兄の妻番外編(卓也編)

まえがき
兄の妻の卓也編です本編はPixivに有りますが
本編を読まなくても楽しめるようになっております

母   山口理恵(60才)

父   山口久夫(60才)

嫁   山口敦子(29才)

兄   山口昌(30才)

主人公 山口卓也(27才)

社長  中野紗理奈(29才)

秘書  富田涼香(25才)


今日僕は銀行の取引先に来ていた

「社長就任おめでとうございます、これからも宜しくお願い致します」

「ありがとう、こちらこそよろしく」

今度就任した社長は先代の娘、僕は前の社長に気にいられて訪問すればよく会ってくれていたが、今度の社長とはそれ程親しくはなかったが最近はなぜか僕が顔を見せると愛想よく対応してくれるようになった

この会社は明治の頃からの老舗企業で創業者が一代でこの地方一番の会社に育て上げたそうだ、他の企業が時代の波に乗れず消えていくなか、この会社だけは代々の社長が有能で順調に発展していった

暫らく雑談していると、社長はなにかを思い出し

「ちょっと失礼するわ、すぐ戻って来るから」

そう言って席をはずした

社長が席を外してすぐドアが開き、入って来た人を見て僕は立ち上がり挨拶をした

「会長、ご無沙汰しております」

それは今度社長を退き会長に就任した先代社長だった

「山口君私は父さんじゃなく紗理奈なの」

会長は女言葉で話し出した

「え、何を仰っているか分かりませんが?」

「私は体を入れ替えられて父さんになってしまったのよ」

「・・・・」

「この会社が成功してるのは、代々の社長が優秀だったじゃなくて、創業者のご先祖様がずっと体を入れ替え続けて会社を運営してきたからだったのよ」

「そんな・・・」

僕は会長の言ってる事が信じられず戸惑っていると、ドアが開き社長が戻って来て会長に言った

「あら父さんここに居たの、富田さんが探していたわよ」

「私のふりをするのはやめて父さん、身体を返して」

「記憶がすっかり戻ったみたいね、紗理奈は私の血を強く受け継いだみたいだ」

「失礼します」

そう言って秘書の制服を着た綺麗な女性が部屋に入って来た

「会長こちらにいらしていたんですか、探しましたよ」

この女性は秘書の富田涼香さんだ、前の秘書室長の娘さんで今年三年目、入社一年目は合コンなど遊びに夢中で評判は良くなかった、でも去年室長が定年で退職した後秘書室に異動したら人が変わった様に仕事熱心になり、今では最も社長の信頼が厚い秘書だ

