メス猫マッチング

何度見ても気になるのはこのプロフだ。
『22歳、〇〇県住み。すぐに会える方募集してます♡』
掲載されている顔写真はサクラかと疑うほど整っており、ぱっちりと開いた瞳と小指が乗りそうなほど長いまつげは未加工だろう。
マスクで口元こそ隠されているが、顔の下半分はマスクで隠れるほど小顔で、モデルやアイドルをやっていても不思議ではない女性だ。

そんな女性が、マッチングアプリのTOPページに何度も表示されていた。
もちろん男どもが見逃すわけもなく、その女性の閲覧数や評価は上位クラス。
競争率も高いだろうが、俺の興味を引く項目はそれだけでなかった。

「何度見ても、相性が9割越えなんだよな……」

この手のアプリは性格や趣味趣向を入力することにより、お互いの相性を数字で表すことが多い。
俺が使っているアプリも例に漏れず、大体の女性とは6割、7割の相性で表示されていた。
しかしだ。
何の接点もなく、ましてや趣味も合わないような俺との相性が9割超と表示されている。
アプリの不具合を疑ってみたが、運営からは「とてもラッキー! もしかして運命の人かも?」という定型メッセージが送られてきた。

顔は好み。相性も見たことがないくらいピッタリ。
そんな女性、気にならないわけがないだろう。
なので俺は毎日、その女性の閲覧数が増えていくのを眺めていた。



ある日、その女性のプロフに変化があった。
『22歳、〇〇県住み。相性良い方だけまってます♡』
変化があったのは紹介文だけじゃない。今までマスク越しだった顔写真も解禁されており、上から自撮りしたかのようなアヒル口になっている。
あらわになった可愛らしい顔もだが、それ以上に秘められていた身体つきがエロい。
冬らしくあたたかそうなグレーのセーターに隠された胸元。服の上からでも存在感を主張するソレは、加工無しだとしたらDカップくらいありそうだ。
服の生地や重ね着を考えるとそれ以上か?
腰は括れており、キュッとした部分から下は黒のキュロットスカートとタイツで覆われているが、写真からもわかる形の良い臀部と細長い脚は隠しきれていない。

顔だけでも満点に近かったのに、こんなにもそそる肉体の持ち主だというからたまらない。
もはや子を産むために存在している女といっても過言ではないだろう。
世の女性に不公平だなと思いつつ、その女のプロフに注目する。

「相性は変わらず9割超……ん?」

相性表示は9割超のままだが、プロフの下に追記があった。
そこには『相性8割以上の方と会いますが、もし9割以上ある方がいらっしゃればこちらから会いに行っちゃいます♡』と記載されていた。
それまでは9割の相手なんてごろごろいるもんだと思っていたが、この一文を見るに相当希少価値が高いらしい。

今まで踏ん切りがつかなかったが、このエロい女から俺を求めてくるなら話は別だ。
これならいくら高嶺の花だとしても断られることはないだろう。
彼女へ送るメッセージは、俺のプロフと数値だけで十分。
何といっても、俺と彼女の相性は9割超もマッチしているのだから。





「はじめまして。ユウイチさんですか? 本日はよろしくお願いします!」

待ち合わせ場所に現れた彼女、カナとはメッセージで数回やり取りしただけだ。
アプリでこの上なく相性が良いとわかると、トントン拍子で出会ってみたいという運びになった。
お互いに県内、それも隣町に住んでいるということも決め手の一つだったかもしれない。

冬コーデなのか、ベージュのダッフルコートからは黒のセーターが覗いており、グレーのプリーツスカートに覆われた黒タイツがスタイルの良さをアピールしている。
実際に会うまで半信半疑だったが、あのエロい身体の持ち主だということに虚偽はないらしい。

「こちらこそよろしくお願いします。まずは喫茶店でも行って話しますか?」
「えっと、それも良いのですけど……ちょっと大人なバーとか、どうでしょう?」

カナとは身長差があるため、下から覗き込むように問われる。
自然と上目遣いを使いこなしているのか、全部計算して行っているのか判断に困るところだ。
しかし向こうから誘ってくるとは……そういうことでいいのか?

