替わったんか!」
「そやでそやで!遂に俺もち〇毛デビューや!!」
中村くんは嬉しそうに俺の顔と声で堂々とおじさんに報告した……。それくらいならまだ許せたのだが、中村くんはズボンとパンツをずらしておじさんに見せつけた。
「お、おい!!中村お前!!さすがにそれはやめろって!」
俺は中村くんのことを止めようとしたが小学生と『俺』の力では敵わずに止めたくても止めることができなかった。
「ははははっ。男のモノ見る趣味はおっちゃんにはないな~。ほれ、嬉しいのは分かったからしまっとけ壮馬。」
おじさんに言われると中村くんは元に戻した。
「っ……。な、なぁ、中村……くん、さすがに小学校とかでも俺の色んなとこ、見せつけるー、とかそういうのはやめてくれよ?頼むから。」
俺は不安そうに中村くんに頼んだ。
「なるべくしやんとくわ、兄ちゃん!!」
……不安すぎる。
「……ってことで、早速だけど、壮馬と兄ちゃんのことを政府の奴らやお前らの身近な奴らに伝えねーといけねー。壮馬は分かるからいいが、兄ちゃんの名前や住所、電話番号、家族の連絡先とか諸々をこの書類に書いてくれ。そしたら、すぐには無理だが数時間あれば申請が通るから。それまで一応、兄ちゃんは壮馬とここにいるか、壮馬の奴と壮馬の家にでもいとけ。申請が通り連絡も終われば俺から兄ちゃんと一応壮馬の家にも連絡するから。俺は壮馬の家族に先に連絡しとくから。」
おじさんはそう言うと、中村くんの家に電話を始めた。俺は言われた通りに書類を書き始めた。
 書き終わると、俺と中村くんは中村くんの家に向かった。俺は不安な気持ちを持ちながら胸がドキドキしていた。だが、中村くんのほうは背が伸びたことや家族が驚くかなどを考えながら楽しそうにしていた。中村くんの家に着くと、お父さんにお母さん、中村くん……今の俺の体よりも背が高いお兄ちゃんだと思える男の子が玄関に飛んできた。
「おかえり、壮馬。それに君が壮馬と入れ替わった菊池くんだね……?」
「壮くん、逞しいお兄さんと入れ替わったのね。」
「壮馬、俺より年上なったらどっちが兄ちゃんで弟か分からんやんけよ!」
みんな、思い思いの言葉を放った。俺は戸惑いながら中村家の面々を見ていた。
「洸太(こうた)、見てや!俺、脇とち〇こに毛生えたねんで!」
そう言いながらタンクトップから脇をあげて毛を見せた。
「マジかよ!俺もち〇この毛だけは最近生えたのに!」
「次中2の洸太よりボーボーやで!!」
「マジかよ!さすが18やな!」
中村くん……壮馬くんは洸太と言うお兄ちゃんと上の階へ走って行った。きっと見せたりするんだろう……。きっとそうだ。俺の裸は壮馬くんによって見せつけられまくるのか……きっと学校の子らにも見せるのだろう。俺はそんなことを考えていた。それから俺はお父さんとお母さんにもてなされながら時間を過ごし、一晩泊めさせてもらえることになった。次の日の朝6時ごろ俺のスマホと中村家へおじさんから連絡が来た。なので、壮馬くんはいつも通りランドセルを背負って俺の体で小学校へ向かった。……俺の目の前でランドセルを背負った『俺』を見るなんて変な感じであった。それから俺は中村家には朝なのでお母さんしかいなかったが、お母さんにお礼を言い、ひとり暮らしをしている俺の家へ戻った。お母さんは寂しそうな表情をしていた。11年育ててきた息子の顔がいなくなるのは哀しいのだろう……。俺が家に着くと母さんから電話が来て心配をされた。妹や親父、友だち数人からはLI〇Eやビデオ通話が来た。
 その後、4月に入り、大学の入学式の日になった。俺は中村壮馬くんの体で子ども用のスーツを身に付け入学式へ向かった。追い出されるのではないかと心配をしていたが、そのようなことはなかった。不思議がる人もいれば地元の人なのか不思議がらずにいる人も大学の中にはいた。世界には俺が知らない世界もあるのだな、と感じた。

[その後の菊池秀(中村壮馬の身体)くんへのインタビュー]
Q1.壮馬くんの身体になってから気になったことは?
「中村壮馬くんの身体になってから気になったこと……?あー、それは……この身体でもエッチな本とかを購入したりR18コーナーに入れるのか、ってことですね……いや恥ずかしいですけど、俺もやっぱ18の男なんでね(笑)あー、で、結果は、いけました。無理かと思ってたんですけどね。……政府やあのおじさんの力はどうなってるんだ、って怖くなりましたよ。」
Q2.入れ替わってからもしていることは?
「入れ替わってから中村くんの身体で筋トレなどは欠かさずしてますね。体動かすことは好きなんで!」
Q3.もしも入れ替わる人を決めれるなら?
「んー、やっぱ男の俺からしたら女の子を体験してみたいですけど、海外のスポーツ選手とか好きな野球選手と入れ替わってその人の身体で運動したり試合に出てみたいですね。」
Q4.言いたいことなんでも!
「変な話ですけど、トイレとかのときに処理した訳でもないのに毛がないの変な感じだから早く生えて欲しいのと声低くなって欲しいことですかね?東京帰ると友だちや先輩から弄られるんで(笑)」
[その後の中村壮馬(菊池秀の身体)くんへのインタビュー]
Q1.年上のお兄さんになって学校での反応は?
「トイレとかプールとか修学旅行とかサッカーの合宿で友だちやクラスの奴らから注目ばっかされるわ~。『壮馬ジャングルやん!』『俺の兄ちゃんよりデカい』『入れ替わったのはズルいやろ!』とか色々言われるわ~。女子からは『中村かっこいいお兄ちゃんやん』『腹筋見せて~』とかそんな感じや。元のときよりも注目されてちょい複雑やわ!(笑)」
Q2.家での反応は?
「父ちゃんと母ちゃんは気まずそうなときあるな、洸太は変わらず遊んでくれるけど俺と喧嘩なったら昔と違って俺が勝つこととかもあって年上と入れ替わろうとあの銭湯にずっと通ってるわ。ずっと変わらんまんまやけどな!(笑)」
Q3. もしも入れ替わる人を決めれるなら?
「この兄ちゃんの身体で満足してるけど、入れ替われるなら洸太かな?洸太にもこの兄ちゃんの身体を体験させたいわ!洸太は俺の兄貴やのに俺のが身長とか高いの変な感じやし、洸太が残念そうにしてるのイヤやからなー……このこと洸太に内緒やで!」
Q4.言いたいことなんでも!
「毛の処理父ちゃんに仕方教えてもらったからちゃーーんと足ツルツルやで!兄ちゃん!!」

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