「あ、富田さん助けて私が本当の紗理奈なの、父さんに体を入れ替えられてしまったのよ」

会長がそう言うと

「存じ上げております、お嬢様」

富田さんは表情も変えずそう言った

「え、どういう事・・・」

富田さんの言葉に会長は驚いてそう呟いた

「ふふ、紗理奈、富田さんも私と同じで娘と入れ替わっているんだよ」

社長の言葉に会長は驚いた顔で言った

「そんなじゃあ、富田さんの中身は前の室長なの・・・」

「ええそうです、体は娘に変わりましたがこれからも会社の為に尽くす所存です」

富田さんは会長にそう言った

「酷いわ、涼香さんの事はあんなに可愛がっていたじゃない、それなのに・・・・」

「ええ、可愛い娘と一心同体になれて幸せです」

富田さんはニッコリ微笑んでそう言った

「そういう訳だ紗理奈、私だけではなく富田も代々入れ替わって会社の発展の為に尽くしてきたんだ」

「そんなのおかしいわ、狂ってる」

「仕方がないんだよ紗理奈、会社の経営とはそういうものだ」

そう言った後社長はなにかを呟きはじめた

「うっ・・・」

会長は一言呻くと呆けたような顔になり言った

「うん、私はどうしたんだ、会長室に居たと思ったんだがいつのまにここに来たんだ」

「いやね、父さんも山口君の顔を見たいと言ってさっき来たんじゃないの」

「おお、そうだったな、じゃそろそろ部屋に戻るか山口君はゆっくりしていきたまえ」

「は、はい」

会長はそう言って部屋を出て行った
会長を送り出し振り向いた社長はまた男性のような口調で話し出した

「さて、君もうちの秘密を知ってしまったね」

「それじゃ、会長の言った事は本当だったんですか」

「うんそうだよ、うちの二代目がどうも出来が悪くてね、どうしようか悩んでいたら、先祖代々伝わる古文書を見ると入れ替わりの呪文が書いてあったんだ、半信半疑試してみたら成功してね、それからずっと入れ替わって来たんだ」

「ぼ、僕はどうなるんですか、秘密を知ってしまったら・・・」

「何も心配する事はないよ、この件について記憶を消して、後は今迄と変わらない日常を過ごせばいい」

少し安心した僕はある事を思いついた

「あの一つお伺いしたことがあるんですが」

「なんだね、どうせ記憶を消すんだ何でも教えてあげるよ」

「その呪文を使えば誰でも入れ替われるんですか」

「ああ、そうだねちょっとコツがいるけどそれさえつかめば誰でも使えるよ」

「お願いがあります、僕も入れ替わりたい人がいるんです、その呪文を教えて貰えないでしょうか、この事は絶対に他言しませんから」

会長はちょっと考えてから言った

「そうか、どこかの金持ちの息子かそれとも好きな女の彼か芸能人とかは止めた方がいいな、ばれた時の対応が難しい」

「いえ、そうじゃなくて義理の姉さん、兄の奥さんと入れ替わりたいんです」

「ほうこれは驚いた、君はそういう人だったのか、それは予想外だった、いいだろうどうやら君は私と同類みたいだからね」

「同類?社長も女性になりたいと思っていらっしゃったんですか」

「ああそうだ、でも昔は社長をやるには女性だと色々不都合があったからね、仕方なく息子と体を交換していたが、今は時代が変わって女性でもハンデは少なくなってるし、女性である事のメリットもある」

「ええ、そうですね」

「最初は長男と入れ替わる予定だったんだが、娘が生まれたら可愛くてしょうがなくてね、誰にも渡したくないと思って自分が入れ替わる事にしたんだ」

「そういえば、息子さんは大学教授と弁護士でこの会社には入りませんでしたね」

「うむ、長女だったらともかく長男次男を差し置いて娘を社長にするのは色々差し障りがあるからね、そうなるように仕向けたんだ、苦労したがね」

「なるほど、そうだったんですか、でも一番下で良かったんじゃないですか、若いうちに入れ替われたんですから」

「ふふ、そうだね40の時子供だからまだ29だおしゃれも楽しめるし、街を歩くと男が声を掛けてくるよ」

「そういえば紗理奈さんはほとんどパンツスタイルで、滅多にスカートは履いていませんでしたね」

今日の社長の服装はタイトスカートに
シンプルブラウス、トップスはネイビーのジャケットできちんと感のあるけど女性らしい装いだ

「そうだな、紗理奈はあまりオシャレには興味がなかったな、でも私はずっと女性になりたかったから女らしい服装を楽しんでるよ」


「ところで、富田さんも女性になりたい人だったんですか」

僕は疑問に思った事を富田さんに聞いてみた

「いや、私はそうではないですね」

「それなら、なぜ娘さんと入れ替わったんですか」

「娘の事は可愛くて仕方がなかったんですが、どうも付き合う男がろくでもないやつばかりだったんです」

富田さんがそう言うと社長が言った

「それで私が相談を受けたんだが、それを聞いた私は、それは娘を他の男にやりたくない父親の心理だよと、それなら自分の物にしてしまえばいいと言ったんだ」

「そう言われましたが、父と娘でそんな事が出来るわけがないでしょうと言ったんですよ」

「自分の物とはそういう意味じゃない、私は今度は娘と入れ替わるつもりだ、君もそうしたらどうかと言ったんだ」

「それを聞いた私はとんでもないと思いましたが、時間が経つに連れてそれはいい考えだと思えてきました、自分が娘になってしまえば娘の付き合う男にやきもきしなくていいし、可愛い娘とずっと一緒に居られる、なんと素晴らしい事だと思い入れ替わる事にしたんです」