「確認ですが、カナさんはお酒呑まれます?」
「ちょっと酔いたい気分なので♪ えっと、えっちな女の子はお嫌いですか?」

その後入店したバーで色々聞くと、身体だけでなく性格のほうもなかなかエッチな女性らしい。
セックスに興味はあるが、相性が7割8割との相手では気分が乗らずホテルにいく気にもなれない。
お酒は好きだが弱いのでベッドで介抱してほしいなど。
あまりに都合よく事が運びすぎるので美人局も警戒したが、自ら本名を名乗って身分証を預けてくる女性がそういうこともしないだろう。

初めて会うというのにボディタッチ多め、さらにワインも嗜み酔っている女性。
これはお持ち帰りを期待してしまうのも無理ないだろう。

「ユウイチさんはもう呑まないのですか?」
「俺はあまり強くなくて……はは」

とろんとした目つきと上気した頬で誘ってくるカナは、今にも酔いつぶれてしまいそうだ。
酒が強くないというのは嘘だが、俺がここで酔うわけにはいかない。
それにもうすぐこのエロい女を好きにできると思えば、これ以上酒なんて呑むことはできなかった。



「えへへ、ついに来ちゃいました♪」

バーもそこそこにホテルへ連れ込むと、カナはいち早くベッドにダイブした。
足元もおぼつかなくなっていたので相当酔いが回っていたのだろう。
ホテルへ行くというのは同意の上だが、この女が何を思っているのかはまだわからない。
カナをただのエロい女と言うには、まだ疑いを捨てきれない俺がいた。

「ラブホテルに来たわけですが、何をするかわかってます?」
「なんのためにしこたま呑んだと思ってるんですかー! そんなの、シラフじゃできないからですよ!」

こちらが戸惑うのもどこ吹く風といった様子で、ダッフルコートを脱ぎ捨てバッグまで投げ捨てる。
豪快な動きで据え膳どうぞ、といわんばかりに寝転ぶと、カナはベッドの上をポンポンとたたいた。

「もしかしてユウイチさん初めてですか? それなら私が色々しちゃいますけど」
「いや、大丈夫。それより本当にいいんだね?」

ベッドへ近づくと、カナは両手をこちらに突き出し求めてきた。
コートを脱いだことにより、柔らかそうな胸元は綺麗な山を描いて強調され、腰からすらりと伸びた足はぴったりと閉じられている。
いまからこの身体を好きにできるなんて、俺はなんて幸運なんだ。
目の前のメスに跨ってようやく覚悟を決めた。
もうこの女が何を考えていようが関係ない。
余計なことを考えてこのチャンスをふいにするほうが後悔する。

「あっ、んっ……」

最初のキスは柑橘系だった。
先程のワインが残っているせいもあるが、それ以上に甘ったるいエキスとフェロモンを感じ、心地よい香りで頭がクラクラしてくる。

いや、それだけじゃない。
舌を絡ませ濃厚に交われば交わるほど、お互いに溶けて一つになっていくようで……ふわふわとした夢心地な気分がいつまでも終わらない。
こんなに強烈なキスは初めてだ。
もっと。
もっと味わいたい。
息を吸うのも忘れ、欲望の赴くまま一心不乱に目の前のメスを求める。

そして、長い長いキスが終わると――――唾液のアーチの先には、鏡で見慣れている顔があった。



「…………は?」

何が起きたのかすぐには理解できなかった。
さっきまでキスしていたはずが、目の前に鏡がある。
体内には経験したことのないような快感がうずまき、胸のあたりが大きく上下する視界と、背中に感じるベッドの感触が何かおかしいと訴えてくる。
キスしただけなのに、体が火照って股ぐらが湿っているのも変だ。
頭もクラクラし、まるで酔っ払っているかのような状態に戸惑っていると、鏡の俺がにたりと笑った。

「ふふっ……うまくいったみたい」
「しゃ、しゃべった!?」
「あたり前だよ? だって私だもん」

その口調はさっきまで話していた女にそっくりだった。
よく見ると鏡ではなく、目の前にいる「俺」は単独で動いている。
それに本当の鏡はベッドの天井に張られていた。

そこには男に覆いかぶされてあたふたする女が映っており、そいつと視線が合わさる。
俺が顔や手を動かすと女も同じように動き、その姿は……カナそっくりだった。
これは、もしかして。

「カナが俺で、俺がカナになってる?」
「ご明察。私って唾液を摂取した相手と入れ替わることができるらしくて。高校のときに気づいたけど、あのときは楽しかったなー」

思い出に浸っている様子のカナだが、つまりコイツは入れ替わる相手を探していたということか?
そう考えれば紹介文の胡散臭さも納得できる。
どうりでトントン拍子にうまくいくわけだ。
でも、一つ疑問が残る。

「どうして相性9割以上にこだわっていたんだ?」
「うーん。今まで何人か入れ替わったことがあるんだけど、なんかしっくりこなかったんだよね。もちろん私になった子は可愛かったけど、私が面白くないというか、すぐに戻っちゃうというか」

いままでも何度か入れ替わっていたらしいが、いつも30分と経たず戻ってしまうとのこと。
そうなるとできるのは、せいぜいイタズラや男の子を遊ぶことだけ。
行為の始まりに入れ替わることもあったが、そのときは途中で戻ってしまい消化不良だったらしい。

「だからどうせなら最後までやりたいなーって。相性が合うならそれも可能かと思って募集したの♪」
「そのための9割以上か……」

プロフでこちらから会いに行くと宣言するだけあって、相当欲求不満だったらしい。
ちょうどこの前に会ったのが8割の相手で、30分も持たず行為直前に戻ってしまったのだとか。

「だってようやく挿入できると思ったら、何度かイッた直後の身体に戻るんだよ? 私の身体で気持ちよくなった男はさっさと帰って置いていかれるし、こんなの理不尽だよ」
「勝手に入れ替えられる男のほうが理不尽だろ」

前回は同意の上だったらしいが、俺の場合は完全なる不意打ちだ。
何でも女体を堪能するだけしてホクホクで帰った男に相当キているようで、次こそはと思っていたらしい。
とんだとばっちりだが、既に女にされてしまった後なら仕方ない。

「まあ正直に言ってくれたらからいいとして。じゃ、このまま元に戻るまで待つか」
「なんで? 時間も限られてるし……しよ?」

セーターの裾が捲られ、効き始めていた空調の温風がきめ細やかな肌を撫でる。
そして大きく張り出た膨らみにかかると、ぷるるんと震えた双丘の感触で状況を理解した。

「おい、おいおいおい。この状況で何をするつもりだ?」
「そんなの、やることと言ったらひとつでしょ?」

セーターも肩まで捲られ、大きく膨らんだ胸があらわになる。
水色のブラジャーにつつまれた乳房は見下ろすととても大きく、覆いかぶさっている男の胸板にあたってしまいそうなほど盛り上がっていた。

「あなたも期待してたはずだからいいよね?」
「だからって男にやられる趣味は……ひゃぁあん♡♡」

!?!?
な、なんだ今の快感は……!
それに今聞こえた甘い声、本当に俺が?