「そうだろう、男親は娘を誰にも渡したくないと言うからね」

「ええ、私もそうでした、娘になって最初にやったのは男の連絡先を消す事でしたからね、残したのは松本君とかほんのわずかです」

「その松本君だが君と付き合ってるそうじゃないか」

そう言われた富田さんは少し顔を赤らめ答えた

「ええ、そうです室長だった時彼は見どころがあると思って随分目を掛けていたんですが、まさか女性になって付き合うとは思いませんでした」

「そうか、君は女性になりたいと思っていた訳ではないから、こんなに早く男性と付き合うとは思っていなかったよ」

「男性だった頃は気が付かなかったんですが、女性になって見ると彼は誠実で思いやりがある素敵な人だってわかったんです、毎日一緒に仕事をしてるうちに段々惹かれていって、彼の方から付き合って欲しいって言われた時は凄く嬉しかったです」

「ふふ、富田もすっかり女になったな」

「ええ、女性になれて幸せです」

「男だった頃よりずっと生き生きしているよ」

「今まで恋愛をした事はありませんでしたからね、こんなにいいものだとは知りませんでした」

それを聞いた僕は言った

「奥さんとは恋愛じゃなかったんですか?」

「今の妻は息子の恋人だったんですよ、大学の同級生で私も彼女の事は気に入ってましたから、彼女も自分のものにしたいと思い、結婚する直前に入れ替わったんです」

「それは驚きました、奥さんは入れ替わりに気が付かなかったんですか」

「結婚したら変わったわねと言われましたが、友人などにそういうものよと言われたそうで、悪く変わったわけじゃないから別にいいかと思ってるみたいです」

「息子さんはどうしたんですか、まあ記憶を操作したんでしょうけど」

「それが、記憶操作を使えるかどうかは人によるみたいで、私は使えるようにはならなくて困りましたね」

「それじゃ困ったでしょう」

「それが、息子はマザコンだったんので妻と夫婦になれた事に喜んで、すぐに妻を抱くようになったんですよ、そうしたら私の時より夫婦仲は良くなり、老後は仲良く旅行などしてましたよ」