「ふふっ、私のおっぱい気持ちいいでしょ? このために何年もイジって開発したんだから」
「気持ちよくなんか……はぁん! ちょ、まっ、んんッ!」

女の胸は脂肪の塊。そういったのは誰だったか。
ゴツゴツとした男の手におさまらないほど膨らんだ胸は、鷲掴みにされ絞られるたびに艶やかな声を出せと命令してくる。
我慢したくても身体の命令には逆らえず、俺の意思に反してこの女体は勝手に甘い声を発してしまう。

「もっとおっぱいイジってあげるね?」
「やめっ、んぁぁ……♡ っ、胸を揉むなぁ!」

否定したくても身体は感じてしまい、俺の意思は快感の渦へどんどん飲み込まれていく。
カナは勝手知ったる自分の体だけあって、気持ちいいところは熟知しているらしい。
いつのまにかブラジャーも外され、あらわになったピンク色の乳首がピクピクと反応する。
そんな物欲しそうに反応する乳首を男が見逃すわけもなく、指で触れられるだけでピリピリした快感が体内を駆け巡る。

「んやぁ……これ以上はッ!」
「まだほんの少しだよ? ほら、もっと気持ちよくなっていいんだから。可愛い声を聞かせて?」
「おい待て、はぅんッ♡ 乳首やめ……ッ!」

軽く触られるだけだったピンク色の蕾を収穫するように摘まれる。
それだけでまたたくまに身体が火照り、乳首がピンとはる感覚と股間から何かが溢れ出す感覚を否応なしに思い知らされた。

「ほら、気持ちよくなってきたでしょ?」
「気持ちよくなんか……んひゃぁあぁ♡♡」
「かわいい声あげちゃって。やっぱり今までで一番感じてくれてるね」

いくら否定したくても、身体は気持ちいいと反応してしまう。
逃げたくても、アルコールと快感でとろけたこの身体では逃げられそうにない。
そして何より、快楽に身を任せたいと訴えてくる身体の欲求に抗うことができない。
ろくに抵抗もできず、逃げることもできない俺はまな板の鯉だった。

「これ以上は汚れちゃうから……ね?」

胸ばかりに気を取られていたが、男の手によってプリーツスカートも脱がされ黒タイツに包まれた脚が晒されていた。
せめてもの抵抗に脚を閉じようとするも、今度は内ももが擦れるという感触に得も知れない快感を感じてしまう。

「んぅッ!?」
「もう全身が性感帯だね♪ じゃ、こっちもぬぎぬぎしよっか」
「や、やめっ……ふゃぁん!」
「ごめんごめん、うふふっ」

タイツ越しに触られた股間は何もついていないことを実感させ、それ以上に溝をなぞられるという未知の快感に身体がのけぞる。
足で抗議しても、快感でとろけたメスの身体ではオスの腕力にかなうはずもない。
身につけていたものはなすがままに脱がされ、鏡には一糸まとわぬ姿で恥ずかしがる女が映し出されていた。

「うわぁ……すっごいベトベト。いやらしいね」
「うっ……いうなぁ」
「だってだって、こんなにネバつくよ? 私でもこんな出したことないよ」
「それはお前の身体がエロいからであって、そんなの知らな……はうぅんッ♡♡」

こちらの抗議もむなしく、無遠慮に女性器を撫でられる。
今まで触られようもなかったその器官からくる快感に、男の俺が耐えられるわけもない。

「うぅ、もうやめてくれぇ……」
「うーん? 私としては、ユウイチさんにもっと気持ちよくなってほしいな。いま幸せでしょ?」
「そ、そんなわけっ……えっ、ちょ、いぁぁあんッ!」

なぞられるだけだった女性器から体内へ指が侵入してくる。
身体になにか異物が入ってくるという恐怖。
ナカをかき回され膣壁を擦られることにより、反応した膣が指を逃すまいとギュッギュッと締めつける感覚。
その全てが俺をただの女だと教えこんでくるようで、快楽に身を任せ早く楽になれと命令されているようだ。

「どう? あなたが求めていた女の体は」
「はぁ……はぁ……この、へんたいが!」
「ふーん。生意気なこと言うおクチにはこうだね」
「ふぁ? …………んんっ!」

さっきまで膣をかき回していた指を突っ込まれ、粘ついた愛液が口の中に広がる。
味はまったくしないが、これが女性器から……自分の身体からあふれた体液だと思うと不思議な気分だ。
鏡に映る、それも男なら9割が求めるような美女が発情して出た愛液。
さっきまでの愛撫で全身が火照っていたというのに、口に突っ込まれてからはお腹の下がキュンキュンと疼き、もっと飲ませろというように股間からドクドク溢れてくる。
まるで媚薬のようだ。

「もうこんなに濡れてるならいいよね?」
「や、やめっ……!」
「あ、クリちゃんも頭でちゃってる」
「はううぅぅッンン♡♡」

女性器の上に出ていた突起を触られた瞬間、意識が飛んだかと思った。
いま、イッたのか……?

「どう、クリちゃんは。いままでで一番気持ちいいでしょ」
「なん……ふぁっ♡ まっ、はぁン♡」

話には聞いていたが、快感を得るためだけに存在するというクリトリス。
あまりの快感に意識が飛んでしまったが、くにくにと擦られるたびに覚醒して意識が飛んでを繰り返す。
初めて体験する女体。おっぱい。クリトリス。
酔いが残っているせいもあるが、キャパオーバーの快感を連続で教え込まれて頭がおかしくなりそうだ。

「あっ、あッ♡ んっ、はぁんッ!」

指で擦られ、つままれ、押しつぶされる。
敏感なところを容赦なくイジられ、刺激に襲われるたびに頭がチカチカする。

「やっ、やめっ……これ以上はぁ!」
「ふふっ、もっと気持ちよくシてあげるね」
「っ! ……やぁぁ!!」

カナはそれだけでは物足りなかったのか、あろうことか顔を埋めて舌で転がしてきた。
ザラザラとした感触に、散々イジられ敏感になっているクリトリス。
休むまもなく連続で襲ってくる快感に女の子初心者の俺が耐えられるはずもなく、いつしか意識を手放してしまった。



「んぁ……あん、あぁん♡♡」
「やっぱりいいわね、これ」
「んぅ……はぁん♡ ぁッ、あんんっ♡♡」

遠くに聞こえる女の嬌声でゆっくりと意識が覚醒してくる。
カナも男になったのでAVにでも興味がでたのだろうか?

「もうちょっといじったら目を覚ますかな?」
「んぁ……はぁん!? あっ♡ なに、なんだこれぁ……はあぁんッ!」

乳首からの甘い刺激に意識が呼び起こされると、それ以上に股間の異物感が苦しい。
体内に何度も抜き差しされる違和感は行為中ということを伝えてきて、経験したことのない女のセックスに頭がついていけない。
ひと突きされるごとに頭に火花が散るようで、抜かれたときはキュウゥゥ♪ と膣が締まり、突かれた際の衝撃を倍増させているようだ。

「あんっ! あっ♡ おまっ、なにを……はぅんッ!」
「あっ、きつくなった♪ おはよう、気分はどう?」
「んっ♡ やめっ、まっ……!!」

目が覚めたら挿入中で、AVかと思っていた女のあえぎ声は俺の喉から発せられていたものだった。
パンパン響く音とアンアン聞こえる声は途切れることもなく、俺の意思を無視して抜け出せない快楽の沼へ沈ませてくる。

「ああっ、あっ♡ あっ、あぁぁん♡♡」

言葉を紡ごうとしても突かれる速度は緩まるわけもなく、天井鏡にはメスを貪る男の姿が映し出されている。
そのメスが俺自身だと自覚してしまったとき、お腹の奥の方にある器官から得体も知れない快感に襲われた。

「ぁ、ああっ、ああァァああっ♡♡」
「うっ、キツく締まった。もしかして自分が女の子だと自覚しちゃった?」

この快感を覚えてしまったらダメだ。
もう目の前にいるオスを逃したくないという女の本能が働き、何度も出し入れされる肉棒を求めてしまう。
気持ち悪い、早く抜いてほしい。
心ではそう思っているのに、この孕むことに特化した身体はもっと深く挿れて欲しいとねだるように、男の背へ足を絡ませていた。

「ああぅ、あん♡ ああッん!」
「うっ、もうすぐ……もうすぐでるよ。ゴムはないけど中にだすね!」
「あん♡ ぁあん♡ はぅぅ……えっ?」

中に出す。
その言葉にモヤのかかった頭が一瞬だけ覚醒するも、もう遅い。
体内で肉棒が膨張し、もはや限界が近いことを膣の圧迫感が教えてくる。
しかし、男の俺が中出しされるなんて冗談じゃない!
この孕むために特化した敏感で若い女の身体にだされたら……そんなの妊娠しちゃうじゃないか!