「息子の恋人と結婚したり娘の身体を奪ったりびっくりしただろう?」

予想外の話に驚いてる僕に向かって社長はそう言った

「そうですね、でも僕も義姉さんの身体を奪って兄の妻になろうとしてるので、よく考えるとそんなに違わないかと」

「ふふ、そうか」




呪文を教わった僕は入れ替わりの機会を伺っていた

「じゃあ、行ってくる」

「行ってらしゃい」

今日は両親と兄は親戚の法事に3人で出かけて家には兄嫁と二人きりなった、チャンスだと思った僕は入れ替わりを実行しようとした

義姉さんと二人きりになった僕は教わった呪文を呟いた

呪文を唱え終えると、目の前が真っ暗になり意識が途切れた

暫くして目を覚ますと、傍の鏡にロングカーディガンを着てゆったりしたパンツをはいた女性がこちらを見ていた

よかった上手く行った、ちゃんと入れ替われた

「う、うーん」

目を覚ました義姉さんは、僕の顔を見ると驚いた顔で言った

「貴方誰、どうして私にそっくりなの」

僕は驚いている義姉さんに、自分も戸惑っているように話しかけた

「大変だ義姉さん、僕たち入れ替わってるみたいだ」

そう言って、鏡を見せるとショックで真っ青になっていた

「私が卓也君になってる、どうしてこんなことに・・・」

「僕にもなにがなんだか、分からないよ」

僕は困惑してるように答えた

「どうしてこんな事に、なんとか戻る方法を考えないと」

それから僕たちは色々試したが勿論元に戻る事はなかった

疲れてソファに座るお義姉さんに僕は言った

「お義姉さん、これからどうする考えないと」

「そうね、このまま様子を見るしかないわね、でも家の事はなんとかなるけど仕事は困るわ」

「そうですね、僕の方は窓口の仕事は新人の頃教わりましたからなんとかなりそうですけど」

「私は卓也さんのやってる融資の仕事は全然わからないわ」

「うーん、今はほぼまとまった案件しかないから僕がフォローしますので暫くは大丈夫だと思います」

「そう・・・」

そうしてるうち兄さん達が帰って来た

「お帰りなさい、遅かったわね」

「うん、泰三伯父さんが酔って絡んできて相手をしてたら、遅くなってしまったんだ」

「まあ、大変だったわね、お疲れ様」

それを見ていたお義姉さんが小声で言った

「卓也さん凄いわね全然違和感がないわ、ホントの私が話してるみたい」

「そうですか、それは良かった」




次の日今日は女性になって初めての出勤日、お義姉さんにメイクとか女性は支度が大変でしょと言われ、大変だとは思ったけど、女性に成れた嬉しさの方が勝っていた

その日僕はシンプルな白いボウタイ付きのブラウスに紺のフレアスカートを履いて出勤した、お義姉さんは清楚なタイプなのでこういう服装が良く似合うと前から思っていた

銀行について制服に着替える為女子更衣室に入るんだけど、こないだまで男だった僕は入るのに躊躇したけど、ここでうろうろしてると余計おかしいとおもわれるので思い切って中に入った

「おはよう、敦子」

僕が女子更衣室に入るとお姉さんの親友の優香さんが挨拶してきた

「お、おはよう」

僕は緊張でぎこちなく返事をしたけど優香さんは気にせず着替えを続けていた

お義姉さんにロッカーの位置を聞いていた僕は迷うことなく自分のロッカーの前に立った、女性のロッカーを開けると思うと緊張しながら扉を開けた、中には生理用品と代えのストッキングお菓子の入った紙袋そしてハンガーにかかった女子の制服、僕はどきどきしながら制服を手にすると着替えをはじめた
ここの制服は青いブラウスに紺色のタイトスカート青いリボンそしてベスト
鏡を見るといつも見慣れているキレイな女子行員が映っていた、制服を着た女子行員を見て羨ましいと思っていた僕は嬉しくなって自分に見とれていると