「やめっ! そとに……あんっ♡ ナカはやめぇぇ!」
「もうがまんできない! 私の身体だしいいよね?」
「よくな、ぁぅン♡ やめっ、はあぁんッ♡♡」

中出しは男の責任とはいえ、ゴムをしなかったのはカナの判断だ。
このまま元に戻っても、責任を取るのは俺。
そしてもしこのまま元に戻れなかったとしたら……。
俺が妊娠して出産までするなんて、冗談じゃない!

「はやく抜いて……あぁん♡ いれるなッ、んんぁ♡ ぬけぇぇ!」
「うっ、出るよ。思いっきりだすね!」
「うぁ……抜け……はぅン! ……めぇ! ぁっ、あっ、はあぁあぁぁぁぁぁぁんん♡♡」

力強く奥へ打ち付けられ、女の子にしか備え付けられていない子宮口が広げられたのがわかる。
その衝撃で俺は全身を震わせイッてしまい、示し合わせたように肉棒から精液が発射される。

「ふあぁ……ふぁっ……はぅぅぅぅぅん♡♡」

ひらいた子宮奥深くに赤ちゃんの元を注ぎ込まれ、体内の隅々まで精液の熱が広がっていくようだ。
その心地よいと思えてしまう熱に全身を揺さぶられ、ひときわ大きく震えた身体は俺の意識をはじき出すようにシャットアウトした。





いつの間にか寝てしまったようだが、目が覚めたら元に戻っていた。
俺が意識を失った後も、カナは何度も何度も中出ししていたらしい。
おかげで全身がだるくて動きづらいが、受け止めるしかできなかったカナの身体よりマシだろう。

「半日も戻らなかったなんて、相性9割超も嘘じゃないね。もう私たち付き合っちゃおっか?」
「バカ言え、こんなに出しやがって。もし妊娠したらどうすんだよ」
「大丈夫、そのときは……ね?」

カナの身体と顔に文句はないが、性格には問題大アリだ。
しかし、最長30分だったのが半日も戻らなかったとなると、文句なく最長記録更新だろう。
お互いに起きてからしばらく経つが、カナはいまだに着替えようとしない。
裸体にシーツを巻いただけの格好は最高にそそるのだが、俺がさっきまでアンアン喘いでいた身体だと思うと勃つ物も勃たなかった。

「ねぇ知ってる? 50人だって」
「ん?」
「大人になって出会った人で相性が9割以上の相手、この広い世界で50人しかいないらしいの。同性ならともかく、異性だとそれくらいだって」

相性がどうこうなんて、実際に関わってみても感覚でしかわからない。
そう考えると同じ県内、それも近くに住んでいるカナとマッチングしたのは奇跡みたいなものだ。

マッチングアプリの知名度は上がってきたが、今でも忌避感のある人は多い。
出会い系の印象やトラブルが怖いからなどの理由もあるだろうが、それを抜きにしても使用者は限られるだろう。
そこから9割以上の相性。
世界で50人いるとはいえ、限られたコミュニティで1人でもマッチしたら万々歳ではないだろうか。

「だから……ね? また私と会って欲しいな。LINE交換しよ?」

そのふくよかな胸元をアピールするかのように、見えそうで見えないギリギリをせめてスマホを突き出してくる。
こんなの健全な男なら断れるはずがない。
いくら入れ替えられ女体を教え込まれた相手だとしても、顔と身体だけは満点の女なんだ。
俺としても、ここで関係が途切れるのは避けたい。