「敦子なに自分に見とれているの、貴女ナルシストだったの?」

「え、違うわちょっと太ったかなと思って」

優香さんに笑いながら言われて僕はそう言ってごまかした

「ありがとうございました」

僕は慣れない窓口業務で冷や汗をかいたけど、女子の制服を着て窓口に座るのを憧れていた僕は喜びに満ち溢れていた

「昼休みになり優香さんと昼食をとっていると

「敦子今日は珍しくもたついていたんじゃない、何時もはテキパキ仕事をこなすのに、どこか具合でも悪いの?」

「う、うん休みに色々あって少し疲れてるの」

「あ、そうなんだまたお姑さんとなにかあったの?、敦子は別居したいって何時も言ってるからね」

「え、うんそうね」

お姉さんとお母さんはあまり仲が良くないと思っていたけど職場でもそう言っているんだとわかった

「でも、そのわりにはなんか楽しそうっていうかイキイキしてるわね」

「え、そうかな」

僕は女性になれた事に喜んでいたのが顔に出てるんだと思った




入れ替わってからから数か月が過ぎ社長と秘書の富田さんが銀行を訪ねて来た、僕は上司に言われて二人にお茶を出しに行った

「失礼します、お茶をお持ち致しました」

「ありがとう」

「お待たせして申し訳ございません、支店長は間もなく参ります」

「ふふ、山口君女子の制服良く似合ってるね、もうすっかりOLらしくなったよ」

「ありがとうございます、女子の制服を着て仕事をするのに憧れていたので嬉しいです」

社長に言われて嬉しくなった僕はそう答えた

「それは良かった、そうそう富田と松本君が結婚する事になったんだ」

「それは、おめでとうございます」

「ありがとう、結婚式には山口君も呼ぶからね」

富田さんは嬉しそうにそう言った

「僕も呼んでくれるんですかありがとうございます」

「山口君は僕らの同類だからね、助け合って行こう」

「ところで富田さんが結婚する事に娘さんはびっくりしませんでしたか?」

「うん、凄く驚いて怒ったよ1時間位詰られたかな、でも今までもあった事だからね上手くなだめたよ」

「ああ、何度も入れ替わってるからこういう事は慣れているんですね」

「それよりも妻にこの人と結婚したいって、松本君を会わせた時のほうが緊張したな、本当は夫なのに妻に男と結婚したいって言うんだからね」

「あはは、そうですね娘さんはその時反対はしなかったんですか?」

「うん、妻は誠実ないい人だって喜んでくれたが、娘は不機嫌な顔してずっと黙っていたな」

「そうでしたか」

「松本君も上司だった頃はよく目を掛けてくれたのに、やっぱり父親は娘を嫁にやりたくないんだねって驚いていたよ」

「そうですか、上手く行って良かったですね」

「松本が幸せそうで私も嬉しいよ」

社長がそう言った

「社長もいい人が見つかるといいですね」

僕はそう言った

「ふふ、私は山口君に好意を持っていたんだよ、でも君は女性になってしまったからね、まあそれは仕方がないね」

「ええ、そうだったんですか」

それを聞いた僕はある考えが浮かんだ

「社長、記憶操作の術は性格や記憶も変えて完全な元の人にもする事が出来るんですよね」

「ああ、そうだよ」

「では、僕にそれを教えてくれませんか」

「それはいいが、使えるようになるかどうかは保証はしないよ」

「ええ、構いません、出来るようになったら試したい事があるんです」

僕の提案に社長はそれはいいと同意してくれた




その日家族全員で食事をしていた時兄が言った

「今度の敦子との旅行はディズニーランドに行ってくるから」

兄たちは年に一度夫婦で旅行に行っていて、父さん母さんはそうかと言っただけだけど僕になったお義姉さんは

「え、中止にしないの?」

と言った

「どうして中止するんだ?」

兄は不思議そうに聞いた

「え、なんでもない」

「そうか、それでいいんだよな敦子?」

「ええ、楽しみにしてるわ貴方」

僕がそう言うとお義姉さんは凄い顔で僕を睨んでいた




「ああ、楽しかった」

今日僕は兄さんと一緒にディズニーランドに来て
一日楽しく遊び今はディズニーランドのホテルで寛いでいた

「そうか、良かったな結婚前は何度かディズニーに来ていたから今日そんなに喜ぶなんて思わなかったよ」

姉さん達は何度も来てるけど僕はディズニーランドに来るのは初めてなので楽しかった

「う、うん結婚してからは忙しくて来てなかったからね、連れて来てくれてありがとう」

「そうか、喜んでくれて僕もうれしいよ」

そう話した僕たちはいい感じなって見つめあうと

「敦子」

兄さんはそう言うと僕を抱きしめて来た
そうして僕たちは一晩中愛を確かめあった



「卓也いるか」

旅行から帰ったその日兄さんは僕になったお義姉さんの部屋に入って行った

「あ、兄さんお帰り旅行どうだった」

「うん、楽しかったよこれお土産」

「ありがとう、これ好きなんだよね」

「そうなのか?、敦子がこれ好きなのは皆知ってるけどお前も好きとは知らなかったな」

「う、うんでもどうしてこれ買ってきたの」

「敦子が卓也に土産は買うならこれがいいっていってたからな」

「そうなんだ・・・」

「でも意外だったな、敦子はディズニーランドには何回も行ってるはずなんだけど、初めて来たみたいに凄く喜んではしゃいでいたんだよな」

「へえ、意外だね」

「うん、そうだなでも最近の敦子は前と違って可愛いんだよね、以前はきつい所があってよく怒られていたんだけど今はよく甘えてくるし、おふくろとの仲も良くなって二人で出かけたりしてるんだよ」