それに……いや、さっきの出来事は忘れよう。
下手に期待すると抜け出せない中毒になる。

「今度は元の身体のままヤれるならいいぞ」
「えー? 私としては半日も楽しめる男の人の……いや、やっぱり大丈夫。ふふっ」

何を言いかけたのか気になったが、ニコニコと笑みを携えて差し出されたスマホは早く登録しろと訴えてくる。
カナ……LINEの登録名も本名なんだな。

カナはもう少しゆっくりしてから退室するらしい。
俺も待つと言ったが「私がハッスルしすぎたせいだからいーの。でも、あなたが感じすぎて膣をキュッ♪ キュッ♪ 締めるのがいけないんだよ?」と言われ、恥ずかしさから断るしかなかった。

「じゃ、お金は約束通り私が出すから。またね」
「いや、やっぱり俺が男なんだし、ホテル代くらい置いて――」
「女の子になって中出しされちゃったほうがお金もだしちゃう? ユウイチくんもあんなに気持ちよさそうだったから、そのお礼っていうなら――」
「じゃあな!」

カナに言われたことで先程の行為を思い出し、逃げるようにホテルを後にする。
確かに気持ちよかった。
気持ちよかった……けど。
あれはダメだ。
あんなことを覚えてしまうと、もう男のままセックスしても満足できない身体になってしまう。

女の身体はクセになる気持ちよさだが、現状は相手があのカナ しかいない。
あの女体に不満はないが、女として完成された身体といいエッチの感じ方といい、アレ以上の肉体はないとまで思ってしまう。
このままではダメだ。
既に手遅れかもしれないが、あのカナ 女体の虜になってしまう。
そんな葛藤を抱えながら歩いていると、LINEの通知音が鳴った。

『ユウイチくんの唾液、実はストックしていたんだ♪ じゃ、もうちょっとだけよろしくね?』

考える間もなく視界が暗転すると、俺はさっきまでいたホテルにいた。
当然、まだ滞在中になっているので会計も終わっていない。

「……ッ、やられた!」

見下ろすと、行為中さんざん弄ばれた巨乳と体内にナニか入ってる違和感が残る股間。
少し意識を向ければヒクヒクと蠢き、ナカからどろりとした精液がこぼれ落ちてくる。

「んぁ♡ ……くそっ! いますぐ――ひゃぁあんっ♡♡」

どうやら何度も中出ししていたというのは本当だったらしい。
足腰に力を入れて立とうとしたら、うまく力が入らずベッドに倒れ込んでしまった。

「いてて……マジかよ」

仰向けになりながら、ベッドの天井鏡に映るたわわな巨乳と孕むことに特化した女体を観察する。
身体を押し付けられたこともそうだが、まさかこの女体で半日過ごすことを強制されるとは……。
俺の身体で何をやられるのかという不安もあるが、この身体でもう一度さっきの快楽を享受できると喜んでいる自分もいる。

「――んっ♡」

一度自覚してしまうと、まだ物足りないと身体の奥底から湧き出る欲望とジュンジュン疼く女性器の火照りを否定することができなかった。

「お金もあるし……このまま戻るまで……んぅ!」

用意したのは、販売機で買ったバイブとローター。
鏡に映るのは、乳首をビンビンに勃起させ顔と股間がトロトロの発情したメスが1匹。

「あと半日……はぁ、はぁ♡ 少しだけ……ふふっ」

キャンキャンと響き渡るメス猫のような嬌声を聞きながら、心地よく快楽の海をたゆたう。
マッチングアプリに感謝だな。
なぜならこの身体は、9割以上マッチングしていたようだから。

あとがき
相性9割はゴロゴロいるので、50人は適当です()
書き終わる段階でとあるライトノベルを買いましたが、95%が被っていたので9割超に変更しました。
マッチングアプリはそれなりに利用者います。

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