「へ、へえそうなんだ」

「うん、前より今の敦子の方がいいな」

「・・・」

「でも疲れたな昨夜もほとんど寝てないし」

「え、何していたの」

「それは、お前も大人ならわかるだろ男女が夜にやる事といったらあれしかないだろ」

昌にそう言われた敦子の顔は真っ青になった

「どうした卓也顔色が悪いな」

「う、うん最近仕事が忙しくて疲れているんだ」

「そうか、体は大事にしろよ」

そう言って昌は部屋を出て行った

昌が部屋を出た後敦子は卓也に話を聞こうと部屋を出た

寝室で荷物の整理をしていた卓也に敦子は話しかけた

「卓也君話があるんだけど」

「なんですかお義姉さん」

「旅行の事なんだけど、二人で行くのはしょうがないと思ったわ、今は貴方が私で昌さんはその事は知らないんだし」

「そうですね」

「でも、旅行に行った夜貴方と昌さんが関係を持ったってどういう事なんかの間違いよね」

僕はその問いには答えず言った

「お義姉さん、ううん卓也君もう諦めた方がいいわ、もう誰が見ても私が昌さんの妻の敦子で貴方は弟の卓也なのよ」

「何言ってるの、貴方が私なんてそんな事は絶対認めないわ」

「ふふ、昨夜は昌さんが言ってたわ、新婚気分も消えて夜の行為もめんどくさくなってきたけど、最近はまた楽しみになってきたし前よりずっといい女になったって、私の方が昌さんの妻には相応しいのよ」

「な、なによそれ、いいわ入れ替わっている事を昌さんに話すわ、二人しか知らない事を言えば分かってくれるはずよ」

「仕方がないですね」

僕はそう言って社長に教わった呪文を唱えた



それから月日が経ち

「おめでとう、卓也」

「おめでとう、紗理奈」

幸せそうな二人を祝福の言葉が包む、今日は山口卓也と中野紗理奈の結婚式だ

「おめでとう、卓也君紗理奈さん」

フォーマルドレスを着た僕は兄さんと並んでそう二人に声を掛けた

「ありがとう、お義姉さん」

二人は声を揃えてそう言った

「紗理奈さん綺麗ねこんな綺麗なお嫁さんと結婚出来るなんて卓也君は幸せね、ねえ貴方」

僕が兄さんにそう言うと

「ああ、そうだな紗理奈さんは卓也には勿体ないよ」

「ひどいな兄さん、でも当たってるけどね」

僕になったお義姉さんがそう言うと

「そんな事ないわ、私は貴方と結婚できて嬉しいんだから」

と紗理奈が言った

「良かったわね、いい夫婦ね幸せになってね」

「ありがとうお義姉さん、私達はお義姉さん達みたいな夫婦になりたいねって何時も言ってるんですよ、ねえ貴方」

「うん、そうなんです僕は兄さん夫婦が理想だと思ってるんですよ」

僕になったお義姉さんがそう言った

「そう、ありがとうそう言って貰えると嬉しいわ、ねえ貴方」

「そうだな、俺も敦子が妻で幸せだと思ってるよ」

「ありがとう、貴方」

二人は微笑みながらお互いを見つめた

社長に教わった呪文で完全に僕になってしまったお義姉さんは、
社長から付き合って欲しいと言われて結婚する事になった

あんなに怒っていたのに僕と兄さんの夫婦を理想と思ってるなんて可笑しいよね、
でも幸せそうなのでいいか
僕も兄さんの妻に成れて幸せだし皆幸せになれて良かった
僕は幸せそうな二人を見つめそう思った

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